2025年度入学式・告辞
告辞
(2025年度入学式)
皆さん、ご入学おめでとうございます。大学を代表いたしまして、心よりお祝い申し上げます。
世の中には実に多くの大学がありますが、その中でも、愛知大学は、80周年を目前に控える、大変に長い歴史を持つ大学です。ご卒業生は16万人を超えます。社会科学系の学部は、中部地区で最も古く、さらに、前身といえる東亜同文書院から数えれば、その歴史は120年を優に超えます。
本学で学ぶにあたって、皆さんにぜひ、この歴史の厚みを理解してもらいたいと思っています。ここでは、その一端だけお話ししておきましょう。本学のキャンパスには「自由受難の鐘」が設置してあります。これは、本学創立当初、授業の初めと終わりを知らせていた鐘です。この鐘を、1951年、第4回目の卒業生が、卒業記念として、柱を添えてモニュメントにしました。そこに「自由」「受難」と記したのです。
当時を想像してみてください。第二次世界大戦終了からまもないころ、日本はまだ大変に貧しく、社会には混乱が残っていました。食べることも簡単ではありませんでした。創立当初は、キャンパス内に畑があり、サツマイモなどを作っていたという記録も残っています。そもそも、本学が豊橋で創立されたのは、農業が盛んで、食料が手に入りやすかったことも要因の一つです。そのように、生きるだけで精一杯だった時期に、愛知大学で必死に勉学したご卒業生が後輩たちに残したメッセージ、それが「自由・受難」なのです。すなわち、「自由を求めれば、必然的に苦難は避けることはできない」、です。
この、「自由を求めれば、必然的に苦難は避けることはできない」というメッセージを、どのように解釈して、受け止めるか、それは皆さんに任せます。ただ、先輩たちからのこのメッセージを、大学生活での道しるべにすれば、そのような学びは、本学でしか得られないことになるでしょう。
皆さんは、まだ、偏差値でしか大学の価値を理解できていません。愛知大学で学ぶことの真の価値が分かるのは、これからです。
大学での4年間は、あっという間です。高校の3年間よりも短く感じるほどです。今日から、いや、まさに今から、大学生活を存分に謳歌してください。
皆さんが成長していく姿を楽しみにしています。
2025年4月5、7日
愛知大学学長 広瀬裕樹
愛知大学学長 広瀬裕樹