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株式会社トキワ
世界中に美と感動と喜びを

所在地〒114-0002 東京都北区王子1丁目9番5号 京徳ビル5階
設立1948年7月23日
代表者代表取締役社長 秋田千収
従業員数1,004名 (2024年12月31日現在)

viewpoint 業界

化粧品業界は、常に新しい技術とトレンドが求められる変化の激しい市場である。

スキンケアやメイクアップといった基本的なカテゴリーに加え、環境への配慮やサステナブル製品、デジタル技術を活用した販売方法など、時代の変化に応じて進化を続けている。

特に近年注目されているのが「OEM」という仕組みである。これはブランドを持つ企業に代わって製造を担うもので、販売企業は企画やマーケティングに専念でき、製造企業は自社の技術力を活かすことができる。
実際、日本国内で流通する多くの有名ブランド化粧品は、このOEMによって生み出されている。

OEMは消費者に直接名前が届きにくい存在であるが、化粧品業界を裏側から支える重要な役割を果たしている。

viewpoint 企業

株式会社トキワは、1948年に設立された老舗の化粧品OEMメーカーであり、今年で創業77年を迎える。本社を東京都に構え、従業員数は1,000名を超える規模を誇る。メイクアップ化粧品において幅広いカテゴリーをカバーし、「トキワの技術だけでフルメイクが完成する」と言われるほど多彩なアイテムを開発・製造している。その高い技術力は国内外から評価されており、世界の化粧品売上トップ10企業のうち半数以上と取引を行うなど、グローバル市場でも存在感を発揮している。

トキワの強みは大きく3点にまとめられる。まず「イノベーション」では、処方と容器を同時に開発することで独自のアイデアを形にしている。次に「サステナブルビューティー」では、環境に配慮した処方やパッケージを世界に先駆けて推進している。最後に「世界最高水準品質」として、国内外の拠点で一貫した品質基準を守り、世界の有力ブランドから厚い信頼を得ている。

さらに、同社は中身だけでなく容器やパッケージの開発力にも強みを持ち、利便性とデザイン性を両立させた製品を生み出している。表舞台には出にくい存在であるが、確かな技術と信頼を積み重ねることで、トキワは化粧品業界を「裏側から支える」代表的な企業としてリーダーシップを発揮し続けている。

取材内容

私たちは2025年8月7日、岐阜県中津川市にあるトキワ中津川工場を訪問した。
ここでは会社説明や工場見学、さらに従業員の方々へのインタビューをさせて頂いた。

実際に見たり聞いたりすることで、インターネットで調べるだけでは分からないトキワの魅力を知ることができた。
以下、その内容を詳しく記す。

工場見学で見えた技術力

まず驚かされたのは、トキワが誇る製造技術だ。誰もが一度は経験したことがあるであろう「リップスティックの折れ」。その原因は、製造時にリップ内部に気泡が入ってしまうことにある。実は有名企業であっても、この気泡を完全に防ぐのは難しいといわれている。しかし、トキワは独自の技術によって気泡を発生させずにリップを製造することに成功しており、結果として「折れにくいリップ」を実現している。実際に私たちも見学を通じてその技術力を知り、普段使っているリップがもしかするとトキワ製かもしれないと気づかされた。

さらに印象的だったのは、三色ボールペンのように見える特殊なアイブロウペンシルだ。異なる色を1本にまとめるというこの技術は、世界で唯一トキワだけが実現できるものだそうだ。利便性だけでなく、持ち運びやデザイン面でもユーザーに新しい価値を提供している。化粧品は中身だけでなく容器も重要であることを改めて実感した。


職場の雰囲気

工場内を歩いていると、従業員の方々と何度もすれ違った。その度に必ず先に挨拶をしていただき、また道を譲ってくださった。こうした小さな所作から、働く人々の温かさや職場全体の雰囲気が伝わってきた。製品の品質を支えているのは高度な技術だけでなく、働く人の誠実さや思いやりの心でもあると強く感じた。

また、実際に製造ラインでは私たちが日常的に使用しているブランド化粧品が数多く作られており、OEMならではの「表に出ないけれど確かに存在している影の力」を目の当たりにした。工場長は「世界で使われているコスメを我々が作っている」という誇りを繰り返し語ってくださり、その言葉から従業員の大きなやりがいを感じ取ることができた。

新入社員の研修制度

トキワでは、新入社員に対して2年間にわたる丁寧な研修が行われる。

特に印象的だったのが「色のテスト」。微妙に異なる色をわずか2分以内にグラデーションになるよう並べるという試験で、まさに職人技が求められる内容であった。私たちも実物を拝見したが、どれも似た色ばかりで、違いを見極めるのは至難の業であった。新人が必ず通るこの試験を通じて、精密な色彩感覚が鍛えられていく。

また、匂いを判別するテストもあり、化粧品製造に必要な五感を徹底的に磨くことが分かった。さらに面談の機会も多く設けられており、悩みや不安を相談しやすい環境づくりが徹底されているのも特徴である。


グローバル展開と地域貢献

トキワは国内だけでなく、アメリカ・フランス・フィリピン・中国・日本の5か国に拠点を持ち、グローバルな事業展開を行っている。
そのため世界の化粧品トップブランドとも直接取引を行い、業界全体の信頼を得ている。

一方で、地域に根ざした取り組みも大切にしている。岐阜県内に5つの工場を構え、私たちが取材しに行った中津川工場ではさまざまな化粧品がつくられていた。また工場ごとに特化している化粧品がありそれを重点的に作られていることを知った。地元の雇用創出や地域経済への貢献も果たしている。

新人研修では全国の新入社員が岐阜に集まり、同期同士の交流を深める機会となっています。ミリ単位での調合や体力仕事が大変だが、好きな俳優さんがPRされたりすることがやりがいの1つだとおっしゃっていた。研修後もその絆が続き、プライベートでも仲良くなるなど、「トキワで働いてよかった」と思える温かな社風を生んでいた。



働きやすい職場環境

株式会社トキワの働き方において、安定していると感じた。

年間休日は121日と多く、祝日や年末年始、夏季休暇も安定して取得できる。
また、夜勤はなく、残業は任意制であり、早く帰る社員もいれば、自ら積極的に残業して収入を増やす社員もいた。
このような柔軟な制度が、社員の働きやすさを支えていると考える。

さらに、福利厚生も充実しており、借上社宅制度や200円でお弁当が食べられる仕組みなど、生活を支援する制度が整っている。

特に印象的であったのは、岐阜県から「ワークライフバランスエクセレント企業」に認定されている点である。
これは仕事と家庭の両立に取り組む企業としての証であり、社員が育児や介護のために安心して休める体制があることを意味している。
また、「えるぼし」認定も受けており、女性が活躍できる職場環境を整えている企業であることが示されている。
取材の中では、子供の熱が出た際にすぐ帰宅できるという実例も聞くことができた。

働きやすい職場環境

地域貢献にも力を入れており、団扇の配布や工場のライトアップといった活動も行っていた。

取材を通して感じたのは、トキワという企業が掲げる「世界中に美と感動と喜びをお届けする」という目標の実現に向け、環境を大切にし、人とのつながりや助け合いを徹底しているという点である。
また、「世界に向けてメイクアップ化粧品をつくる会社」として、化粧品だけでなく、未来や地域といった大きな価値をつくっていく企業であるともいえる。

私は、トキワが高い技術力で世界のブランドを支えつつ、社員同士が温かいつながりを大切にし、安心して働ける環境を築いている点に強く魅力を感じた。
取材を通じて、OEMの重要性や社員の生の声に触れることで、「働くとは何か」ということを理解することができた。表舞台に出にくいOEMという仕事であっても、誇りを持って働ける理由がここにあると強く感じた。

トキワの求める人

トキワの採用は学部や専攻を問わず幅広く門戸が開かれており、特に重視されるのは主に二つあり、「ヒューマンスキル」と「ホスピタリティ」だ。

知識や経験以上に、他者との円滑なコミュニケーションや思いやりの心を持つことが、トキワで働く上で最も大切な資質とされている。

実際に取材の際にお世話になった原めぐみ様をはじめとした従業員の方々は互いを尊重し合い、相手の立場に寄り添う姿勢が自然と感じられ、この理念が日々の業務の中に確かに根付いていることを強く実感した。

こうした人間性を基盤とする姿勢は、企業としての信頼や高い品質を支える根本的な力になっているのだと考えた。

column

column 発見

今回の取材を通して最も強く感じたのは、トキワが「表には出ない企業」でありながら、確かな技術で世界の化粧品業界を支えているという事実だ。

普段私たちが手にしているブランドコスメの多くがOEM製であることを知り、化粧品業界の裏側にある大きな存在を発見したような驚きを覚えた。
さらに、工場で働く従業員の方々の誇りや温かさに触れ、化粧品という製品の背景に人の想いが込められていることを強く実感した。
加えて、育休取得率の高さやワークライフバランスを意識した社内制度も印象的であった。

働きやすい環境が整備されているからこそ、従業員が安心して力を発揮でき、それが品質や信頼の向上にもつながっているのだと感じた。
トキワは技術力に加え、人を大切にする文化を持つ企業であり、今後も世界と地域をつなぐ存在としてさらに成長していくと確信した。


チーム紹介

新貝 真央(経営学部 1年)
舘 美来(現代中国学部 1年)
日比野 千夏(経営学部 1年)
東 愛奈(経営学部 2年)
丸山 祥菜(経営学部 2年)

※本記事は2025年10月現在の内容となります。