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所在地東京都千代田区神田駿河台3-9
設立大正7年(1918年)10月21日
代表者取締役会長 会長執行役員(代表取締役)柄澤 康喜
取締役社長 社長執行役員(代表取締役)原 典之
従業員数14,577名(2019年3月)

viewpoint 業界

 私たちは火災・死亡など偶然に発生する事故によって不安を抱えて生きている。それに備えた制度が保険である。損害保険は人や企業の挑戦を支える役割を担っていて、再起の力にもなっていることや、日常生活から宇宙まで密接に関わっている。損害保険業界では、自動車の安全性能の向上に伴う事故の減少により、2018年1月から自動車保険料の引き下げが行われた。自動車保険料は損害保険会社の主要収入であるため、収益減対策として、サイバー保険やネット炎上保険など、企業に向けた新種保険の開発が盛んに行われている。
国内は少子高齢化により人口は長期的に減少傾向が予想されている。今後を見据えて、大手損害保険各社はM&Aや事業投資などを行い、海外事業の拡大を進めている。


viewpoint 企業

 三井住友海上火災保険株式会社は三大損保グループの一つであるMS&ADインシュアランスグループの主要会社である。自動車保険や火災保険などの損保会社の主な収益のシェアはグループとして3割程度を占めている。親会社であるMS&ADはどの損保会社より代理店数が多いことが特徴で、その中でも三井住友海上は36,478店舗存在しており、人々の身近に存在していることがわかる。その例として、名駅約2km圏内に13店舗存在していた。
 特徴はもう一つある。海外事業に力を入れていることだ。損保会社は収益を国内事業だけに大きく依存している状態から脱却すべく、海外事業で収益増加を狙っている。三井住友海上は、他企業に比べアジアに強くASEAN10か国すべてに出店しており、アジアへ出店する企業をサポートする態勢が一番整っている。それだけでなくMS&ADは2016年ロイズ市場の有力な会社であるアムリンを約6350億円で買収した。今後はアジアだけでなくヨーロッパでの事業展開も期待したい。
 また、近年は相次ぐ自然災害やコロナウイルスによる保険金支払いが増加し、収益環境が悪化したことから人工知能(AI)を活用してコスト削減を目指している。2020年11月、人工知能(AI)保険大手のヒッポに約360億円投資すると発表した。


OBOG

三井住友海上火災保険株式会社
中部損害サポート部 津保険金支払いセンター
渡邉 楓 氏
2013年度 文学部 卒業

三井住友海上火災保険株式会社
愛知中央支店 愛知中央第2支社
脇田 芽依 氏
2017度 経済学部 卒業

状況に合わせた勤務の変化

 今回は二人のOGの方に取材をさせて頂いた。一人目は中部損害サポート部 津保険金支払いセンターに所属している渡邉楓さん(以下「渡邉さん」)。二人目は愛知中央支店 愛知中央第2支社に所属されている脇田芽依さん(以下「脇田さん」)。お二人の仕事内容を端的に表すと、渡邉さんは事故にあわれた方への現金のお支払い、脇田さんはリテール営業で主に代理店さんの指導やサポートをされている。
現在、新型コロナウイルス感染症が大流行しており、人々の生活様式が大きく変化した。そして、新しい生活様式が世間に馴染みつつある。そのような中で、コロナ禍による勤務状況の変化について伺った。コロナ禍以前は毎日、会社出勤をしていたが、コロナ禍においては在宅勤務が導入され出勤と在宅勤務が交互になった。これまで会社内では周りの様子を伺って仲間を助けることが多かったが、在宅勤務では仲間の姿が見えない。だから、渡邉さんはLINEWORKSで社員の仲間と連絡を取ったり、脇田さんは社用携帯を活用し代理店さんと打ち合わせを行ったりしているそうだ。働く場所は異なっていても社員同士のコミュニケーションは欠かさず行っているように感じた。

周りの人へ配慮する姿が未来の社員を作る

 就活時、他の保険会社ではなく、なぜ三井住友海上火災保険を志望したのかについて伺った。その答えはお二人とも“人”だった。口を揃えておっしゃる“人”というのは、入社前と入社後に感じた瞬間があるという。脇田さんは入社前、就活生の時に社員さんとお会いして面談をした。その際、社員さんが「代理店さんと働くことが大好きで、一緒に仕事をするのが楽しいんだ」というお話を伺った。こんなにもキラキラしていて、明るくて、前向きな社員さんと一緒に働きたいと思ったとおっしゃっていた。また、就活生の時に社員訪問でいくつかの企業を訪れたが、その中でも三井住友海上火災保険の社員さんと一番働きたいと思ったのが決め手だそうだ。
 渡邉さんは入社後、先輩が毎日忙しく働いている中で自分のことだけではなく、周りの人がどういうことをしているのか気にかけている姿を見かけた。そして、困っている仲間には自ら気づいて助けていた。三井住友海上火災保険には自分もそういう人になりたいという憧れや尊敬を抱く先輩が多いそうだ。さらに、三井住友海上火災保険ならではのブラザー・シスター制度で先輩と後輩の距離が近くなるという。ブラザー・シスター制度というのは、新入社員に女性であればシスター、男性であればブラザーと呼ばれる先輩が二年間ついて仕事を教えるという制度だ。これにより社内だけではなく社外も共にするような関係性が築けているという。
 お二人とも所属部署や入社のタイミングは異なっているが、三井住友海上火災保険に惹かれた“人”という理由は同じである。つまり、会社全体で相手に対する配慮や気遣いができる“人”が時を経ても一貫されているということをお話の節々で感じた。“人”についてお話をされている時、お二人とも本当に優しくて尊敬できる先輩がいるということを、繰り返し嬉しそうに話されていた。このように、実際に働いている社員さんの姿に憧れや尊敬を抱く人が集まる会社だと思う。

ひとしおの喜びを味わうために

 保険会社はお客様や代理店といった、人と直接かかわる機会が多い。そこで仕事をする上で意識していることについてお話してくださった。脇田さんは、レスポンスを早くすることを心掛けているとおっしゃっていた。仕事をするうえで代理店さんといかに仲良くするのかが大事だという。だから、代理店さんから電話がかかってきたらすぐに出る、見積もりの依頼書がきたら当日か次の日までに返すということを意識されている。レスポンスの速さが信頼構築につながっているそうだ。
 渡邉さんは、相手の立場に合わせた説明を心掛けているとおっしゃっていた。事案の中には事故の被害者と加害者の言い分の食い違いから、裁判にまで発展し2,3年たっても解決しないものもあるそうだ。お客様も初めて事故にあってパニックになって、どうしたらいいのかわからなくなっている方も多い。保険会社としてもできることが限られている。これ以上はできないということは決まっているがそれが理解できない方は不満に思われる。相手に理解してもらうために、保険のことを知らなかった頃の初心に立ち返り、なるべくお客様にわかりやすい言葉遣いで説明をしていると言う。加えて、過去の判例を見せる、ドライブレコーダーに残された状況からこのようになるということを手紙や資料でお伝えするということもされている。
 保険会社というのは努力がすぐに結果に結びつかないことも数多く存在する。その中でも、時間をかけて築き上げた代理店さんとの信頼関係や問題解決の末に、「脇田さんの顔が思いついたから三井で提案したよ。」「渡邉さんが担当でよかった。」と言われることがやりがいだとおっしゃっていた。辛抱強く努力が実るまでもがき続けた後の喜びもひとしおだと思う。その瞬間を感じるために、脇田さんは代理店さんとの信頼性の構築、渡邉さんはお客様に合わせた言葉遣いで説明することを、日頃から行うという大切さをお二人から学んだ。

保険事業以外で中堅・中小企業をサポート

column 発見

 脇田さんから取材をさせていただいた中で、三井住友海上火災保険の経営サポートセンターと言う別動隊の組織があることを知った。社会保険労務士や、税理士、FPのスペシャリストが集まり、経営をサポートする組織である。経営の相談や研修、新入社員向けの研修やリーダーシップ研修、中堅社員のブラッシュアップ研修などを法人のお客様に説明している。現在、働き方改革で悩まれている企業がたくさんある。例えば、そのような企業に出向き、就業規則の見直しの支援をさせていただき、経営のお悩み事を一緒に解決する。保険とは別のサービスの提供をこの経営サポートセンターで行っているという。他の会社ではすべて有償だが、三井住友海上火災保険はこれがすべて無償なので、お客様に一切費用を負担することなく活用していただけるものである。その結果、保険業界で唯一、経営革新等支援機関として認定されている。
 脇田さんは、この経営サポートセンターも三井住友海上火災保険の強みのひとつであり、入社したい理由の一つであるとおっしゃっていた。時代の流れに応じて様々なサービスを提供できる会社、それが三井住友海上火災保険なのである。

チーム紹介

石塚 勇輝   (文学部2年)
三浦 葉月   (地域政策学部2年)
チョン イェウン(現代中国学部1年)
木谷 瑞紀     (経営学部1年)

※本記事は2020年12月現在の内容となります。