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所在地静岡県浜松市中区旭町12-1
設立1943年(昭和18年)11月1日
代表者取締役社長 丸山 晃司
従業員数 1,975名(グループ計 8,456名)※2023年3月時点

viewpoint 業界

 鉄道業界とは、主にヒトやモノを運ぶ移動手段としての鉄道を維持・運行している企業が所属する業界である。現在では、鉄道会社は鉄道事業に加えて非鉄道事業も積極的に展開しており、非鉄道事業を強化している鉄道会社は増加傾向にあり売上の多くを非鉄道事業で占めている会社も多い。また、この業界は少子高齢化の問題も大きく受けている事業とも言える。少子高齢化によって人口が減少してしまうと、鉄道の沿線上に人が集まりにくくなり、鉄道利用者が減ってしまう。それだけでなく、ホテルやレジャー施設などは鉄道の沿線上に造られることが多いため、非鉄道事業の収益にも悪影響を及ぼしかねない。収益の減少は業績の低迷や今後の企業の成長に大きな影響を与えることにつながる。そこで、この課題を解決するために海外展開を進める鉄道会社も出てきている。

viewpoint 企業

 遠州鉄道株式会社(以下、遠鉄)は静岡県浜松市に本社を構え、主に不動産・運輸・ウェルネス事業を行っている会社である。遠鉄では「地域と共に歩む総合生活産業として社会に貢献する」ことを経営理念に定めており、「総合力」が一番の特徴である。それは、鉄道以外にも不動産や保険など多種多様な事業を行うことにも表れている。不動産では、注文住宅や分譲マンション、保険では「がん・医療保険」の保有契約件数No.1の実績がある。ほかにも、遠鉄を中心として16社が集まり総合生活産業として事業を展開する「遠鉄グループ」が存在している。このグループがあることで、より人々の生活に密着した幅広い事業を展開することができている。グループ会社と連携して、お客様の様々なニーズに適切に対応することができるのも遠鉄の魅力の一つだ。コロナ禍であっても、グループ内の企業同士がお互いに支え合い安定した経営を行ってきたため、経営困難に陥らなかった。これも、総合力があるからだ。遠鉄は、2023年11月に創立80周年を迎える長い歴史を持つ会社でもある。このように長く続いてきたのは信頼・信用があり、地域社会にも多く貢献し、地元からも愛されているからであろう。

OBOGの紹介

遠州鉄道株式会社
住宅事業部             保険営業部
兼子 健汰 氏               鳥居 美仁 氏
2016年 国際コミュニケーション学部卒業   2018年 経営学部卒業

今回の取材では、本学のOBOGのお二人にお話を伺った。お二人について、紹介していく。

まず一人目は、兼子健汰さんだ。兼子さんは、2016年に国際コミュニケーション学部をご卒業された。遠鉄に入社した理由は、「地域のために働ける会社」であったためだ。また、人事の方の人柄に惹かれ、長く一緒に働ける会社であると感じたことも理由の一つである。入社してから最初に配属された介護事業部では、心に残っていることがある。それは、介護の人事採用サイトを作り替える仕事を任されたことだ。入社2年目で任された大きな仕事ということで不安もあったが、先輩社員に助けてもらい半年間かけて作り上げることが出来た。遠鉄はこのように、若手のうちから裁量権を与えている会社であるのだ。兼子さんは、介護事業部を経て現在は住宅事業部に所属し注文住宅の販売に携わっている。数字にこだわり、営業で一番をとることを目標に仕事に取り組んでいるそうだ。さらに、学生へのアドバイスについても伺った。大学の取り組みに積極的に参加することや、選択肢を広げるために1、2年生のうちからいろいろな会社を見ることが大切とおっしゃっていた。

二人目は、鳥居美仁さんだ。鳥居さんは、2018年に経営学部をご卒業された。遠鉄に入社した理由は「生活に根付いた仕事ができる会社」であったためだ。鳥居さんは、他にも金融やハウスメーカーを見ていたそうだが、それらのどの分野にも挑戦できる環境があったことも選んだ理由の一つである。入社してから現在まで保険営業部に所属している。仕事をしていて一番大変だった時期は、生命保険から損害保険に異動したときだそうだ。同じ保険でも、生命保険と損害保険では業務内容が異なり覚えることが多かった。また、他の部署の社員さんとも仕事をするため、異動してきた自分のことを知ってもらう必要もあった。かなり大変ではあったが、他部署のことを知るきっかけにもなり、連携して働くことの大切さも学んだとおっしゃっていた。鳥居さんは、仕事をする上で相手のことを考えて行動することを大切にしているそうだ。これは、学生時代に部活動で人間関係の作り方を学んだ経験からきていると伺った。相手のことを考えて行動することは、お客様の喜びにつながる。さらに、一緒に働く社員さんとも気持ちよく楽しく働くことができるので、とても大切だと感じた。

雰囲気

  取材をしている中で、社員さんどうしが笑顔で会話をする様子が多く見受けられた。そこから、上下関係なくとても自由に話せる環境だと感じた。他にも、遠鉄にはチームとしても個人としても成長することができる魅力もあることが分かった。鉄道業界と聞くと、少しお堅い雰囲気を想像しがちだが、遠鉄は全く違っていた。OBの兼子さんと人事部の大石さんは休日に一緒に音楽ライブに行くこともあるらしく、部署が違っても親しみやすい環境であることが分かった。初めての仕事で困っている時に優しく教えてくれる先輩がいたり、充実した社員サポート制度があったりと、働きやすい会社だと感じた。また、社員さんは地元出身の方が多く、遠州地方をより良くしたいという思いが強い人が多いことが分かった。

求める人物像

 遠鉄は採用にあたって次のような人物を最も求めている。それは、遠州地域のことを想い、ともに街を創っていく仲間ある。地域に根付いた会社である遠州鉄道だからこそ、街を想ってくれるかどうかを大切にしているのである。これらに加え、①自ら課題を見つけ、目標に向かって挑戦する人②広い視野・新しい視点を持ち、「未来志向」で前向きな人③積極的コミュニケーションでニーズに気づき素早く行動できる人④「想い」を周囲に伝え、先頭に立ってリーダーシップが取れる人⑤チームとしての成果や成長に喜びを感じられる人などを求めている。もちろん、①から⑤すべての要素を持ち合わせている人でなければならないわけではない。一番大切なことは、最初にも述べたように「街を想い、ともに街を創っていく仲間」なのだ。また、遠鉄は採用にあたって様々な性格の学生を求めている。そのため、遠鉄に就職すれば多様な考えや性格を持つ仲間と働くことが出来るだろう。採用区分としては、遠州鉄道株式会社やグループのあらゆる仕事ができるチャンスがある総合職の他に、介護や保険、運輸など特定の分野で働くことができる専門職もある。そのため、自分にあった働き方を選ぶことが出来る。ぜひ、遠州地域を想う気持ちが強い人は、遠鉄を選択肢の1つとして考えてみて欲しい。

コラム

 取材を通して、遠鉄は、様々なことに挑戦している会社だと分かった。例えば、「ジョブチャレンジ制度」という制度を2022年度から導入した。この制度は、公募制移動とも呼ばれ、現在配属されている部署から希望する部署への異動を可能にするものだ。面接やプレゼンを通して、会社が決めた配属先ではなく自分が行きたい部署に異動できるようになったことは、社員のモチベーション向上につながっている。既にこの制度を使って異動した社員もおり、将来的には全ての部署間での異動を可能にしたいとおっしゃっていた。

 また、「遠鉄グループの仲間を増やす」ことにも力を入れている。最近では、青山商会という主に二輪車を販売する企業を遠鉄グループに引き入れた。今まで遠鉄グループには、二輪車を販売する会社がなかったため事業拡大につながった。

今後は、バスや電車での脱CO2を目指したり、効率よく仕事をするためにIT・ICTの活用を今以上に行ったりしていく。このように、遠州鉄道株式会社は、今もそしてこれからも挑戦し続ける会社なのである。

チーム紹介

鶴 将志   (経済学部2年)
小野田 彩花 (法学部2年)
壁山 桜昌  (文学部1年)

※本記事は2023年11月現在の内容となります。