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所在地名古屋市港区入船一丁目7番41号
設立1952年9月29日
代表者系井 辰夫
従業員数1,463人(2020年12月現在)/グループ全体 3,659人(2020年12月現在)

viewpoint 業界

 株式会社フジトランスコーポレーション(以下「フジトランス」)は物流業界に属しているが、その中でも海運業を中心に取り扱う企業である。物流とは漢字のとおり、企業が商品を消費者へお届けする過程のことを指すが、単に商品を運ぶだけでなく、商品の保管、包装などの消費者へ届けるまでに必要な項目のすべてが物流の過程に含まれている。そんな物流業界の中の一つにある海運業とは、船舶を用いて物資を運ぶサービスのことである。世界情勢や経済の影響を受けやすいが、長距離輸送に適している上、低価格で貨物を運べる。日本の物流において99.6%を占める重要な役目を担っており、新興国経済活動に伴う物流の増加により今後ますます成長が期待されている業界である。

viewpoint 企業

 名古屋港を拠点として貨物を運ぶサービスを提供するフジトランスは、日本全国約17ヶ所にある支店・出張所を結ぶ物流ネットワーク使い、顧客の貨物を「早く」「安全」に届けている。自社船・定期傭船合わせて7隻の船を保有し、自動車を始めとして、日用品や木材、燃料など多種多様なものの海上輸送を担い、トレーラーによる陸上輸送のネットワークも全国に広がっている。長大貨物の輸送にも精通しており、宇宙関連機器や航空機部材など豊富な輸送実績がある。輸送のみならず、商品の包装や保管、港湾での荷物の積み下ろし作業までもすることができるため、自社だけで海陸一貫した保管から流通までの業務を行うことができる。国内のみならず、アジア・北米・ヨーロッパなど世界13か国に駐在員や現地法人を設けており、世界中で物流サービスを展開している。名古屋港を拠点に事業を始めてから約70年経つ中で、時代やニーズの変化とともに事業規模も大きく変化しているが、人や地域社会、環境などを重んじるという社是の「和」の精神は創業当時から変わっていない。社会とつながり、社会を支え、社会に求められる存在として、これからも発展し続けていくだろう。



「つながり」を大切にして活躍する本学OB

株式会社フジトランスコーポレーション
河村 駿太 氏
第二営業部営業三課
2014年度 経営学部 卒業

営業=納得するための話し合い

 本学OBの河村駿太さん(以下「河村さん」)は第二営業部営業三課に所属されている。仕事内容は、現場作業の手配、収支のまとめ、そして核となる営業活動である。物流業は企業とお客様がいなければ成り立たないため、この営業の仕事は、必要不可欠なものであるといえる。河村さんの所属する部署では、我々学生がイメージしている新規の顧客を獲得することではなく、既存の顧客と接する機会が多いそうだ。営業の仕事をする上で、お互いに意見をもつ顧客との交渉は欠かせないようだ。顧客と意見が食い違った時に、「妥協点を見つける」ことを意識していると語った。双方が納得できる形にすることによって、既存の顧客とも関係を良好に保つことができ、仕事をする上で協力し合いながら最大限のパフォーマンスができるのだろう。これから歩む人生は全てがうまくいくわけではない。しかし、私達も河村さんのように人々や出来事としっかりと向き合い、納得できるものにしていきたい。


「信頼の和」

 本社がある名古屋港にはいくつもの海運業者が立ち並んでいるが、なぜ最終的にフジトランスコーポレーションを選んだのかを尋ねた。それは各会社の面接の違いだったと河村さんは語った。一般的な企業では面接官はとても厳格で就活生との距離感は遠く、緊張が走るものである。しかしこの会社では面接の間も常に笑顔が絶えず、明るい雰囲気だったことが印象に残り、最終的な決め手となったそうだ。
 入社した後も様々な事があることがお話から伺うことができた。上下関係はあるものの、社員同士の隔たりがほとんど無い。例えば会議などで部屋の椅子や机の準備をする際に部下が率先してやる事が一般的であるが、驚くことにこの会社では上司が自ら積極的に動き作業を手伝うこともあるそうだ。「上司だから」「部下だから」と言う言葉はこの会社には見られないことが分かる。
 上司に相談をする時にもどんな事も親身になって話を聞いてくれるため、とても働きやすい職場だと語った。人との関り合いが特に多いこの業界において接しやすさというものの大切さが映し出されている。
 入社してからは学ぶ場面が多くあるそうだが、この会社では数年経つと海外へ異動することもあり、そこでは基本的にチームリーダーを任されることになる。使用する言語は英語が中心となるが、語学力ではなく、それ以上に大切なのはどこに行っても対応できるコミュニケーション能力であると語った。このような現場で即座に対応する力がつくのも、それまでにおける会社内の人間関係があるからこそ、実際の現場にも繋がっていることが分かった。

挑戦の先に見えたもの

 河村さんに最もやりがいを感じた仕事はなにかを伺ったところ、4年目から約2年にわたるミャンマーでの勤務について話を聞くことができた。学生時代から発展途上国に興味があり、貧しいというイメージがあるが、テレビでは見ることのできない部分や実際どういった生活をしているかが知りたかったようだ。また、河村さんは発展途上国に住む人々の生活をよりよくするための仕事に携わりたいという想いから物流業界を志したそうで、この勤務はまさに夢の実現であった。
 現地では、貨物の輸送や保管といった仕事内容は日本での勤務とあまり変わらないものの、文化、法律、言語が異なる国での仕事はとても苦労の多いものだったという。大学時代では英語にあまり力をいれてこなかったそうで、言語の障壁は特に大きかったらしい。しかし、そんな逆境である新たな環境の中で働いたからこそ、貢献できた喜びをより感じることができたそうだ。このように、河村さんは新たな境遇に恐れず、挑戦した結果、大きな喜びとともに成長することができた。コロナが蔓延するこのような状況だからこそ、失敗を恐れず、変化に適応し、様々なことに挑戦していきたいと思う。

女性も活躍する会社

column 発見

 海運業界で女性は活躍できるのかと疑問に思う人も多いだろう。男性社会や現場で力仕事をするというイメージが浮かぶかもしれないが、近年海運業界で働く女性が増えてきている。時代の移り変わりと共に機械を使うことができるようになり、人間の力を頼らずに物が運べるようになったことが理由の一つある。フジトランスも、もともと女性が少なかった。男性が多いため、現場に女性用の更衣室がないなどの問題から配属できる部署が限られていた。しかし時代と共にそういった問題を解決して、今では配属できない部署はほとんどないと人事部の方が語っていた。フジトランスはもちろんのこと、海運業界全体が変化している。
 女性男性関係なく活躍できる海運業界。そして時代の移り変わりに対応し、これからもお客様と世界とつながっていく。そんな会社がフジトランスなのだ。

チーム紹介

小林 直暉  (国際コミュニケーション部2年)
佐藤 杏音  (国際コミュニケーション学部2年)
鈴木 満結  (国際コミュニケーション学部2年)
岩瀬 果純    (現代中国学部1年)

※本記事は2020年12月現在の内容となります。