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所在地東京都中央区八重洲二丁目7番15号
設立1898年(現メディセオは2004年設立)
代表者代表取締役会長 長福 恭弘
代表取締役社長 今川 国明
従業員数7,208名(2022年3月31日現在)

viewpoint 業界

 メディセオは医療用医薬品の卸売業を主な事業としている。一般に卸売業とはメーカー等から商品を仕入れ、小売業者等の業者に販売する事業である。卸売業者はメーカー と小売業者をつなぐだけでなく、商品の在庫管理や配送などの流通機能も担っている。 医薬品は人々が健康な生活を送るうえで欠かせないものなので景気に左右されづらく、それを流通させる医薬品 卸売業は社会インフラとしての役割もあり、震災などの有事の際も活躍を期待される。 また業界内では、メディセオが所属するメディパルホールディングス、アルフレッサホールディングス、スズケ ン、東邦ホールディングスの大手四社が全体の 8 割を超えるシェアを誇っている。

viewpoint 企業

 株式会社メディセオは医薬品卸売業として多様な商品を提供している商社である。『流通価値の創造を通して、人々の健康と社会の発展に貢献します。』を経営理念とし、2004年に設立した。今では東日本を中心とした30都道府県に135拠点を構える。
「メディセオの願い…それは“すべての人々が健康であること”」
 メディセオは商品を、いついかなる時でも、必要な時に、必要な量だけ、安心・安全・効率的にお届けすることを追求する。それは震災などの有事の際も同じ。「すべての人」が「健康」でいられるようにメディセオは革新を続ける。
 近年、国の医療費削減政策により、医療卸売業界は薬で利益を確保することが難しくなっている。このような状況下でメディセオは営業担当者のMR資格取得を推進やICT企業とのパートナーシップ連携を行うなどして、薬の販売以外へと事業を拡大している。医療卸売業界でのリーディングカンパニーという立場でありますが、現状に満足するのではなく、人々の健康と社会発展につながるさらなる革新を続けている。

OBOG

株式会社メディセオ
神戸 衛士 氏 
中部支社愛知第二営業部名古屋東支店 所属  
2014年度 経営学部 卒業

山本 那月 氏
営業本部AR企画推進部ウィメンズグループ 所属  
2014年度 国際コミュニケーション学部 卒業


医薬品卸業の営業職とは

 今回取材させていただいた本学OBOGの神戸衛士さん、山本那月さん(以下「神戸さん」、「山本さん」)のお二方は、営業職としてご活躍されている。
医薬品卸売業の営業職は、得意先が医師やメーカーの方が中心となるため、医薬品に関する専門的な知識を有している必要があるという。
そのため、メディセオの営業職では現在、入社一年目の研修にて医薬品についての専門知識を持ち、適切な情報を提供するための「MR」資格の取得する期間を設けている。
得意先である医師は、「どの病状にどの成分が効くか」は理解しているが、その成分が入っている医薬品の「種類」は知らないことが多い。そのため、「MR」資格を持っていることで、面談を経て得意先のニーズにあった情報の提示と医薬品の提供をすることができるという。
 そのような営業の活動を含んだお二人の一日の流れは、午前は昨夜の商品の発注や受注、得意先からの業務の準備、依頼案件の確認、各得意先への薬の情報の発信、得意先の案件の発掘、医師との面会、午後からは病院や薬局を回ることや会社での勤務が主となる。営業職では医師への営業をするため、医師の診察が終了する昼の時間帯が一番面会をする機会が設けやすいという。その機会に備えて午前にたくさんの仕事をこなすというのが大まかな流れということがわかった。

「営業」という仕事をされている中での「工夫」

 私たち学生から見て、お二人が就かれている「営業」という仕事に対するイメージを問われて最初に思い浮かぶことが「ノルマ」という言葉であると思う。実際にお二人にお伺いしたところ、営業職に「ノルマ」というものは存在していた。
 営業職を務められる中で神戸さんは、一人で行うのが営業職だけれど、自分の評価は所属している支店の評価に繋がることを意識してみえた。そして、山本さんは、現在所属されているウィメンズグループ(ウィメンズコーディネーター)は、営業先である産婦人科を担当者毎に訪問または、メーカーや営業担当者と一緒に同行訪問し営業活動を行っています。一般の営業職との相違点は「ノルマ」が無いため、営業職との差異化を求められており、今後ウィメンズコーディネーターが出来る事や、やりがいを模索していると言われていた。
 このように同じ営業職でも、所属している部署によって活動は異なっている。しかし、その活動の中での「ノルマ」というものの捉え方は共通していた。
 「ノルマ」には計画や数字の目標などは確かに存在するが、それをどう達成するのかという「工夫」は自ら考えることであるという点だ。その工夫の内容とは人によって異なり、神戸さんは「どの人にどういうところで信頼を勝ち取るか」「どう工夫をしたら目標を達成できるか」を考えられており、山本さんは「数字に届かなくとも、何がダメであったかを考えるきっかけになる」と仰った。このようにお二人とも「ノルマ」に向き合う中での自分自身の考え方を確立されていた。お二人とも「ノルマ」をあくまでも「指標」とし、自分が「工夫」するための「材料」に変換されていることがわかった。神戸さんは、「どうやって達成することができるかを考えることが楽しい」と仰っており、その上で結果を出すことをやりがいとされているという。私たちが取材させていただく上でお二方から感じたのはこれまでの取材内容が仕事をする上での「工夫」と仰ったが、それが「働く努力」であるのではないかと感じられた。

働くイメージをすることの大切さ

 OBOGのお二方に、この医薬品卸会社であるメディセオの営業職を志望された経緯を伺うと、神戸さんは「医薬品卸業界の中で一番の売り上げを誇るメディセオなら将来的にも安定が見込めるため」と仰っていた。神戸さんは医薬品卸業の他にも様々な分野の企業を志望していたが、志望する上で重視していた点は「自分がそこに入りたいかどうか」ということであった。そのため、就職情報を取り扱っている媒体から情報を仕入れ、興味がある企業を全て受けてみることが大切だと仰った。実際にエントリーシートを提出し、選考をされる中でその会社の雰囲気、志望している同期の雰囲気を加味して、自分の働くイメージをしていくという流れで動いていたそうだ。
 そのイメージをすることについて山本さんは、「仕事が生活のすべてを占めるわけではないため、働きながら私生活のイメージができるかどうか」を考えることであると述べられていた。「仕事の人間関係で悩みたくない」という希望を持たれていたため、神戸さんと同じように選考をされる中でメディセオの面接の中での人事の雰囲気や、同期の雰囲気から企業の雰囲気をイメージされて、ここで働こうと決められたそうだ。


求められる人材とは

 今回の取材の担当をしてくださった中部支社企画管理部管理グループに所属されている児玉茂宏氏(以下「児玉さん」)は、取材を通して就職活動に関しての数多くの知識を私たちに教えてくださった。その中で私たちの心に残ったお話は、「自分の足で稼ぐ」というものであった。私たちが何か自分のやりたいことや職種を見つけるには、自分で情報に触れることが重要である。そのため、自分がどう歩くかが自分の意思を探ることにつながってくるとお話しされていた。これから数多くの情報を収集し、自身の就職条件に合っているか確認する事が大切であり、また企業から提供された情報には説明者の主観が入っている可能性がある事も忘れてはならない。そのことを踏まえて児玉さんは「収集した情報と自身の就職条件が合っているかを、必ず確認してほしい。」ということを説明会などで伝えていると仰った。
 そして、児玉さんからメディセオで活躍している人物の特徴を伝えてくださった。それは、「嘘をつかない」「約束を守る」という二つの特徴であった。当たり前のことのように思うこの二つの特徴だが、これを守るということが「信頼される人」という条件を満たすために必要であると仰った。
 このことから、当たり前のことを当たり前にこなすことが社会に出た際に必ず満たすべき条件であるということを取材を通して改めて理解することができた。

コラム

メディセオでは、日本における最大の自然災害である地震を中心としたあらゆるリスクを想定し、いついかなる時も、必要な商品を、必要な時に、必要な量だけ確実にお届けしている。

1995年1月17日に起こった阪神淡路大震災では、会社や社員が被災した中で必要とされる医薬品をいかに届けるか苦戦をしたそうだ。建物倒壊によって車両の通行が困難になり、薬を届けるのが不可能であった。ところが、薬と同時にバイクも届けることで、狭くても少しの幅があれば走行することができ医薬品を届けることを可能にした。
神奈川県に初のALCを設置し、物流センターに建物免震構造を採用したことにより東日本大震災では、大きな余震でも医薬品を安全に保管することができ、届けることができた。
しかし、営業所の被災や車両の燃料の不足が生じたことから、自家給油設備や非常用自家発電装置の設置を行った。

阪神淡路大震災や東日本大震災の経験から、非常時にも病院や薬局で必要とされる医薬品を確実に届けることが可能になった。

現在、医療用医薬品の価格は毎年変わっています。 薬(医薬品)を大きく二つに分けると、薬局で直接購入できる一般用医薬品と医師の診断のうえで処方してもらえる医療用医薬品に分けられます。 小売価格で販売される一般用医薬品とは異なり、医療用医薬品は薬局が価格を決めることが出来ず、国(厚生労 働省)が定めた薬価で販売されています。なぜならば、日本には健康保険があるからです。医療用医薬品を処方 してもらうときは薬代全額を個人が負担するのではなく、1~3 割を個人が負担し、残りを公費(国または地方公 共団体のお金)が負担をします。そのため医療用医薬品の価格は国が決めています。 薬価は一度決めたら変わらないものではなく定期的に見直され、引き下げられます。薬価を引き下げることで医 療費を抑制することが出来ます。以前は二年に一度見直されていましたが、2021 年度から少子高齢化などで膨れ上がる医療費をより抑えるために毎年見直されるようになりました

チーム紹介

山本 蒔   (経済学部2年)
加藤 歩実  (経済学部1年)
芦沢 孝太郎 (法学部1年)
佐部利 和未 (文学部1年)

※本記事は2022年10月現在の内容となります。