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春日井製菓株式会社
おいしくて、安心して多くの人々に愛され続けるお菓子を
所在地愛知県名古屋市西区花の木1丁目3番14号
設立1948年(昭和23年)4月
代表者代表取締役社長 春日井 大介
従業員数580名(2020年12月末)

viewpoint 業界

 製菓業界とは、お菓子の製造・販売・流通を行う業界である。お菓子には、チョコレートやチューイングガム、せんべい、ビスケット、米菓、和菓子、洋菓子、スナック菓子など、さまざまな種類があり、非常に多種多様な商品の製造販売がされている。そのため、各メーカーはそれぞれの得意分野をもっている。
 近年のコロナ禍では、お菓子の種類によってその影響は異なっている。巣ごもり需要の増加によりポテトチップスのような大袋商品の売り上げが増加した一方で、外出先でのおやつになるグミやチョコレートのような小袋商品の売り上げは減少している。

viewpoint 企業

 春日井製菓は「おいしくて、安心して多くの人々に愛され続けるお菓子作り」を行っている会社である。代表的な商品はキシリクリスタル、こんぺいとう、豆菓子などがあり高齢者を主なターゲットとした懐かしい商品を多く取り扱っている。
 また、春日井製菓は社会貢献にも力を入れており、TABLE FOR TWOという、”先進国の肥満”と”途上国の飢餓”の社会問題を同時に解決しようとする取り組みにも参加しています。
 働きやすい環境作りも進めており、2020年3月には”健康宣言優良事業所 銀賞”を受賞している。春日井製菓は、社会や人材を大切にし変わらないおいしさを届け続けている企業である。

アットホームな職場

「おいしい会社」

 春日井製菓は健康経営に取り組んでいる。きっかけは当時の経営者の一言である。経営者の熱い想いがあるからこそ取り組みへのアクションが行いやすく現在に至っている。
 現在、健康経営として4つの柱が立てられている。
 1つ目はワークライフバランス。平均残業時間は全国が20.6時間であるのに対して、春日井製菓は3.2時間である。また有給では多くの企業が1年間で5日であるのに対して、春日井製菓では6ヶ月に3日取るようになっている。さらに社員の有給取得率はこまめに上司に報告され、有給の取得が遅れている社員には声掛けがされる。春日井製菓は、世間の有給取得促進の流れが始まった2019年よりも前の2008年からこの取り組みを開始している。ここまで積極的な姿勢をとっている企業は世間的にはまだまだ多くないだろう。春日井製菓の健康経営への意識の高さが感じられる。
 2つ目はメンタルヘルス対策。春日井製菓には社員のための相談窓口があるほか、カウンセラーへの相談もできる。ここで相談した内容は、業務改善のために各部署に伝えなければならないことを除いて会社には知らされない。さらに、ホットラインの設置や各種セミナーも開かれている。
 3つ目は生活習慣改善。春日井製菓では食堂の整備やイベントの開催によって社員の生活習慣改善を図っている。食堂は社員が利用したくなるように綺麗に整備され、カロリー計算された種類豊富なメニューが用意されている。さらにコロナ流行前から食前のタイマーを使用した30秒手洗いが実施されるなど、衛生管理も徹底されている。イベントではオンラインウォークや、禁酒日や睡眠時間などの目標が設定された健康ビンゴを開催している。
 4つ目は労働災害対策。こまめな休憩、水分補給による熱中症予防や社員から集めた意見をもとにした危険箇所の改善などを行っており、実際に駐車場で視界を悪くしていたブロック塀を取り壊したこともある。こういった社員の声をすぐに反映させることのできる環境が社員の満足度にも大きく影響しているだろう。
 以上が春日井製菓が行っている健康経営の4つの柱である。
 春日井製菓では昔こそ男性の総合職が多かったものの、現在では総合職にも女性社員が多く見られる。これに対し、特別な対策を講じたわけではないとのことだったが、取材を通して育休の取得環境がこの現状に大きく関わっているのではないかと感じる。常時10人ほどが育休を取得しており、取材を担当してくださった方は3人の子どもにそれぞれ育休を取得したそうだ。男性の育休取得に対しても意欲的である。通常の育休は収入が減るため、男性の取得率は低くなる。そのため男性の育休取得率向上のために5日間の短期間の育休が設定されている。これは通常の給与が全額支給されるため、ほぼ全員が取得しているという。また、送り迎えなどのための短時間勤務制度もあり、家庭の事情に合わせて働き方を選べる柔軟な環境が整っている。さらに、育休中の社内の動向を知れるように会社へ訪れる「パパママ会」の開催や社内報「羅針盤」の発行を行っている。また育休明けには復帰面談も行っており、こういった手厚いサポートの甲斐あって結婚出産しても職場復帰しやすい環境となっている。
 社員同士の交流の場には会社独自の部活制度がある。部活は2人以上なら誰でも設立することができ、大会の出場費は会社から支給される。また、部員の募集や大会の結果は社内報に掲載されるため、部員のモチベーションの向上も期待できる。部活が社員の生活の質(QOL)を保持増進させ仕事の円滑さにも繋がっているのだろう。
 これらの取り組みから1番強く感じられることは春日井製菓は社員のことを大切にする経営をしているということだ。社員を大切にしていることがホワイト企業と言われる由縁だろう。取材を担当してくださった方は、春日井製菓のことを「色んな意味で”おいしい会社”」だと表現してくれた。

私生活を支えている場所

春日井製菓株式会社
総務管理部 総務課長
 佐藤 愛 氏
総務管理部
 濱口 奈央 氏

会社に恩返しがしたい

 佐藤さんはそんな熱い思いをもって日々仕事に打ち込んでいる。しかし入社したときには2,3年ほど経ったら辞めるだろうと考えていたそうだ。そんな気持ちで働き始めた佐藤さんが結婚、出産を乗り越え今も子育てと仕事を両立させ働き続けている。それは、会社が自分を長い目でみて成長させてくれたからだ。
 現在は総務課として勤務されている。以前には人事を担当していたこともあった。そのため仕事の中で後輩が成長し、一人前になっている姿を見ると非常にやりがいを感じると語ってくれた。佐藤さんは後輩を育てることで会社への恩返しをしているのだろう。
 佐藤さんの話を聞き、会社に愛情をもって働いていることが伝わってきた。

私生活あっての仕事

 濱口さんは「私生活あっての仕事」と語っていた。私生活の趣味を楽しむことを仕事へのモチベーションにしているそうだ。プライベートの時間をしっかり確保してこそ仕事は成り立つ。
 一方で「会社は自分の居場所」という考えも持っていた。仕事がうまくいかないとき家族が支えになり、家庭がうまくいかないとき職場が支えになる、そういった環境が春日井製菓にはあるのだろう。仕事は人生において欠かせないものであり、職場での自分があってこそ成長していけるのである。働かなければ分からない気持ちや体験がある。濱口さんの言葉から、春日井製菓という職場は私生活を支えている場所であることが伝わってきた。

働く人々がみな笑顔

 就職において何を一番重視するだろうか。給与や福利厚生、やりがい、将来性など人それぞれだろう。しかし、職場の人々との関係性はそれらの前提となるものではないかと思う。どれだけ給与が高く、その職種に将来性があり長く続けることができそうでも、人間関係に問題があれば仕事はうまくいかず、お互いにストレスになり楽しく積極的に働くことができなくなってしまう。
 私たちが春日井製菓を取材し感じたのは、そこで働く人々がみな笑顔だということだ。私たちへ対応するときも、社員同士で会話をしている時も、とにかく生き生きとしている。これは会社の人間関係がうまくいっている証ではないか。実際、今回の取材に応じてくださったお2人は「とてもアットホーム」、「みんな仲がいい」とおっしゃっていた。
 アットホームな会社には上司、部下が関係なく、意見を言い合える環境がある。遠慮なく意見を言い合える環境では、企画やプロジェクトが生まれやすい。それは会社の成長と将来の安定や社員の働きやすさ、福利厚生の充実にもつながっていくだろう。


チーム紹介

廣瀬 果音  (国際コミュニケーション学部2年)
松澤 萌々子 (文学部2年)
野村 蒼   (地域政策学部2年)
村井 岳人  (地域政策学部2年)

※本記事は2021年10月現在の内容となります。