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所在地名古屋市中区三の丸3丁目3番2号 名古屋国税総合庁舎
設立
代表者名古屋国税局長
従業員数約6,100名(2019年2月現在)

viewpoint 業界(国税専門官の仕事)

 公務員とは大きく分けて国の仕事に従事する国家公務員と、地方公共団体の仕事に従事する地方公務員の2種類に分類される。公務員は国民が納めている税金を財源として活動をするということも、大きな特徴である。
その中でも国家公務員に分類される国税専門官は、行政サービスの財源である『税』の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現を任務としている。
国税専門官は全国の国税局や税務署で税のスペシャリストとして活躍しており、その業務は国税調査官、国税徴収官、国税査察官の3種類に分かれる。先ず、国税調査官は、納税者から提出された確定申告書等について、適正な申告が行われたかどうかの調査や検査を行うとともに、申告に関する指導などを行う。次に、国税徴収官は、定められた納期限までに納付されない税金の督促や滞納処分を行って、税金を徴収するとともに、納税に関する指導などを行う。最後に、国税査察官は、裁判官から許可状を得て、悪質な脱税者に対して捜索や差押えなどの強制調査を行い、刑事罰を求めるため検察官に告発することを業務としている。
このように、経済や社会と直接つながる税務行政の業務は間口が広く、それらを遂行する国税専門官一人一人には、重要な役割が課されていると言えるだろう。

viewpoint 企業(名古屋国税局について)

 全国に12ある国税局・事務所の中でも名古屋国税局は、愛知・岐阜・三重・静岡の東海4県にある48税務署の指導・監督を行っている。東海4県の特徴として、経済活動が特に活発であり、中でも製造業では世界の中に広く名を知られている大企業も多数活動している。国税専門官は、それら企業の経営者や経理担当者と接する機会が多いため、必然的に高いスキルが求められる。
また、国税の職場の特色として、研修制度の充実とワークライフバランスに配意した職場環境が挙げられる。
国税専門官として採用後すぐには「専門官基礎研修」、課税・徴収部門へ配属となった後には「専攻税法研修」、更に税務署で2年間の実務経験を重ねた後には「専科」研修を受講する。その後も、専門官職としてふさわしい知識や教養などを身につけるためのカリキュラムが数多く存在しており、国税専門官としての能力を磨くことができる環境が整っている。
ワークライフバランスについては、自分のライフサイクルにあった制度を活用することで「仕事と家庭との調和」を保つことが出来る。例えば、妊婦の方の通勤緩和制度や、育児中の職員の早出・遅出勤務、出産前後に取得できる制度としては「育児参加のための休暇」など各種制度が充実している。また、育児休業は、出産した女性職員のほぼ100%が取得しているほか、男性も3割以上の職員が取得している。これからは、女性だけでなく男性の育児参加もスタンダードになっていくことを踏まえると、男女問わず育児休業が取得しやすい職場環境を整備しているといえる。

国税局で働くOBの姿

名古屋国税局 
荒川 明大 氏
調査部 調査管理課
2005年3月 法学部卒業
 本学OBの荒川さんは国税局調査部でご活躍されており、世の中に広く知られている大企業に対し、提出された申告書の内容に誤りがないか調査する業務に従事。担当企業は10社以上に上る。大企業では国境をまたいだ国際取引やICTを活用した電子取引など最先端の経済取引が行われることが多く、業務の難易度は高い。
荒川さんは、「税金を正しく納めている方々が不公平感を抱かないようにするという使命感が、自分の背中を押してくれている」と話す。国民から見られているという意識がプライドに繋がり、日々仕事に打ち込むことができる。また、日々変わり続ける経済情勢に対して向上心を忘れずに向き合い、常に学ぶ姿勢を忘れずに仕事に励んでいると話していた。

荒川さんの学生時代

 荒川さんは学生時代法学部に在籍していた。今の職場では、愛知大学での学びを生かせていると感じるそうだ。例えば「法的三段論法」という具体的事実に適切な法律を当てはめる考え方や、民法・会社法への理解などがそれである。
国税局調査部では、国際担当、ICT担当など事務の内容に応じて様々な担当に分かれているため、各人が持つ特有のスキルを発揮し、向上させやすい職場でもあると話していた。国税局ではそのような専門性の高い仕事ができることも、当時学生であった荒川さんの興味を引き出したという。それに加え、税務署で確定申告のアルバイトを経験した際に、若い人でも活躍できる職場であると知ることができたことも、国税専門官を目指す後押しになったそうだ。


荒川さんの仕事への思い、そしてやりがい

 なぜ荒川さんは数ある職業の中から国税専門官を志したのかお伺いした。荒川さんによると、「学生の時に名古屋国税局の職場説明会に参加し、専門性の高い国税専門官という仕事に魅力を感じた」 と仰っていた。大学時代に法学を学んでいた荒川さんにとって、この職業は学んだことを武器として生かせているという。荒川さんから見て、「国税の組織は常に改善がされている職場であり、勉強したことをずっと生かすことができるので、結果的にみると自分自身の全体的なスキルアップも望める」のだそう。
この仕事のやりがいを尋ねてみたところ、「事前に十分な情報収集・検討をしてから調査を実施した結果、自分の想定通りの調査展開となること」だと教えてくださった。
また、大企業を相手にする際はチームを組んで調査をするため、仲間と達成感を分かち合えることもやりがいの一つだそうだ。
今後の目標は「人材育成」に取り組みたいとのこと。若手職員が増えていく中で、自分が学んできたことを伝えていきたいと語ってくださった。その根底には、国税局に育ててもらったという感謝の気持ちがあるそうだ。

国税専門官に必要なスキル

column 発見

 国税局で働くにあたってどのような能力が求められるのか、総務部人事第二課の加藤順子さんにお伺いした。加藤さんによると、「コミュニケーション能力」、「法律・経済・会計などの専門知識について学びたいという向上心」が必要だと仰っていた。

国税庁の使命は、「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」ことである。その使命を達成する上で、納税者の方との会話は重要であるためコミュニケーション能力が必要とされる。さらに、仕事を行う上で法律・経済・会計などの専門知識も必要となる。これらの知識は入庁後の充実した研修制度によって身につけることができる。そのためこれらの知識についてもっと学びたいという向上心が必要とのことだ。

以上の取材を通して、大学在籍時には、より多くの経験を積み様々な能力を高めるとともに、何事にも向上心を持って行動していくことが必要だと感じた。


チーム紹介

野瀬 友莉花(国際コミュニケーション学部 1年)
加藤 七海(経済学部 1年)
杉本 妃佳留(現代中国学部 1年)
伊藤 菜奈絵(経営学部 1年)

※本記事は2019年12月現在の内容となります。