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所在地愛知県豊川市本野ケ原三丁目22番地
設立1938 年 3 月
代表者代表取締役会長 石川 則男
従業員数連結 7,674 名 / 単独 1,873 名(2024年11月時点)

Viewpoint;工具メーカー業界の現状

工具メーカーとは原材料などを加工することで工具製品を生産し、提供する企業を指します。製造業は日本のGDPの2割を占める基幹産業であり、優れたモノづくりが日本の産業や文化の発展を支えてきた。
工具というものに対しては普段あまり私たちが目を向けることは少ないが、自動車や航空宇宙産業などでの部品としての裏方のポジションで非常に重要な役割を担っている。
ただ、メーカー業界の現状としては近年、競争力の低下が叫ばれている。その背景には人材や材料にかかるコストの高騰、さらには、技術力の高い人材の高齢化や海外進出による退職、人材不足が重なっている。
そのため、日本のメーカー業界では、海外市場の開拓や製造・輸送コストの削減を狙った動きが見られる。

Viewpoint;オーエスジー株式会社の役割

オーエスジー株式会社は1938年に設立され、愛知県豊川市本野ヶ原に本社を構えている。
世界トップシェアであるタップやドリルなどといった工具を製造し、自動車、金型、航空宇宙、エネルギー、重工・建機産業など多岐にわたる製造現場で使用されており、世界に誇る高い技術力を持っている。
ここで「タップ」というものはあまり聞きなじみがないかもしれないが、タップというものは下穴に対してねじを受け入れるための「めねじ」を作成するためのものである。
オーエスジー株式会社は工具メーカーの中でも特に「総合工具メーカー」として、生産だけでなく、生産から販売までの流れのすべてを担っている企業である。
拠点は日本だけでなく、アジアやアメリカ、欧州など世界33ヶ国に製造・販売拠点を配置している。働きやすい職場にするために、障がい者雇用の取り組みや、女性キャリア推進を行っている。
また、休暇の取得のしやすさにも力を入れており、女性の育児休暇はもちろんの事、男性の育児休暇の推進、バースデー休暇の実施などといった取り組みを行っている。企業理念としては「地球会社」という地球全体を単一の市場として捉え、地球的視野で事業を展開することを目指している。

オーエスジーが選ばれる理由;健康経営の先にあるもの

社員の健康維持のために活用されている施設内部の様子(オーエスジー体育館)
オーエスジー株式会社が掲げる健康経営は、社員全員が心身ともに健やかに働ける環境を目指すものです。その背景や成果、社員からの反応を9つの質問と回答から紹介します。


健康経営を始めたきっかけ
 オーエスジー株式会社は、1996年に「地球会社」「健康会社」「環境にやさしい会社」と宣言し、従業員のウェルビーイング向上を目指して「安全」と「衛生」を一体とした安全衛生の取り組みを創業以来実施してきた。2021年より健康経営優良法人の取得を目指し、本格的に健康経営に取り組み始めた。これまでの取り組みを視覚化するために安全健康経営白書の発刊も開始した。健康経営優良法人の取得を目的とするのではなく、ひとつの手段として捉え、最終的な従業員のウェルビーイングという幸せな状態の向上を目指してより一層の注力していく。


従業員からの反応や意見
 健康意識調査というアンケートの結果、健康施策に対する満足度は88.6%と高い水準を記録。ワークエンゲイジメントやヘルスリテラシーが高まることで健康で働きやすい環境が整い、結果として生産性の向上に繋がる。特に運動習慣や生活習慣改善への意識が高まるなど、従業員の健康に対する前向きな変化が見られた。このようなデータは社内の健康意識調査として毎年アンケートを実施している。


健康経営の課題
 健康経営の取り組みは、一時的なものではなく長期的に続ける必要性がある。またその取り組みに対して社員が積極的に参加することが重要となる。面白いと感じてもらえないと続いていかないから難しい。そもそも理解されなかったり、数値化するのが難しいため結果として結びつきにくい点もある。


取り組みの成果
 個人的な成果として運動習慣のある人や、生活習慣を改善中の人の割合が増加傾向にあり、健康施策の実施や個々の健康志向が高まる中で、少しずつ社員の意識にも変化が出始めている。会社的な成果として社内の健康意識調査から、ワークエンゲイジメントやヘルスリテラシーが全国平均を上回る結果となっておりそれにより社員のウェルビーイングや生産性、利益の向上に繋がると考えられる。


今後新たに取り組んでいきたい健康経営

 心の健康を重視するためメンタルヘルスサポートの強化に注力していきたい。しかし新たな取り組みも必要だが現在の取り組みに対して定期的に社員からのフィードバックを積極的に取り入れ、継続的に改善を行っていく。


社員の声から見えるオーエスジーの魅力
 なじみやすく世代を超えたコミュニケーションが活発で、気軽に相談や意見交換ができるアットホームな職場や、給食業者による健康的な社員食堂のメニュー、手厚い育児制度が挙げられた。こういった社内制度の充実や社内の風通しの良さ、健康を意識した制度・食事からもオーエスジー株式会社の「ホワイト500」に選ばれた理由が垣間見えた。特に、活発なコミュニケーションが社内制度の企画や改善を促し、結果として居心地の良い職場環境を作り出している点が大きな魅力であるといえる。


入社の決め手
 地域企業として親しみや、地域社会からの信頼性の高さがオーエスジーを選んだ理由に挙げられた。また、面接時の会社の人の温かみのある人柄も、入社の決め手になったそうだ。特に、地元出身でない方からも地域に根ざした企業として信頼性の高いということが、地域性を知る上でも親近感があった。


求められる人材

 オーエスジー株式会社は「失敗を恐れず、新しいことに挑戦するエネルギッシュな人」、「自らアイデアを出し主体的に行動することができる人」を求めている。グループワークを中心とする職場では、他者とのつながりを大切にできる姿勢も重要だ。どの会社においても必ずしも最初から仕事がこなせるわけではない。明るくて元気のよく、自分から挑戦をする人を求めている。担当者の「現状維持をしているだけではこの先会社自体が続いていけるかわからないためチャレンジすることはとても大切」という言葉からも、チャレンジ精神を重視する企業文化が伝わる。


入社前後での印象の変化
 バースデー休暇のような独自の制度は、従業員に好評である。この制度は誕生日月の前後1か月以内に2日間の休暇がとれる仕組みで、取得率はほぼ100%。ワークライフバランスがとりやすいこと、育児との両立がしやすい制度が充実しており、社員に対しての手厚いサポートを受けられると感じた。こういった制度がしっかりと作られ、リフレッシュの機会を提供することで、育児に対する不安等がなくなり仕事への意欲が高まっていくのだろう。また、そういった意欲の高まりが生産性の向上に寄付し、会社全体の成長にもつながってくる。


column;社員と企業の成長を支える健康経営

 今回の取材を通して、オーエスジー株式会社は、社員の健康を経営の根幹に置き、様々な視点から健康経営に取り組んでいることが印象に残った。
 さらに、単に社員の健康を維持するだけでなく、従業員一人ひとりのパフォーマンス向上を図り、さらに企業全体の活性化へとつなげようとする、先進的な取り組みを数多く実施している事に感動を覚えた。
 特に、社員の健康状態を把握し、適切なサポートを行うための体制が整備されている点が特徴的であった。定期的な健康診断の実施や、相談窓口の設置など、社員が安心して健康に関する相談ができる環境が整っていることは、従業員の満足度向上にもつながるものと感じた。
 また、今回の取材で、取材担当者様が笑顔で丁寧に対応してくださり、実際に社員の方とお話をする中で、働きやすい環境がしっかりと根付いていることを実感することができた。

まとめ

取材の様子
オーエスジー株式会社は、健康経営を通じて従業員のウェルビーイングを高めることを経営の柱に据えている。
取材を通じて、従業員を大切にする同社の姿勢に感銘を受けた。
健康経営の成果が徐々に現れる中で、オーエスジー株式会社は今後も地域に愛され、グローバルな視野を持つ企業として更に成長し続けていくだろう。