本学は、1901年中国上海に創設された東亜同文書院大学の関係者を中心に1946年に中部地域唯一の法文系大学として、愛知県豊橋市に設立されました。設立趣意書には、東亜同文書院を背景とした《国際的教養と視野をもった人材の育成》とともに、6大都市以外の地方都市に初めて立地した旧制大学として《地域社会への貢献》を挙げています。
本学発祥の地である豊橋キャンパスでは、《地域社会への貢献》を地域研究に展開する視点から、1951年には「綜合郷土研究所」、1953年には「中部地方産業研究所」を設置しました。その後、豊橋校舎が立地する豊橋市の広域連携が進み、豊橋市を中心とする愛知県東三河地域、浜松市を中心とする静岡県遠州地域、飯田市を中心とする長野県南信地域からなる「三遠南信地域」に後背地域が拡大してきました。
こうした動向に対応して、本学は地域研究の対象を三遠南信地域に定めた「三遠南信地域連携センター」を2004年に設立し、「文部科学省私立大学学術研究高度化推進事業・社会連携研究推進事業(2005-2009年)」、「文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業・地域に根差した研究(2010-2012年)」を実施してきました。2013年に「文部科学省共同利用・共同研究拠点」の「越境地域政策研究拠点(2013-2018年)」に認定されたタイミングで、センター名を「三遠南信地域連携研究センター」に変更し、三遠南信地域のように県境などの行政境界に隔てられた地域が行政境界を越えて地域経営を展開する「越境地域政策」の確立を目指した全国的な研究を進めています。
また、2011年には、現地教育フィールドの一部を三遠南信地域とする「地域政策学部」を設立し、地域政策を担う人材を輩出してきました。
こうした取り組みの背景として、我が国では全国市町村の4割が県境に接しており、越境地域政策は必要性の高い政策ですが、これまで体系的な取り組みはなされてこなかったこと、県境に接する市町村の半数が過疎地指定を受けているように、縮減する社会への対応が県境地域の大きな課題であるという認識があります。
また本学は、2012年に名古屋キャンパスを名古屋駅に隣接した大都市拠点「名古屋市ささしま地区」に移転開校しました。ささしま地区は、2027年の中央リニア新幹線開通によって三大都市圏を一体化されるスーパー・メガリージョンの一角であり、広域的な拠点性を有しています。こうした拠点性を活かすには、ささしま地区と広域的な後背地域を結ぶ越境地域連携が不可欠です。特に、三遠南信地域とささしま地区の間に多様な越境地域連携を形づくることによって、三遠南信地域が直面する縮減する社会に、大都市拠点と連携したダイナミズムを生み出すことは、三遠南信地域とささしま地区に2つのキャンパス(豊橋キャンパス、名古屋キャンパス)を持つ本学の新たな《地域社会への貢献》です。