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所在地東京都千代田区丸の内1-2-1
設立1879年(明治12年)8月
代表者取締役社長 広瀬 伸一
従業員数17,008名(2022年3月31日現在)

viewpoint 業界

 保険業界は人によるビジネスである。多種多様なリスクに備えるサービスを通じて、すべての人に安心・安全を提供している。
 中でも損害保険業界は、人の生死以外に関わるあらゆるリスクをカバーしている。自動車事故や自然災害だけでなく、介護・医療・がんへのリスクに備える保険商品の提供など、その範囲は多岐に渡る。
 さらに、暮らしを支える鉄道・電気・ガス・水道などを供給するインフラ産業にとっても「万が一」に備えるための保険は重要なサービスである。このことから、損害保険業界は『インフラのインフラ』とも呼ばれている。
 損害保険業界は、私たちの暮らしを守るだけでなく、世界中のあらゆるリスクと向き合うことで新たな一歩を踏み出す人をサポートする、非常に社会貢献性の高い業界だと言える。

viewpoint 企業

 東京海上日動火災保険会社(以下、東京海上日動)は、損害保険業界のリーディングカンパニーとして、業界を牽引し続けている。
 東京海上日動のビジネスセクションは大きく分けて3つある。
 1つ目は、クライアントのニーズに沿った最適な保険を提供する「営業部門」。2つ目は、保険金のお支払いを通じて、事故や災害に遭われたお客様に安心を提供する「損害サービス部門」。3つ目は、商品開発や経営企画などを通して現場第一線を支える「コーポレート部門」である。
営業部門の仕事は、大きく2つに分類される。
 1つ目は、法人に対するリスクコンサルティングである。
 これは” B to B “と呼ばれるビジネスモデルで、企業によって異なるリスクを分析し、オーダーメイドで保険商品を提供している。東京海上日動が持つノウハウや広大なネットワークを活用し、防災・減災などの最適なソリューションを提案している。
 2つ目は、販売ネットワークの支援である。
 法人に対するアプローチとは対象的に、個人のお客様に対しては” B to B to C”というビジネスモデルを取っている。東京海上日動の社員が直接お客様のところに訪問して商品を販売するのではなく、保険代理店(以下、代理店)という販売基盤を通じて商品やサービスを提供している。お客様に最適な保険商品を提供するための販売指導はもちろん、代理店の経営基盤をより強固なものにするため、経営判断や投資判断などのマーケティング業務にも力を入れている。
 損害サービス部門では、事故に遭遇したクライアントの対応から保険金の支払いまでを担当し、迅速で円満な事故解決をサポートしている。さらに、豊富な事故データを活用した「ロスプリベンション」と呼ばれる事故防止策の提案も行っている。事故を未然に防ぐことで社会課題の解決に貢献し、すべての人々に安心・安全をお届けしている。
 これらの業務を円滑に行うことができるのは、社風に理由がある。東京海上日動の社風は、「自由闊達」と「チームワーク」の2つである。社内で風通しの良いフラットな関係を築き、新人もベテランも関係なく意見が出しやすい環境を作っている。
 この社風を重視することで、最高のチームパフォーマンスを生み出し、クライアントに対してより良いサービスの提供を行っている。

〜社員の発意を尊重するために〜

東京海上日動火災保険株式会社
谷口  紗代 氏
東海・北陸エリアサービス部 人事・総務グループ
2022年  国際コミュニケーション学部 卒業

 東京海上日動の社員は「自ら考え、発信し、行動する」ことが常に求められている。そんな社員一人一人の発意を尊重する各種制度が充実している。どのような制度があるのかについて、本学OGで人事・総務グループの谷口氏に伺った。谷口氏は、多くの制度の中から2つ紹介された。
 1つ目は、「JOBリクエスト」制度である。
 これは、社員が自らのキャリアビジョンをより広く・深く考えられるように支援する制度である。このJOBリクエスト制度の中には、エリアコース向けの勤務エリアに関するものが2つある。
 まずは「Uターン」である。これは、転居・転勤の無いエリアコース従業員がもとの勤務エリアに戻ってくることを条件に、一定期間転居・転勤し、自らの適性を活かして、今の勤務エリアにはない様々な仕事に挑戦する制度である。実際にこの制度を活用し、エリアコースの社員が海外への異動を実現した例もある。
 続いては「Iターン」である。これは、転居・転勤の無いエリアコース従業員が、結婚や親・配偶者の転勤などの際、勤務エリアの変更をすることで、継続して勤務することを可能にする人事制度である。
 このように、「JOBリクエスト」制度は、社員一人一人の多様な働き方を尊重する重要な制度として、多くの社員が活用している。
 2つ目は、「プロジェクトリクエスト」制度である。
 これは、現在所属している部署の業務を担いながら、本店コーポレート部門のプロジェクトへの参画にチャレンジする制度である。日常の業務とは異なる視点から経験を積むことで、成長の機会を得ることができるほか、なりたい姿やキャリアビジョンの幅を広げるきっかけにもなる。
 実際にこの制度を使っている本学OBの坂巻氏は、「普段接点のないメンバーと関わり、営業目線で本店の仕事をすることが自分の成長につながる」と話す。
 以上のような、挑戦を後押しする制度を充実させることで、社員の成長を促し、「自ら考え、発信し、行動する」人材の育成に繋げている。

~心身ともに健やかに働くために~

 「東京海上日動では、人材が最も大切だと考えている。社員の成長こそが会社の発展につながる。」と谷口氏は話す。先述したような人事制度だけではなく、社員一人一人が活き活きと働き続けるために、メンタルサポートにも力を入れている。今回は、数あるメンタルサポート制度の中から次の3つを紹介する。
 1つ目は、「ストレスチェック」である。
 この取り組みは年1回全社員に実施され、職場のストレス要因を把握し、社員のメンタル不調を早期に察知・職場環境を改善することに役立っている。ストレスチェックを受けた感想として、本学OBの坂巻氏は「自身の心の健康状態を客観的に把握することができる機会」と話す。
 2つ目は、看護職の社員を常駐させる仕組みである。
 会社内に休養スペースを設けるだけでなく、身体や心に悩みを抱えこまないようにサポートする環境も充実している。
 3つ目は、MCOである。これはマンスリーチェックアウトの略称であり、悩みを抱え込みがちな若手社員向けのメンタルケアとして行われているアンケートである。
 名前の通り1年目の社員は毎月あり、2年目の社員は3か月に1回行っている。直近を振り返った時の心情を天気のマークで回答することから答えやすい形であり、自身の今の状況を人事に伝えることができる仕組みとなっている。何か困りごとがあれば、人材担当か看護職の社員が対応するサポート体制が整っている。
 このように、社員一人一人が活力を持って自分らしく働ける環境を整えることで、東京海上日動は『人によるビジネス』を体現しているのである。

~女性も活躍できる環境作り~

 東京海上日動では「子育てをしながら仕事に取り組み、キャリアアップを目指す社員の成長を応援していきたい」という思いを大切にしている。そのため、産休前面談・復職前面談、出産休暇・育児休業中の定期的なコミュニケーションに力を入れている。
 さらに東海北陸エリア独自の取り組みとして、「マタニティ会」「カンガルー会」という社内説明会を産育休者と所属長を対象に行っている。
 「マタニティ会」は産育休に入る前の社員向けである。ここでは産育休に入るための各種申請方法や、復職に向けた手続き(保活など)の説明、産育休を経験した先輩社員からの講話などを行っている。
 一方、「カンガルー会」は産育休から復職する社員向けである。ここでは時短勤務など、仕事と育児の両立をサポートする制度の説明だけでなく、産育休を経てどのように働き方が変わったかなどを先輩社員から聞くことができる場を設けている。
 このように、先輩社員からの情報提供の場やコミュニケーションを取ることができる場を作ることで、安心して産育休に入り、当たり前のように復職できる環境が整っている。これらは社員にとっても有益であると好評だそうだ。

~信頼ビジネスと人材育成~

サンプル画像1
東京海上日動火災保険株式会社
坂巻  遥都 氏
三重支店 松阪支社
2021年  地域政策学部 卒業

東京海上日動火災保険株式会社
加藤  愛菜 氏
愛知南支店 愛知南Dチーム
2010年  経営学部 卒業

 東京海上日動で行われる営業は大きく分けると、先述した通り2つの種類がある。今回取材した営業部門の加藤氏と坂巻氏は、“B to B to C形式”で代理店を仲介して営業を行う方々である。
 「仕事をする上で大切にしていることは何か」という質問に対し、加藤氏は「代理店との信頼関係が最も大切である」と仰っていた。
 個人向け商品の営業は、必ず代理店を仲介して行われるため、代理店との良好な関係を築き上げることが非常に重要である。また、一つ一つの保険商品をどのようにお客様にご提案するのが最適であるかを、代理店に対してコンサルティングすることも大切な業務の一つである。
 さらに、代理店との認識のずれをなくし、照会に対してスピーディーな対応を取れるように努めることで、「代理店との信頼を大切にすること」に繋がるともお話されていた。
 このような、代理店とのより良い信頼関係の構築を実現するために、東京海上日動では充実した人材育成制度を整えている。
 50種類以上あるコンテンツの中から学びたい内容を自由に選んで受けることのできる「学びのカフェテリア」や、いつでもどこでも活用できる「e-learning」など、会社で用意されているプログラムを利用して専門性を高めることで、主体的に行動できる人材を育てている。そのほかにも、「SP制度」とよばれる、同じ職場の先輩が新入社員に対してマンツーマンで指導・相談にあたる制度がある。
 私たちは取材を通して、このような人材育成に力を入れているからこそ「保険」という形のない商品を扱う中での信頼関係を築けていると感じた。だからこそ、信頼される会社であり続けているのであろう。

コラム

 取材させて頂いた中で、東京海上日動では、形のない「保険」という商品を販売する上で、人と人の繫がりや信頼関係の構築を重要視していることが分かった。代理店やクライアントとの信頼関係を築き上げるために必要な人材育成に力を入れ、社員の学びの機会を作り、信頼ビジネスの体現ができるよう尽力しているのだ。
 時代の変化とともに革新的な技術が開発されていくが、その裏には必ずリスクが存在する。それらのリスクに対応し商品を提供し続けるこの仕事は、まさに無限の可能性を秘めていると言っても過言ではない。その中で、「自ら考え、発信し、行動する」ことを大切にし、チームとして成長し続けているからこそ、東京海上日動は常にトップを走り続けているのであろう。

チーム紹介

上嶋 恵(経営学部1年)
伊藤 圭希(経済学部1年)
𠮷田 優太(経済学部2年)
谷口 菜都美(国際コミュニケーション学部2年)

※本記事は2022年11月現在の内容となります。