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学長室だより

学長のことば

2020年度・2021年度合同入学式・告辞

告辞

2021年度入学式

今回の入学式は、今年度の入学生と昨年度の入学生を対象に合同の形で開催することになりました。これは昨年度の入学式が、新型コロナウイルス感染症の拡大のなか、やむを得ず開催取止めとなったことから、この期に併せて執り行うことにしたものです。
まずは、今年度の入学生の皆さん。謹んで愛知大学へのご入学にお祝いを申し上げるとともに、本学の新たな構成員となられたことを心から歓迎いたします。皆さんはコロナ禍の厳しい状況の中で受験勉強に励み、受験を迎えることになりました。さらに今年は、大学入試センター試験に代わって大学入学共通テストが初めて実施されました。皆さんは、こうしたコロナ禍と大学入学共通テスト実施という環境の大きな変化にいろいろ不安や心配をされたことと思います。皆さんの努力に敬意を表します。大学のキャンパスが皆さんの学びと生活の新たな拠点となることを願っています。
そして昨年入学された新二年生の皆さん。皆さんは、大学生活に大きな期待や希望を胸に入学されたことと思います。しかし、コロナ禍のため入学式がなくなり、本学のキャンパスにも入れず、春学期の授業も全面的にオンラインとなり、他の学生と知り合い交流する機会もなく、家庭でオンライン授業を受けるだけの生活を送ることになりました。大学は厳しい状況のなかでできるだけの対策をとりましたが、皆さんのなかには状況がつかめず不安になり、学生と知り合い話し合いができないことに孤独感を抱き、自分が大学生になったと十分自覚できないと思うような方も多くいただろうと思います。感染防止対策のためとはいえ、皆さんのこのような思いに対しては心が痛み、申し訳なく思っています。秋学期には一部の科目で対面授業を開始し、キャンパスでの学生の交流の機会も徐々に拡大できるようになりましたが、皆さんにとって、昨年度はきわめて異常な苦労の多い一年であったに違いありません。皆さんには入学式を体験し、本学の学生であることを再確認し、新たなスタートの機会としていただきたいと願います。
さて、皆さんが入学された愛知大学とはどんな大学なのか、ここで少しお話したいと思います。愛知大学は第二次世界大戦終了後の1946年11月に創立され、今年で75周年を迎えます。愛知大学の名前は「知を愛する者が相集う」という言葉にもあるように「知を愛する」という意味で付けられました。次に、愛知大学のめざすべきミッションについてお話しします。大学の設立趣意書は、戦争の深い反省にたって世界文化と平和に寄与するために日本の人文系の学問を盛んにし、才能ある人材を育成することを使命とすることを述べています。そして特殊な使命としてひとつは大都市への偏重集積をなくし、地方分散を望むとして地方社会における学問・文化の振興と貢献が謳われています。二つ目は国際的教養と視野をもった人材の育成です。愛知大学は当時「国際文化大学」をめざすことも述べています。以上の点が整理されて「建学の精神」とされました。
まず、地域社会への貢献、つまり地方・地域における学問・文化の振興を図るという使命は、当時中部地方において法文系の大学がひとつもなかったことを背景としています。つまり、愛知大学は中部地方において最初の法文系大学であったのです。そして今日、地方創生、地方分権が大きな政策課題とされているなかで各地域がまちづくり、人づくり、産業発展と仕事の創出をはかり、大学が地域の高等教育研究機関として地域の発展を担う役割を果たすことが求められています。その意味では、地方の文化・社会への貢献という設立趣意書の使命はきわめて今日的な課題でもあるといえるのです。
次に、国際的教養と視野をもつ人材の育成という使命は、本学の前身ともいえる戦前、中国上海にあった東亜同文書院の伝統を継承するものでありますが、これは今日グローバル化が進む世界においてますます重要な課題となっています。今日の世界は国家の枠を超えて、ヒト、モノ、カネの国際的移動が急速に増大し、デジタル情報通信技術の著しい進歩は世界のコミュニケーションと生活のありかたを大きく変えています。このなかでグローバル化に対応できる国際的人材、グローバル人材の育成がますます求められています。皆さんがこのようなミッションをもつ愛知大学に入学され、その一員でなったことを自覚して本学の歴史についても関心を持ってほしいと思います。
ところで、皆さんは大学での目標についていろいろ考えていると思います。本学の各学部・学科、大学院研究科は「学位授与方針」(ディプロマ・ポリシー)において卒業・修了までの学修成果の目標を具体的に明示しています。大学は、学生の学修成果を目に見える形で示す指標を設定し、学修成果を判定し、社会に公表・説明することが求められています。皆さんは、所属する学部の学修成果の目標をぜひ確認してみてください。
ここで、大学での学びについて皆さんに対し私の要望・期待があります。一つ目は、幅広く多様な学びを目指すことです。皆さんはそれぞれの学部・学科および大学院研究科に所属し、学習することになります。学部・学科のカリキュラムに配置されているさまざまな科目を履修することが基本になることはいうまでもありません。同時に、クラブ・サークル、ボランティア、資格取得講座などのさまざまな課外活動も重要な学びの場であり、アルバイトも社会を経験し、学ぶ機会です。皆さんにはこうして視野を広げ、学びの幅を広げてほしいと思います。それは皆さんの人生においての価値ある財産になると思います。
二つ目は、自ら考え、学習する方法を身に付けることです。それぞれの専門的な知識・理論を学ぶことは極めて重要なことですが、単に知識を得ることにとどまるのではなく、それぞれの専門知識や理論を参考に、実際の問題を見つけ出し、その問題が生じる理由やその影響等について自らの頭で考え、証拠に踏まえて、一定の説明や解答を論理的に引き出すという方法を学び、身に付けてほしいと思います。これはものごとの本質をより深く考え、理解するうえで極めて重要な方法です。そして変化が激しく、不確実で、正解が必ずしも明らかでないこれからの社会において、このことはますます求められるでしょう。こうした考え方、学び方ができる自律した人間になることを目指してほしいと願っています。
最後になりますが、皆さんの本学での学びが楽しく充実したものになることを大いに期待しています。本学の教職員は皆さんと共にあり、皆さんの学びを支援し、皆さんが学習の成果をしっかり得られるよう努めることを誓いまして、私の告辞と致します。

2021年4月3日、4日
愛知大学学長 川井伸一