地方分権の時代、監査制度のあり方が地方財政の未来を左右する。 担当教員:会計ファイナンス学科 教授 栗濱 竜一郎
●私の研究テーマ
「地方公共団体と監査の関係性」中央集権から地方分権へとシフトし地方財政がひっ迫する中、各地方公共団体では無駄なものを省き、裏金などの不正資金を作らせないチェック機能が必要となっています。卒業論文では地方公共団体の監査制度について調べ、その特徴と問題点をまとめ改善策を作成しました。2006年に岐阜県庁で起きた不正資金事件では、旅費の架空請求などの不正経理による資金づくりが組織ぐるみで行われていました。現在は、厳格で効率的な監査の執行や透明性の向上などをめざした監査改革を進めていますが、専門知識を有する職員の長期的な配置など、さらなる改善が必要だと考えます。また地方公共団体の監査制度のあるべき姿について、総務省の有識者会議を基に検証を行いました。現状の監査制度には、国が統一した基準がありません。そこで共通の監査基準の策定、議員から選出された監査委員の廃止、監査委員の権限の強化などを改善策として提案しました。
●私の研究活動
監査の理論と制度を学び、経営学・経済学へと視野を広げる。企業の発表する財務諸表を分析すると、企業の戦略や現在注力している分野などが明らかになります。数値から企業の状況を読み解く点に面白さを感じ、会計や税務を学ぶアカウンティングコースを選択しました。ゼミでは監査の理論と制度を研究。企業の財務諸表などのデータを読み解き、正しい経営活動が行われているかをチェックする監査は、社会に不可欠な機能です。会計学はもとより経営学や経済学、法律など隣接分野の知識も必要とされ、ゼミ活動を通して視野を広げることができました。卒業論文でも、まだ歴史の浅い地方公共団体の監査制度をテーマに選びました。岐阜県庁や総務省などの資料を基に研究を進める中で、一つの地方公共団体だけで監査制度を改善するのは困難なため、国の制度として統一した監査基準を整備する必要性を実感しました。