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所在地名古屋市中村区名駅一丁目1番1号(グローバル本社)
設立1929年(昭和4年)
代表者代表取締役 執行役員社長 清水 和志
従業員数単独 3,249名 ( 2023年3月末現在 )

viewpoint 業界

 住友理工株式会社(以下住友理工)は自動車部品を製造しているため自動車業界と密接に関わっている。
 現在の自動車業界は100年に1度の変革期に直面しており、その変革の鍵を握るのが「CASE」である。CASEとは、「コネクテッド(Connected)」「自動運転(Autonomous)」「シェアリング(Shared & Services)」「電動化(Electric)」の頭文字を合わせた言葉であり、自動車産業に関わる企業はこれらに対応する必要がある。
 時代とともに変化していく「車のかたち」に自動車メーカーがどう向き合っていくのかが注目される。

viewpoint 企業

 今回取材させていただいた住友理工は1929年に三重県四日市市で創業され、現在は愛知県にグローバル本社と小牧本社を構えている。
 住友理工を代表する製品は自動車用防振ゴムと自動車用ホースである。防振ゴムは車体と部品の間に付けられることが多く、クッションの役割を担っているので「車の関節」とも呼ばれる。ホースは燃料系ゴムホースやエアコンホースなど様々な種類のホースが製造されている。2023年現在の世界シェア率は、防振ゴムは28%(世界シェアトップ)、ホースは19%(国内シェアトップ)であり、自動車部品業界において世界トップクラスのシェア率を誇っている。

CASEの進化を加速させる


 
 住友理工がCASEの中で特化して取り組んでいるのが「自動運転」と「電動化」である。一部の製品を紹介する。
 自動運転には自動運転の度合いを示す自動運転レベルが存在する。「ステアリングタッチセンサー」という製品は、電気を通すSRセンサによってステアリングを握る状態やポジションを検出し、自動運転から手動運転への安全な切り替えをサポートする。
 電動化では既にトヨタ自動車株式会社から発売されている電気自動車の「bZ4X」で新たな部品として使われている製品がある。電気自動車の心臓部に「eAxleマウント」という製品が採用されている。
 自動車業界の変革によりこれまでの自動車部品の売り上げに変化はあるかもしれないが、住友理工の強みは素材の開発から行っているため、お客様のニーズを満たせることだ。自動車用防振ゴムや自動車用ホースの開発を通じて、蓄えてきたその技術をさらに発展させることで、CASEの進化をさらに加速させていく。

他の事業でも住友理工の技術を生かして

 住友理工の事業は「自動車」「ヘルスケア」「インフラ」「住環境」「エレクトロニクス」という5つのフィールドに分かれている。売り上げの大部分は自動車が占めるが、他の事業でも社会づくりに貢献している。今回は取材した際に特に興味深いと感じたヘルスケア、インフラ、住環境について紹介する。
 まずは高齢化社会を支えるヘルスケアだ。住友理工が得意とするゴムを使用した製品が医療や介護現場で見られる。「スマートラバー(SR)センサ」という製品は、独自開発したゴムでできた体圧分布センサーにより圧力の見えるかを実現し、床ずれ防止やリハビリ支援などで活用されている。また、スマートラバー(SR)センサを応用し、就寝時の睡眠状態を確認し、睡眠時無呼吸症候群の兆候を計測するサービスをカプセルホテルへ導入している。
 次にインフラ・住環境について紹介する。住友理工の製品は産業の基盤づくりや公共交通機関の発展に貢献している。地震の脅威から高速道路の高架や橋を守るためのゴム支援も行っている。ゴムが振動を吸収する大きな役割を果たす。木造住宅や高層ビルのような様々な建造物にも、人々の生活の安全を守る地震対策用制震システム「TRCダンパー」が設置されている。
 このように住友理工の製品は自動車だけでなく、医療現場や住宅など多岐に渡って使用されている。住友理工の技術は私たちの身の回りの生活を支えているのだ。

持続可能な社会を支える

 住友理工はゴム・樹脂・ウレタンを原材料とした様々な製品を提供している。だが、製造過程での廃棄物の発生、自動車の寿命に伴う廃棄部品の発生などを原因として大量のゴム廃棄物などが生み出されているのも現状だ。そこでアメリカのバイオ技術会社と提携し、微生物による培養でゴム・樹脂・ウレタン廃棄物の再利用を可能にしていく活動を行っている。
 さらに住友理工は創業100周年となる2029年に向けて住友理工グループのビジョン「2029V」を掲げ、部品メーカーとして環境に配慮した素材で持続可能な社会を目指している。

社員のワークライフバランスを目指して

 住友理工は育児支援制度として結婚・出産後も仕事を続けられる環境を整備している。「コアラぽっけ」という事業内託児所を設置し、働きながら育児をする社員への支援を行っている。男性の育児参加も積極的に支援していく。
 また、世界20ヶ国以上で事業を展開しているため海外派遣した社員への支援も充実している。年に1回日本へ帰国する際のフライト代の補助がある。現地では日本食が手に入りにくいため、日本食の郵送サービスも行っている。

学生時代を楽しんで自分に必要なことを

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住友理工株式会社
比澤 修平 氏
人事総務本部 人事部 グローバル人事課
2014年度 経営学部 経営学科 卒業

 今回取材させていただいた愛知大学OBの比澤修平さん(以下「比澤さん」)に就職活動や入社後のことについて伺った。
 比澤さんは学内のセミナーに参加した際に住友理工を初めて知った。1年間の海外留学をしていたため海外に関われる仕事がしたいと考えており、ものづくりにも興味があったため住友理工を選ばれた。
 入社後は住友理工について、会社の規模が大きく影から人々の生活を支える製品を製造しており、社員の方々が真面目に仕事に取り組んでいるという印象を抱いたそうだ。入社後に特に大変だったことは人間関係の構築とコミュニケーションを取ることであり、業務を円滑に進められるようにまで努力を要した。目の前の業務を真摯に行い、不明点があれば正直に聞く。これを意識して、先輩方から信頼してもらえるようにひたむきに取り組まれた。
 また、思い出深い仕事について企画を自分で考えて導入まで行ったことだと話す。人事の事務仕事の1つである入社後の手続きをそれまでは手作業で行っていたが、その手続きの電子化を自分で実現したのだ。今後は海外で働くことが目標である。
 最後に比澤さんから就活生へのメッセージを頂いた。「学生時代を楽しんでほしい。自分に必要なことを考えて行動することが大切だ。」大学生は時間に余裕があるので、その時間をうまく活用することで自分のためになり、面接ではアピールできるので頑張ってほしいと仰った。

コラム

 住友理工を取材させていただいた中で、住友理工が変動の激しい社会を支える製品を世に送り出していることが分かった。自動車業界の100年に1度の変革期や高齢化社会、持続可能な社会に対応できるのは「素材」から開発しているからだ。「素材力」で世界中のお客様のニーズに応え、幅広く社会へ優れた製品・サービスを提供している。
 また、愛知大学OBの方、人事部の方と接して、会社内の暖かい雰囲気の中で取材を行うことができた。社員が働きやすい環境づくりも行うことで社員の育児や海外進出を後押ししている。
 そして、愛知大学OBの比澤さんが仰るように大学生には有効に活用できる時間がある。様々なことに挑戦しやすい時期でもある。学生時代を楽しみながら自分に必要なことを考えて行動し、将来の選択肢を広げていきたい。


チーム紹介

杉山 和嘉子 (経営学部2年)
林田 遼   (現代中国学部1年)
谷村 美羽  (経営学部1年)

※本記事は2023年11月現在の内容となります。