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所在地愛知県一宮市浅野西大土96
設立1949年(昭和24年)
代表者岡田 康男
従業員数69人(2023年3月現在)

viewpoint 業界

森本本店はバッグ・財布・マフラー・手袋・ファンシー雑貨などの袋物・服飾雑貨を扱う商社として成長してきた。
商社とは基本的にメーカーの製造した製品の販売をサポートすることが主な仕事であり、メーカーの製造以外の部分を肩代わりして支えている。
そのようにしてメーカーを支えてきた森本本店だが、近年「脱商社」を目指し、メーカー機能を充実させている。
その内容として、社内で商品の企画・デザインを行い、中国を始めとするアセアン諸国の協力工場で製造が行われている。
企画・製造から販売現場まで、消費者目線でトータルにカバーできる「メーカー」を目指している。

viewpoint 企業

株式会社森本本店は、愛知県一宮市に本社を構える企業である。
創業は1781年で240年以上という長い歴史を持ち、その秘訣は、日常生活から得られるヒントをもとに時代の社会情勢・顧客の意識変化に合わせたものづくりを行っているという点にある。
取扱製品には、財布・バッグ・ポーチ・スカーフ・手袋などがあり、春夏秋冬、大人はもちろん、幼児から小中高生まで様々な年齢層に合わせた幅広いバリエーションを取り扱う。
企業理念は「ファッショングッズの企画・生産・販売を通じて人間形成の確立を図り社会貢献できる企業にしていく」であり、例えば養護施設にいる子どもたち向けに、無償で商品を提供するといった地域貢献活動などを通じて社員一人一人の人間性の向上、社会人としての成長を図っている。

ものづくりの本質

消費者目線のものづくり

森本本店社長の岡田様の言葉で「365日、24時間全員がモノづくりのヒントを意識する」という言葉がある。
これには、アイデアは日常の生活から発見でき、仕事をしていない時でも、消費者目線で常に一人一人がものづくりについて考え、部署の垣根を越えてアイデアを出し合うという意味が込められている。
この言葉から分かるように、森本本店では取引先のバイヤーを通じて間接的に消費者の意見を取り入れる、市場で何が売れているのかを他企業のヒット商品を参考に研究するなどの方法で時代のニーズに応えられるようにしている。

従業員一人一人の成長や人間形成を大切に

株式会社森本本店
総務部 参与
 清水 昇 氏
総務部 シニアマネージャー
 森 哲也 氏

地域・社会貢献を通じた人間形成

森本本店は企業理念に「人間形成の確立」を掲げ、地域や社会貢献活動を通じて、社員一人一人の人間性を育むように努めている。
具体的に、社会貢献活動では「持続可能な開発目標(SDGs)」に従い、ペットボトルを再利用した素材の活用を行っている。常に技術的かつ科学的根拠の上、「持続可能な素材の追求」を試みている。また、地域貢献活動では、養護施設や子ども会、地元の祭り等での製品提供を行っている。特に養護施設の活動は、毎年クリスマスの時期に無償で子どもたちに製品を提供している活動だ。このように森本本店は、物資による支援を通じて困っている人をサポートし、地域社会への貢献を果たしている。それらの活動から地域の信頼を積み重ねてきた。以上より、森本本店は「足ることを知り」、地域社会への貢献活動を行っている。そして、そのような活動から社員一人一人の人間性や社会人としての成長を図っている。
また、取材に対応してくださった清水様と森様はこのような言葉を仰っていた。それは、「仕事を教えることは、その人の人生を教えることである」という言葉である。これは取材を通して、一番心に残った言葉だ。この言葉から森本本店は、ものづくりだけでなくひとづくりも重視している企業だと言える。「人材は宝なり」という言葉があるように、従業員一人一人の成長や人間形成を大切にしている企業だと、取材を経て分かった。

健康経営

森本本店が健康経営に取り組むきっかけとなったのは、数年前に社員が舌がんを発症したことがきっかけとなっている。この事から社員の健康が1番であると気づき、健康面に配慮した制度を数多く作成した。
具体的に、通院の為の特別休暇や出張を控える、健康診断受診の促進などが挙げられる。また、全員が腫瘍マーカーによるがん検査を行っており、他にもワクチン接種やコロナウイルスのPCR検査費用を企業が負担するなど金銭面の補助も行っている。
そして、コロナ禍においては有給以外にも休業制度を取り入れ、社員の健康面に配慮した勤務形態に変更した。さらに、残業時間の短縮や勤務間インターバルの実施、育児による勤務時間の短縮など、働きやすい環境づくりにも取り組んでいる。
森本本店ではこのような社員が働きやすい、休職しても戻ってきやすい環境づくりを重視している。社員の健康を第一に考え、身体面と精神面でも社員を支える制度があることは森本本店の大きな特徴であると考える。

これらの活動により、現在森本本店は、「健康経営優良法人」という、特に優良な健康経営を実践している企業に与えられるものに認定されている。社員一人一人の大切さを実感している森本本店だからこそ、社員の意見や要望などを取り入れ、それを迅速に実践し、健康経営に取り組んできた。

創業240年の歴史

column 発見

創業240年以上という長い歴史がある理由には、以上のようなその時々の顧客のニーズに合わせたものづくり、地域や社会貢献活動を通した社員の人間形成、働きやすい、戻ってきやすい環境づくりなど様々な要因がある。今回の取材を通じて、取材担当者様が快く対応してくださり、この企業の働きやすい環境というものを直に感じられた。このような人柄の良さも長年愛される秘訣のひとつであると感じた。
以上より、今後も森本本店は、社員の健康を第一に考えた働き方を実施していくだろう。
そして、常に消費者に寄り添い、他のファッション業界にはないものづくり技術を追求し、成長し続けていくだろう。


チーム紹介

中川 達也 (地域政策学部2年)
山田 紬  (経営学部2年)
斉藤 千桜 (経営学部1年)

※本記事は2023年3月現在の内容となります。