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所在地東京都千代田区神田和泉町2番地
設立1937年(昭和12年)10月1日
代表者代表取締役社長 斎藤充
従業員数34,449名(グループ全体 2021年12月6日現在)

viewpoint 業界

 物流は私たちが生活していくうえで、あらゆる場面で欠かせないものである。そもそも「物流」とはその名の通り「物の流れ」であり、物流業界ではそれを扱っている。単に「物の流れ」を扱うといってもその業務は輸送、保管、荷役、包装、仕分け、流通加工と多岐に渡る。輸送方法にはトラック輸送、鉄道輸送、海上輸送、航空輸送などがあり、商品やサービスに合わせて適切な方法で輸送している。中でも、トラック輸送は業界全体の9割以上を占めている。さらに、商品を保管するための「倉庫」も物流では重要な役割を果たしている。
 また、物流業界は運送事業者の9割以上、中小企業が担っているという特徴を持っている。近年では、人手不足やECによる小口配送の増加に伴い、ロボットや高度な物流システムを活用することで省力化を図るとともに、幅広い人材の採用が重要視されている。

viewpoint 企業

 日本通運株式会社(以下、日本通運)は総合物流事業者である。2022年1月、組織改革によりホールディングス化した。これにより、ますます、グローバル化、多様化、効率化が図られている。
 日本通運の最大の強みはなんと言っても、輸送手段に陸海空、全てを兼ね備えているという「総合力」である。全てを兼ね備えているがゆえ、航空輸送と陸上輸送、海上輸送と陸上輸送というような組み合わせが、ひとつの会社で可能だ。お客様のニーズに合わせ、最適なプランを提供できるのだ。さらに、この総合力は災害時にも大きな役割果たしている。例えば、大地震が発生した際、鉄道などのインフラが途絶えても、船やトラック等の輸送手段を用いて被災地に支援物資を供給できるほか、お客様の荷物を安定的にお届けすることに繋がっている。ひとつの輸送手段だけでなく、多くの代案を出すことが可能なのは日本通運ならではだ。
 日本通運の社風としては、社員の方々から「真面目」「面倒見がいい」「優しい」などが挙げられた。中には、「ルールに厳しい」というのもあったが、これは、型にはまっているというわけではなく、物流の現場は、常に危険と隣り合わせであると考えているからだ。「安全は全てに優先する」この考えが、スピーディーかつ安全な運送、信頼される存在という日本通運を支えているのだ。

総合力を活かして

‐女性も活躍できる日本通運‐

日本通運株式会社
金山  侑奈  氏
名古屋支店 ICT開発
2019年度 国際コミュニケーション学部 英語学科 卒業

 今回の取材には、本学を卒業されたお二人の方と採用担当の方に協力をして頂いた。1人目の金山さんは、日本通運がインフラ系であり、業界大手であることを決め手とし入社した。最初に配属された刈谷営業所では、トラック輸送の依頼受付や書類作成、荷物積込指示、安全確認パトロール、請求作業に加え、RPA(※) 推進者として、社內事務処理の効率化、社外システムを利用したシナリオ作成や困りごとのヒアリングなどの業務を行っていた。現在も名古屋支店へ異動後、RPA開発者として業務にあたっている。「運送」と聞くと、男性中心の現場仕事という印象が浮かぶかもしれない。しかし、金山さんにお話を伺う中で、物流には運送以外にも関係する業務が様々あり、生き生きと仕事をする女性の姿を見ることが出来た。金山さんの仕事はマニュアルが無いことが多く、上司から口頭で教えて貰うことが殆どだったそうだ。そのため、金山さんは自分のオリジナルマニュアルを作り、業務にあたることで効率よく仕事をこなしていた。また学生時代に、数多くのアルバイトをした経験が、効率よく仕事をこなす力に繋がり、仕事での壁を克服することに役立ったと言っていた。そんな金山さんの今後の目標は、IT関連業務で活躍していくことであるそうだ。社內の効率化システム開発を促進し、結果的に社內全体としての無駄な時間の削減につなげることに力を入れたいと仰っていた。

(※)RPA(Robotic Process Automation):PC上で行う業務をロボットを活用して自動化する技術

‐長年に渡り日本通運を支える社員‐

日本通運株式会社
小林 高久 氏
名古屋支店 総務
1986年度 法経学部 経営学科 卒業

 2人目の小林さんは、30年以上日本通運で働くベテランだ。入社前、物流業界が、社会経済活動への貢献度が高く必要不可欠な存在であること、縁の下の力持ち的存在であることに関心を持っていた。そして中でも、陸海空の輸送手段を持って全国と世界のネットワークで連携事業を展開し、歴史の深い日本通運に魅力を感じ、入社した。小林さんはその後、多岐に渡り業務を行ってきたが、入社10年目くらいの時に会社が面白く感じなくなった時期があったそうだ。しかし、そんな小林さんを見かけた先輩が気にかけてくれて、相談にのってくれたり、家庭との両立のために時間の融通を図ってくれたりした。そのおかげで自身の考え方も変わり、このような人々がいる会社ならと、楽しく安心して仕事に取り組めるようになった。社內には親切な  
 従業員が多く、壁に直面しても、一人で抱え込むのではなく頭を冷やし落ち著いて考え、周囲に相談して解決を図ることができる。学生時代に様々な人とコミュニケーションを取ることは、社会でも必ず役に立つと仰っていた。
 取材に協力してくださった他の社員の方々も、大学の勉強に加え、傾聴力を必要とするフィールドワーク、発信力を必要とするプレゼンテーションなど様々な事に挑戦したことや、好きなことを見つけることが、やりがいを持ち生き生きと働く事に繋がっていると話してくださった。
 2022年7月で役職定年になった小林さんの今後の目標を伺うと、気持ちを切り替え、シニアの経験が新しい若い職場での一助となればと考えていると仰っていた。

‐日本通運の求める人材‐

 採用担当の加藤さんによると、日本通運が求める人材には大きく3つあると仰っていた。1つ目は、自分で考えて行動できる人。目の前の課題をこなすだけでなく、臨機応変に対応していくことが仕事をしていく上で大切である。2つ目は、コミュニケーション能力がある人。様々な部署が関わって業務をこなすため、相手のことを考えて行動をし、連携を図ることで円滑な輸送に繋がるそうだ。3つ目は、向上心を持ち続ける人。難しい業務に対しても諦めずに、他の社員と協力して遂行する姿勢が大切にされている。

‐発展する日本通運を支える社員の環境‐

 日本通運は「ルールに厳しい」という話があった。他の会社から来た人達が口を合わせて言う言葉だという。「ルールに厳しい」というのは決してネガティブな意味ではなく、コンプライアンス遵守や安全優先という意味がある。物流業界は、常に危険と隣り合わせの業界でもある。しかし、日本通運が掲げているルールがあるため、社員は安心安全に、仕事を行うことができ、顧客も安心して日本通運に仕事を依頼することが出来る。一方、服装の自由化により私服で働いている方が多く、フラットで自由な環境に整備されている印象を受けた。さらに、見学をした名古屋支店ではオフィスの中に自由に使えるスペースが多くあり、他部署の社員とコミュニケーションも取りやすく、気持ちをリフレッシュして仕事に取り組める環境が整備されていた。

‐コラム‐

 OGの金山さんとOBの小林さん、取材に応じてくださった社員の方々が、温かい雰囲気を作ってくださったため、私たちの緊張がほぐれ、楽しく取材をすることが出来た。社員全員が口を合わせて、「良い会社だ。」とおっしゃっていた。話を伺う中で、日本通運は利益を得ることと同時に社会貢献や信頼も大切にしていることが感じ取れたため、社員の方々が満足している様子が窺われた。さらに、個人で行う仕事よりも社員全員で協力して行う仕事が多いためか、上下関係を感じさせないような和気あいあいとした職場であった。会社は社員に対し、職場全体会議を実施し、積極的に社員の意見を取り入れ、居心地のよく、働きやすい職場を作る取り組みをしていた。加えて、若手社員でも意見が言いやすい場を作り、小集団ごとに解決したい問題を提起できるチャレンジサークル活動もあった。
 このような取り組みが、社員が活躍できる職場を作り、リーディングカンパニーである日本通運を支えていると考える。

チーム紹介

松本 貴雅 (経営学部1年)
吉見 安未 (国際コミュニケーション学部1年)
小澤 奈央 (現代中国学部1年)
筒井 由華 (現代中国学部1年)


※本記事は2022年10月現在の内容となります。