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所在地豊川市諏訪1丁目1番地
設立1943年(昭和18年)に市制を施行
代表者市長 竹本幸夫
職員数2161名(2022年4月1日時点)

viewpoint 業界

取材風景
 公務員とは国や地方公共団体の公務に携わる人のことである。国民の生活のために公共サービスを提供しており、利益を追求することを目的としていないという点が民間とは異なっている。公務員は大きく分けて、国に勤務する国家公務員と地方自治体に勤務する地方公務員の2種類があり、今回取材した豊川市役所は地方公務員に属している。市役所というと窓口対応のイメージが強いかもしれないが、マラソンやお祭りなどの地域のイベントに関わるものや、インフラ整備や自治体の保有する機械のメンテナンスなど実際に現場に出向いて作業するものもある。働く場所も市役所に限らず、多くの部署に分かれ様々な業務を行っている。住民の生活をよりよくするために、地域に密着した仕事をしている点が市役所の特徴である。

viewpoint 地方自治体

 豊川市は愛知県の南東部に位置しており、人口はおよそ18万人である。市内には鉄道の駅が多く、駅を基点に住宅地が広がっており、利便性が高く、暮らしやすいまちである。また、イオンモールがオープンし、更なるまちの活性化が期待されている。こうした背景から豊川市は、人口減少に悩まされる自治体が多い中で、東三河地区で唯一人口が増加傾向となっている。
 さらに、豊川市は今年の6月1日で、市制施行80周年を迎えた。「もっと、ずっと、豊川。」というキャッチフレーズとともに、まちへの愛着を深めてもらおうと118もの事業を展開し、豊川の魅力発信に力を入れている。その他にも、市役所と民間が協力して、まちのシンボルであり、日本三大稲荷のひとつである豊川稲荷の魅力を広めるために、「ヨルモウデ」というプロジェクトに取り組んでいる。プロジェクションマッピングを用いた、音と光の演出による夜間参拝という、新しい形のイベントとして注目を集めている。

地元で活躍するOBOGの姿

豊川市役所 
伊藤 峻吾 氏             神藤 晴日 氏
企画部秘書課              財務部市民税課
2022年度 法学部 卒業          2022年度 地域政策学部 卒業
今回の取材には、本学を2022年に卒業された伊藤峻吾さんと神藤晴日さん(以下「伊藤さん」、「神藤さん」)が協力してくださった。伊藤さんは企画部秘書課に所属しており、広報「とよかわ」やテレビ・インターネットなどを通じた積極的な市政情報の発信に取り組んでいる。神藤さんは財務部市民税課に所属しており、個人市民税・県民税及び法人市民税の賦課・更正及び決定、市民税の申告の受け付けなどを行っている。お二方は共に出身が豊川で、地元で働きたいとの思いから豊川市役所を選んだそうだ。

豊川市役所で取り入れられている制度

  豊川市役所が行っている制度について説明していきたい。まず1つ目は、ジョブローテーションである。ジョブローテーションとは、若手職員は3年程度、中堅職員は5年程度でほかの部署に異動するシステムのことである。ジョブローテーションを行うことで、職員はひとつの部署にとどまることはなく、様々な部署で仕事をすることになる。このことについて、OGの神藤さんは、「市役所の仕事内容は、数年ごとに課が変わるので転職をしているようだという声を聞く」と仰っていた。また、部署間での協力が必須の仕事が多くあり、異動することで他の部署の仕事内容を理解でき、知識が増えることで市民からの質問にも答えられるようになる。さらに、多くの人と関わることで市役所の仕事で特に必要なコミュニケーション能力も身につく。
 次にサポーター制度についても伺った。サポーター制度とは社会人経験のない新人職員に先輩が1人つき、仕事などで困ったことがあれば一緒に解決してもらえるというものだ。これによるメリットは仕事を早く覚えられるだけではない。相談できる人が明確であるので、1人で問題を抱え込むことなく、問題解決へとつなげることができる。また、サポーター制度により、職員同士の交流を深めることができる。OBOGの伊藤さんと神藤さんもこのサポーター制度により、不安が解消されたと仰っている。

仕事のやりがいと大変だったこと

 お二方に仕事のやりがいと大変だったことは何かを伺った。伊藤さんは、秘書課として豊川市がどのようなことをやっているのか伝えることができること、記事を褒められることがやりがいだと話されていた。また、プロサッカー選手になった友人を取材し、記事にできたことが嬉しかったとも話されていた。大変だったことについては、触ったことのないソフトの使い方を覚えること、取材など未経験のことが多いこと、誰が読んでもわかりやすい文章を作ること、市民の皆さんからの意見を聞いて市長に届ける中で良くない意見があることが大変だと話されていた。神藤さんは、窓口で適切な対応をして感謝されたこと、1年目より担当業務に対して仕事ができていると感じたことがやりがいだと話されていた。大変だったことについては、老若男女色んな人がいて意見を聞くこと、厳しい意見を受け止めて次の機会で生かすことが大変だと話されていた。しかし、お二方はこの大変だったことを新人サポーター制度で乗り越えたと話されていたため、豊川市役所職員にとって新人サポーター制度が良いものだということが伺える。

仕事に生きた学生時代の経験

 お二方に学生時代の経験が仕事に生きたことはあるかを伺った。伊藤さんは、飲食店で働いた経験が市民の方との接し方に役立ったと話されていた。飲食店には様々なお客さんが来るので、対応の仕方を学べるそうだ。神藤さんは、児童クラブで働いた経験が窓口での対応に役立ったと話されていた。OBOGの方々の仕事に生きた学生時代の経験に共通して言えることは、コミュニケーション能力を向上させるような経験が役立ったと感じていることである。豊川市役所では、個人情報のダブルチェックなど協力してやらなければならない仕事がほとんどであるため、たとえ合わない人であっても仕事内ではいい関係にならなければならないそうだ。そのため、人間関係を上手く構築できるようコミュニケーション能力が求められる。学生時代に資格を取ることも勿論大事だが、様々な人と出会い、コミュニケーション能力を上げることができれば、就活だけでなく、入職・入社後にもきっと役に立つことがあるだろう。

column発見

 OBOGの方に市役所職員として働く上でどのような能力が求められるか伺ったところ、「適応力」と「コミュニケーション能力」が必要であると仰っていた。市役所での仕事は多岐にわたるため、その場での適応力が求められる。また、仕事はチームで行うことも多いので、協調性も求められる。大学生活の中では、サークル、ボランティア活動、アルバイト、ゼミ活動など様々な経験ができる。このような活動に積極的に参加し、多くの人と関わることで、就職したときにその経験を活かせるのではないかと感じた。
 また、豊川市役所では育児休暇取得率が男女ともに平均よりも高いものとなっている。育児休暇が取得できるというのは、申請しても大丈夫だという職員の雰囲気があってこそのものであると思う。OBの伊藤さん、OGの神藤さんのお話の中で、仕事で苦労したことを、サポーター制度で先輩職員の方に助けてもらって乗り越えたというお話があったことや、取材中に笑顔が見られる場面もあったことなどから、困ったことがあれば人に頼ることができ、暖かく、働きやすそうな職場の様子が伝わってくる取材であった。

チーム紹介

吉田 百桃佳(法学部1年)
川地 涼太(法学部1年)
冨永 侑里(法学部1年)
稲垣 暢堂(法学部2年

※本記事は2023年11月現在の内容となります。