自己分析から見える人生の分岐点
島川さんに就職活動の際に苦労したことを伺うと「自己分析」と答えた。自分のことは理解しているつもりでも、それをいざ第三者に伝えようとすると難しい。島川さんは自己分析をしていくために、周囲の人たちに自身について聞いてみたという。自分は、どのようなところが強みなのか、弱みなのか、それこそ在学中にキャリアセンターに相談したこともあり、他己分析をしたことで自身では見えない点を知ることができたと語ってくれた。
自己分析を行っていくことで、どんな人生を送ってきたのか、どんな人物なのか、武器は何なのかなど自分の強みをより理解していくことになる。経験してきた出来事に対してどう感じたのか、なぜそう思ったのか。その「なぜ」を問い詰めていくことで、自分を作る根本に出会えるという。
さらに、「就職活動は情報社会」だと島川さんは言う。様々な情報が溢れかえっており、焦ったり、不安になったりしたと当時を振り返った。そこで必要なのが、自分を強く持つこと。不安や焦りから自分自身を見失うこともあるかもしれないが、揺らがない自分を作っていくことが就職活動をしていく中で重要な姿勢になってくるという。
島川さんは文溪堂が第一志望であったというが、文溪堂を志望したきっかけも自己分析からだったと語った。就職活動において明確な目標がなかったという島川さん。自己分析を進めていく過程で、人生のターニングポイントを見つけた。小学生の時に、文溪堂主催の読書感想文コンクールに入賞したことで自信がついたという。島川さんの人生を変えていく重要なポイントになった文溪堂の存在は、一人の子供だけでなく、全国の子供を支えるきっかけになれる。それを実現できるのが文溪堂だと思い、それが強い志望動機となった。
自分自身について理解していると思い込んでいても、まだ知らない自分が眠っている。そんな未知なる自分と出会うために、時間のある大学生活の中で自分を見つめ直してみてはどうだろうか。
教材の本質を見つめていく
昨今、教育現場では生徒一人に一台タブレットが配られるようになるなどとデジタル化が進んでいる。漢字ドリルや計算ドリル、資料集などの紙媒体での教材が主流である学校教材もその影響を受け、文溪堂の製品もデジタルで対応されたものが増えた。
デジタル化が進むことをどう感じているか。島川さんに伺ってみたところ「デジタルが教育現場でどこまで求められているのかを考える」と述べた。実験動画や360度の写真が見られるようになるなど、これまでの紙の教材では出来なかったことがデジタル化によって可能になった。しかし実際には、教師の負担増大や子供たちの学びに確実に定着するのかなど問題点や不安点が生じている。教材のデジタル化はメリットばかりではない。
「教材の本質を見抜いていくこと」島川さんは、取材中この言葉を何度も口にしていた。デジタル化が進んでいっても重要なのは教材の中身、つまり「問題」である。この問題は、教師が考えた問題やこれまでの文溪堂の歴史が積み重なったものであり、そのノウハウを持っているのが文溪堂の強みであると語った。デジタル化で変わるのは、媒体だけであって中の問題は変化しない。文溪堂にとってデジタル化は、チャンスであると島川さんは語った。
今後、教育現場ではますますデジタル化が進んでいくだろう。しかし、教育で大事なのは「何で」学ぶかではなく、「何を」学ぶかであると今回の取材の中で改めて感じた。