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愛知大学低年次キャリアデザインプログラム「OB・OG探訪記」
株式会社高山グリーンホテル
「ありがとう」の感謝の気持ちを大切に
所在地〒506-0031 岐阜県高山市西之一色町2-180
設立1973年7月20日
代表者 代表取締役社長 熊谷 高志
従業員数 275名(2024年4月現在)

viewpoint 業界

旅のもたらす感動と満足感は人々の人生に彩りを与えてくれる。

観光業は豊かな国民生活を育むだけでなく、観光を通じて人々が地元に「誇り」と「愛着」を感じることで、少子高齢化や人口減少が進む現日本における「地域活性化の切り札」そして「活力に満ちた地域社会への持続可能な発展」を可能にする。また「観光庁『宿泊旅行統計調査』」によると、2024 年 7 月における外国人延べ宿泊者数は 1,494 万人泊で、コロナ前以上に回復している。現状、観光業は国内のみに留まらず、国外でも大きく広がりつつある。

このように人々が観光を通じて相互国の文化を尊重し、世界の人々と交流を深めることは、国際社会の自由や平和、繁栄の基盤を築く国際相互理解を増進させることに繋がっていく。
今回私たちは、観光業の一つである「ホテル業」に焦点を当て、岐阜県高山市を代表する「高山グリーンホテル」の企業の魅力に迫った。


viewpoint 企業

今回取材させていただいた「高山グリーンホテル」は昭和 47 年 7 月 4 日に設立。日本で一番広い市町村である岐阜県高山市にあり、JR 高山駅から徒歩 7~8 分の場所に位置している。
5 つの分野で生活関連サービスを幅広く展開している「京王グループ」に属し、客室・レストラン・宴会場を備え、客室から高山の絶景を味わえる新館「桜凛閣」をオープン。
また高山グリーンホテルには天然温泉があり、美肌効果が期待される「美人の湯」と呼ばれるものなど、高山グリーンホテル自慢の天然温泉が設備されている。
総従業員数は 2025 年 2 月時点で 265 名、資本金は 1 億円、2024 年度の売上は約 42 億 1000万円となっており、今もなお、その売り上げを伸ばしている。

取材協力

株式会社高山グリーンホテル
管理部副部長(総務・人事担当)
加藤 悟様

個人に合わせたキャリアアップの実現

ホテル業務は大きく「総合職」「調理職」「技術職」に分けられる。「総合職」は、フロント業務を担う「宿泊部」、レストラン業務を担う「料飲部」、予約管理やセールス業務を担う
「予約部・営業部」、総務・人事・経理などを担う「管理部」から成る。

「調理職」は和洋中・製菓の調理業務を担う「調理部」がある。「技術職」は、日々の点検に加えて、年末に三日間にわたって行われる大規模なメンテナンスを主とする「施設部」がある。

また、それぞれの部署によってキャリアの歩み方も変わってくる。
調理職では、一年目に和食・中華・洋食・製菓の分野を約 3 ヶ月ごとに習得する。2 年目に配属先を決定後、将来
の料理長候補として一人前の料理人を目指す。しかし、配属後も違うジャンルへの挑戦が可能な環境も整っている。総合職では、入社後、お客様にいちばん近い仕事である「料飲部」
からスタート。
その後、個人の適正と希望に応じて「ジョブローテーション」を繰り返しながら、ホテルの将来を担う「人財」へとステップアップしていく。

こうして、経験を重ねてキャリアを積んでいく高山グリーンホテルには、所属部署が決定した後でも、個人の希望に応じて異動が可能である。例えば、「お客様とコミュニケーションを重ね、直接笑顔に触れられる仕事がしたい」とのことで調理部から、フロントに立つ宿泊部に異動した例があるそうだ。このように従業員一人一人が働きやすい環境が整っている。

福利厚生の充実

高山グリーンホテルは、福利厚生が充実している。

BBQ 大会や社員旅行などのイベントが度々開催されており、社員同士の交流が盛んである。
また、あいさつが飛び交う環境であり、上下関係や部署に関わらず、社員同士の距離が近い職場であるそうだ。

その為、チームワークがよく、助けを呼べば誰かがすぐに駆けつけてくれる職場になっている。

また福利厚生の具体例としては、各種社会保険・退職金制度財形貯蓄・ホテル内利用割引などが挙げられる。
また、葬式や結婚式などの冠婚葬祭や、介護・育児のための特別休暇もとりやすい。
そのため、10 代から 30 代で 90 パーセント以上の社員が福利厚生や休暇制度を活用しており、ワークライフバランスが整った職場であるともいえる。

求められる人材

求められる人材としては、「高いホスピタリティ」と「コミュニケーション能力」を持つ人物である。
お客様を心から歓迎し、「喜んでもらいたい」という気持ちを持ち、相手のニーズを察してそれ以上の対応ができることが重要視されている。

また、お客様だけでなく、共に働く仲間とも円滑にコミュニケーションを取れることが求められる。

また、必ずしも資格が必要なわけではなく、就職後に取得するケースも多い。
例えば、衛生管理者やレストランサービス技能検定(HRS)などを取得する従業員がいる。
さらに、語学力についても入社時点で必須というわけではないが、接客をより楽しむために、積極的に学ぶことが勧められている。
このように、専門的な知識や資格よりも、まずは人と関わる姿勢や前向きな学びの姿勢が重視されている。


就活生に伝えたいメッセージ

就活生に対して、今回お話を伺った加藤様からは、「感謝の気持ちを持つことを忘れないでほしい」とのメッセージをいただいた。
感謝の気持ちを持つと「当たり前はない」ということに気づき、人に優しく、少しの気遣いが「事前に」できるようになる。

加藤様はコロナ禍でホテルが 3 ヶ月休業した際に静かなロビーを見渡して、お客様がいること、従業員が働いていることが「当たり前ではない」と実感したそうだ。そのような経験から「日々感謝の気持ちをもって働くことが必要である」と教えていただいた。

また、「初めの数ヶ月は吸収の期間であり、ホテル業界などの特定業種は特に初めから希望する部署に配属されるとは限らない。しかしそこでの経験から新しい知識やキャリアアップへとつながるスキルを身につけられる。」との応援メッセージもいただいた。

column

column 発見

【「ありがとう」の感謝の気持ちを大切に】
今回の取材を通して、「高山グリーンホテル」では第一に「ありがとう」という感謝の言葉を大切にし、お客様や地元の人々に対しては勿論のこと、従業員にも寄り添った「人の温かさ」を感じられる企業であることが分かった。

取材の中では、実際にホテルに宿泊させていただく機会があった。ホテル内は四季折々に違った景色を覗かせてくれる美しい日本庭園や、檜と岩でできた開放的な露天風呂、館内に展示されている日本人形や神々しいお神輿の模型などがあり、それらは飛騨高山の自然と伝統的な文化を肌で感じさせてくれる。国内だけでなく、海外の多くのお客様からも愛される理由に納得であった。

また、バックヤードなどの裏側を見学させていただく機会もあり、社内で飛び交う挨拶の声、お客様を出迎えるスタッフの方々の優しい笑顔。短い間の中でも、社員同士の協力関係や社内全体に流れる温かな雰囲気を感じ取ることが出来た。常に「感謝の気持ち」を持ち続け、お客様や社員のニーズに柔軟に対応し、現状維持に留まらず更に高みを目指す「高山グリーンホテル」は、まさに世界中から愛される最上級のホテルである。

私達自身も、日頃から「誰かに何かをしてもらえること」は「当たり前ではない」という事を胸に、周りの友人や家族、お世話になっている全ての人達に対して「ありがとう」という言葉を大切に生活していきたい。


チーム紹介

坂井 陽(経営学部経営学科 1 年)
寺嶋 有彩(国際コミュニケーション学部英語学科 1 年)
勅使河原 里友(経営学部経営学科 1 年)
間瀬 碧衣(現代中国語学部現代中国語学科 1年)
齋藤 優佳(法学部法学科 2 年)

※本記事は2025年10月現在の内容となります。