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所在地静岡県浜松市中区元城町114番地の8
設立1950年(昭和25年)4月10日
代表者髙柳 裕久
従業員数1,801人(嘱託職員含む)(2021年3月31日現在)

viewpoint 業界

 金融機関は私たちが資金を必要としたときに、お客様からの大切な預金を原資に資金を融通する存在である。おそらく誰もが一度は使うことになる住宅や自動車の融資なども金融機関から借りることがほとんどであろう。
 現在、地域金融機関を取り巻く環境は変革期にあると言える。急激な少子高齢化や、地方経済の減退、日銀による異次元金融緩和による利鞘の減少など、複数の要因により金融機関の経営環境はめまぐるしく変化している中、合併や経営統合などを進める金融機関もある。
 そんな中で信用金庫も例外ではない。信用金庫は地方銀行などとは違い、取引先を営業区域内の個人や中小企業とし、営業エリアや取引先に制限が設けられているからである。

viewpoint 企業

 地域に利益を還元することに重きを置き、常に使命感を持って誠実にお客様に対応することで、人で選んでもらうのを目指す。そんなイメージに合うのが今回取材をさせていただいた浜松いわた信用金庫である。浜松いわた信用金庫は、浜松信用金庫と磐田信用金庫が2019 年に合併して誕生した信用金庫である。
 信用金庫の数は全国で254庫存在する(2021年3月末現在)が、その中で浜松いわた信用金庫の預金量は上位11 番目、静岡県内においては1位となっている。(2021年3月末現在)

人との関わりを好み、その関係性を大切に

浜松いわた信用金庫
尾関 弘祐 氏
篠原支店
2016年度 法学部 卒業

 今回取材をさせていただいた方は、2017年3月に本学の法学部をご卒業され、現在は営業店の渉外係として勤めているOBの尾関弘祐さん(以下「尾関さん」)。渉外係は、外回りとも言われる仕事で、主にお客様のもとへ訪問して営業することが多い係である。
 尾関さんに職場の雰囲気について尋ねたところ、「年齢関係なく風通しが良い雰囲気」と話していた。入庫する前は、金融機関の堅いイメージを持っていたが、入庫後は人と話すことが好きな人が多く、堅いイメージとは全く違う職場だそうだ。
 渉外係は、午前9時から外訪活動を行う。また預金、融資、預かり資産といった金融に係るあらゆる商品・サービスを取り扱うため、それらに精通していなければならない。尾関さんは「アンテナを張って情報を集めながら、お客様にはなるべく早く進捗をお伝えすることを心掛けている」と言う。
 浜松いわた信用金庫の渉外係は、上司に決められた仕事を淡々と行っているのではない。自由に自分の仕事内容を組み立てるとともに、目標を自分で設定している。従って、自分に合った働き方ができるのだ。尾関さんに「どうして浜松いわた信用金庫に入庫したのか」を尋ねてみたところ、「お客様と会話ができる仕事をしてみたかったから」という理由であった。これを聞いて私たちは、コミュニケーションが上手く、人との良好な関係を築くことができる人物がこの渉外係に向いているのだと感じた。

福利厚生

 育児休業復帰後について、浜松いわた信用金庫は3つの手厚いサポートを行っている。
 まず1つ目は、復帰の際のコース選択である。浜松いわた信用金庫では、育児休業復帰時に、総合職か事務職、2つのコースのどちらかを選択することができる。総合職は育児休業前と変わらない業務に就く。そのため転勤や配置換えなどもあるが、給料や待遇はそのままだ。もう一方の事務職では、子を持つ職員に対するWLB(ワークライフバランス)の実現が可能だ。時短勤務の制度により、家事や育児に時間を使うことができる。
 2つ目は復帰前訓練だ。これは、復帰の不安を軽減するためにある。子供の保育園には慣らし保育というものがあり、入園した際に1~2週間程度、通常の保育時間を短縮して行う期間がある。子供の慣らし期間と同時に、親も仕事の復習をするというものだ。これはきちんと給料が発生する。
 3つ目は、e-learningサイトだ。e-learningサイトとは、職員が閲覧できるサイトであり、金庫内部の業務上の通達などをネットで確認することができる。これは休業中でも閲覧することができるため、スムーズな職場復帰を促している。また、仕事に関する自主学習もすることができるため、周りから取り残されることなく安心して復帰することができる。
 以上、3つのサポートをあげたが、これらの基盤にあるのは周りの理解である。制度は周りの環境や理解があるから利用できる。育児のためには、遅く出勤することや早く退勤することが必要になることも多い。そのため、それらに臨機応変に対応できる制度に加え、周りの理解、そのどちらも兼ね備える浜松いわた信用金庫は本当の意味で育児支援が充実していると言える。


人で選んでもらうとは

 2020年、日本がコロナ禍に陥った時、「取引先の中小企業が真っ先に浜松いわた信用金庫に相談に来てくれることが多かった」と尾関さんは語った。浜松いわた信用金庫のほかにも、地方銀行など数多の金融機関があるにもかかわらず、何かあった時に1番最初に相談に来てくれるというのは、普段から信頼関係を築いている証であると思う。それは普段から行っているレスポンスの早さにあり、問い合わせがあったその日に対応するということでお客様との信頼関係を高めている。
 商品性で差をつけることが難しい金融商品は差別化が難しく似通ってしまうことが多い。それを納得して利用してもらうためには勧める渉外係の存在が大きい。「あの人が頼りになるから、あの人のお勧めなら利用してもいい」が目指すべき姿なのだと思った。尾関さんもお客様にとって有益なプランを紹介できた時や、金融商品のメリットを説明して、お客様に納得してもらえた時にやりがいを感じるとのことであった。
 このように、お客様に納得してもらう説明をするにはどうすればいいのだろうか。人事部の倉田さんは、「自分のこれまでの経験やそれによって得た知識をもとに説得力を持って話せることが重要だ」と言う。また、「お客様と対面したときの第一印象はとても大事だ」とも言った。人との関わりを好み、その関係性を大切にできる方が求められる人材なのだとお話を聞いて感じた。




ヒトを大切にしている企業

 今回、浜松いわた信用金庫を取材して、強く印象に残ったことがある。それは、浜松いわた信用金庫はとても“ヒトを大切にしている企業”ということだ。
 福利厚生の充実など職員を大切にしていることもそうだが、何よりもお客様を大切にしているということがわかった。本学OBの尾関さんから、「浜松いわた信用金庫は商品性だけでなくヒトの魅力を感じて選んでもらえていると感じている」と言う。また、人事部の倉田さんからは、「コロナ禍でも多くの取引先企業様がファーストコンタクトで浜松いわた信用金庫を選んでくれた」という話もあった。有事の際に真っ先に相談に来てくれるということは、普段から信頼関係を築いている証と言えるだろう。
 これらの話を聞いて、浜松いわた信用金庫はヒトを大切にしているからこそ、ヒトで選んでもらえるのだということがわかった。また、ヒトを大切にすることで地域社会とのつながりを深め、静岡No.1の信用金庫として活躍しているということがわかった。




チーム紹介

星子 英慧 (経済学部2年)
千葉 尚知 (地域政策学部2年)
浅野 泰輝 (経営学部1年)
大石 侑依 (短期大学部1年)

※本記事は2021年10月現在の内容となります。