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所在地東京都品川区東品川二丁目3番11号
設立1963年11月12日(創立年月日 1912年3月12日)
代表者代表取締役 社長執行役員
従業員数19,510名(グループ全体 2022年3月31日現在)

viewpoint 業界

 わたしたちが訪問したJTBは「旅行業界」に属しており、旅行者の宿泊施設の手配や旅行プランの作成などの事業に携わる。同業界は、旅行の企画・立案を行う「旅行業」と前者で企画された商品を販売する「旅行業者代理業」が存在するが、JTBではそのどちらも担っている。しかし、昨今のコロナウイルスの影響で旅行が制限され、旅行業界は打撃を受けた。この事態を受け、旅行業界の各企業は「オンライン旅行」などの新たな旅行形態の提案や「ワクチン接種」の推進など旅行業以外の事業拡充を図ってきた。旅行業界は、目まぐるしく変化する情勢の中、新しい取り組みで適応を目指す「柔軟性とたくましさ」を兼ね備えた業界である。

viewpoint 企業

 株式会社JTBは、1912年(明治45年)に創立され、現在は東京都品川区に本社を置く、日本最大かつ、世界有数の事業規模を有する企業である。
 JTBは、「感動のそばに、いつも。」をブランドスローガンとして掲げ、今年で110周年を迎える。このスローガンのために、「信頼を創る」、「笑顔をつなぐ」、「挑戦し続ける」という、JTBグループすべての社員が大切にし、日々の判断・行動の基準となる「ONE JTB Values」が制定されている。今回の取材の中で、JTBの強みとして「人」「人財」という言葉が頻繁に登場した。「人」を最大の財産と考えるJTBにとって、「信頼を創る」ことは事業の根底の支えだといえる。また、コミュニケーションをとる中でオーダーメイドの商品を作ることや地域交流をすることが、人と「笑顔をつなぐ」こと、何かを成し遂げたいときに背中を押してくれる仲間と仕事をすることが「挑戦し続ける」ことにつながるといえる。コロナ禍の影響がある旅行業界の中でも、JTBは今だからこそできることに取り組んでいる。例えば、海外旅行が制限された中で、コロナが怖いけど旅行はしたいという複雑化した人々の要望に合わせた新しい国内旅行や観光の形をゼロから生み出すなどしている。JTBは「人の価値」を大切にしながら今後も成長していくだろう。

-人を笑顔に-

株式会社JTB
矢部 太偉希 氏
浜松支店 教育営業課
2019年度 文学部 卒業

 愛知大学OBである矢部太偉希さん(以下「矢部さん」)は入社4年目の現在、教育営業課で働いている。教育営業課での仕事は、主に学校とのやり取りが多い。部活動や先生方個人の旅行、そして子どもたちにとって、大きな思い出になる修学旅行にも携わっている。そんな矢部さんの仕事のやりがいは、人を笑顔にできることである。誰かのためになりたいという思いや愛を持って接することが、人々の笑顔につながるそうだ。また、旅行をされるお客様だけでなく、関係機関の方も笑顔にできることは素晴らしいことであるとおっしゃった。しかし、大きな責任が伴うことも忘れてはならない。一つのミスで、お客様を笑顔にするどころか、悲しい思いをさせてしまうこともある。良いことばかりではなく、大変なことや辛いこともある中で、矢部さんは散歩による気分転換や、周りの人に相談することを大切にしている。昔、辛いことがあり、辞めようか悩んでいた時に、仲間の言葉に助けられ、もう一度頑張ろうと前向きになれたそうだ。人を思う気持ちや言葉には心を動かす力があるということを感じた。

-人の価値-

 私たちはこの取材で、JTBで働く人々について知ることができた。その中でも最も大きな発見は、人の力に勝るものはないということだ。特に「人」について良いと感じた点を2つ挙げる。
 まず、仲間の観点より「JTBの強みは人が魅力的である」ことだ。「他社にできてJTBにできないことはない」とおっしゃったほどである。実際、お会いした方々はとても気さくにお話をされていて上司と部下というよりも家族に近い雰囲気であった。また、まるで家族のようだと言った理由は気さくな部分だけではない。例えば、OBの矢部さんが挑戦したいことに対し、上司で浜松支店支店長である白石剛さん(以下「白石さん」)は見守ったり、時には挑戦できるような環境を整えたりする。要するに「やれることが多い」ということだ。このような関係は魅力的な人財を育てるうえで大切なことではないか。
 次に、事業の観点より「デジタル・ヒューマン」という言葉が出てきた。これは、新型コロナウイルス感染流行に伴い、感染防止のため人との接触を避ける風潮から生まれた。しかし、JTBの魅力のひとつである「人財」をなくすことは惜しい。そこで、店頭を残しつつも一部をデジタルに置き換えた。つまり、人の価値を保ちつつデジタルを融合することで「人財」という魅力を残したのである。
 これらのことから、JTBは「人」をいかに大切にしているのかがわかった。

-挑戦をやめない-

 JTBの目指すべき人財像として「自律創造型人財」を掲げているが、その中に「挑戦し続ける人」がある。
 実際に、人事チームの海野健太郎さん(以下「海野さん」)、支店長の白石さんに会社で活躍する人の共通点を聞いたところ、お二方とも口をそろえて「挑戦し続ける人」と答えていた。環境の変化に対応しながら、自分の限界を決めずにチャレンジする人が生き生きとした社員であるとおっしゃっていた。
 また、矢部さんにJTBで働く魅力は何か聞いたところ、「チャレンジできる環境」と答えていた。何か新しいことに取り組むときに背中を押してくれる人、仲間がいるということを教えてくれた。
 新型コロナウイルスの影響がある中、お客様とコミュニケーションをとりながら新しい旅行や観光地をゼロから生み出したり、ワクチン接種会場の運営やオリンピック会場の支援など今までやってこなかった事業をしたりと今だからこそできる挑戦をしている。コロナ禍によって厳しい状況にある旅行業界であるが、ピンチをチャンスととらえ、JTBは挑戦し続ける人たちによって、成長している。
 背中を押してくれる仲間がいること、「挑戦し続ける人」を目指す雰囲気があることを感じ、矢部さんが「チャレンジできる環境」と答えた理由がわかった。

-就活生に伝えたいこと-

 就職活動を円滑に進めるために取材では以下の助言をいただいた。OBの矢部さんは、無数に存在する会社の中から「本気で就職したいと思うことができる所を見つける」ことが大切だとおっしゃっていた。これは、最後まで熱意を持って就職活動ができ、企業側にも気持ちを汲み取ってもらえるからだ。二点目に「どうしたら受かるか」考え、反省と練習を繰り返すことを挙げていた。トライ&エラーを続けることで、採用の糸口が見えてくるという。この試行錯誤の中で矢部さんは、採用面接の最後に設けられている「何か質問はありますか。」という企業からの逆質問を活用することを発見し、徹底していたという。面接の主導権を握っているのは主に企業の面接担当者であるが、逆質問だけはこちらに主導権が回ってくる。そこで、事前に面接では聞かれないかもしれないが、どうしても伝えたいことを考えておき、本番の逆質問で必ずそれを用いることで、他の就活生との差別化を図ることが可能だ。
 また、支店長の白石さんと人事の海野さんからは、就職活動を「自分を見つめ直す数少ない自己分析」の場ととらえ、自身の強みだけでなく弱点も発見すること、就職活動は多くの人と知り合えるチャンスだと楽しく前向きにとらえるという大変有用なアドバイスをいただいた。

-取材を終えて-

 矢部さんになぜJTBに就職したいと思ったのかお聞きした。当初矢部さんは、教師になることを目指していた。しかし、就職活動の採用ブースで出会ったJTBの採用担当の方の人間性にひとめぼれし、これをきっかけに、絶対にJTBで働きたいと思うようになったそうだ。私たちにはこの話をしている矢部さんの姿がとても輝いて見えた。第一希望の企業に就職できた矢部さんの就職活動は、絵にかいたような成功であるだろう。しかし、その裏側には血のにじむような努力とJTBへの強い思いがあった。今回の取材は、そのJTBへの強い思いと自分の選択への自信を感じられた。そして、矢部さんのお話をされる姿に強く心を動かされた。私たちの就職活動は、これから始まる。将来、矢部さんのように、「ここを選んでよかった」と胸を張って言えるように、仲間と支え合いながらあらゆることに挑戦し、悔いのないようなものにしたい。

チーム紹介

山本 和歩(経営学部2年)
成合 美咲(国際コミュニケーション学部2年)
藤田 夏凜(国際コミュニケーション学部1年)
川村 澪 (国際コミュニケーション学部2年)


※本記事は2022年10月現在の内容となります。