viewpoint 業界
インフラ業界とはガスや鉄道といった私たちの生活になくてはならないものを提供する業界だ。エネルギーの自由化と叫ばれる時代、都市ガス業界でも2017年に都市ガスの小売り全面自由化が開始された。以前は、ガス管の管理やガスの供給はその地域の会社のみが行っていた。
しかし、小売り全面自由化になったことで一般家庭でもガス会社を選択できるようになった。これにより参入企業が顧客を巡り、激しい価格競争やサービスの拡充が行われ、よりお客さまに寄り添ったエネルギーが利用できるようになると言われている。
そして業界の売り上げシェア率にも大きな変化が現れた。自由化が起こる前は、いわゆる四大都市ガス(東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガス)の売り上げシェア率が全体の80%も占めていたのである。
しかし企業が新たに参入したことで、その他のガス会社及び新規参入企業の割合がたった2年で11%も増加したのである。四季報によるとこの数字は今後も増加すると予想されている。
これらのことから今後も競争が活発になり、ますます目が離すことができない、また生活に密着しているからこそなくてはならない業界である。
viewpoint 企業
東邦ガス株式会社[以下「東邦ガス」]
東邦ガスは名古屋市熱田区に本社を構え、東海三県を中心にガスの供給を行っている。そんな東邦ガスだが、2017年度から始まった都市ガス小売り全面自由化の影響を受け、ガス販売量が減少。販売量減少の理由の1つとして、ガス事業を主としない企業がガスの供給を始めた事で、企業のガス売り上げシェア率に大きな変化が現れた事が挙げられる。しかし東邦ガスは自由化の影響を受けて、さまざまな取り組みを行った事で、徐々に功績を取り戻しつつある。取り組みの例としてここでは2つ紹介する。
1つ目は、ガス事業を第1とする東邦ガスが電力事業やまちづくりを始めとする新規事業への取り組みに本腰を入れ、エネルギー事業だけではない会社としての可能性を広げようとしていることである。
2つ目は、防災対策のさらなる強化だ。東邦ガスは、地域の安全を守り続けるべく、災害に備えたシステムの整備や監視を24時間365日休むことなく行っている。また、ガス製造拠点において津波の対策や、自家発電設備の増設なども行うことで、地震時や停電時において、ガスが使えないという状況に陥らないようにしている。エネルギーの自由化により大きなダメージを受け、厳しい状況であると私たちは思い込んでいた。
しかし東邦ガスは実際、この現状が会社を大きくさせる、自社にとってプラスな機会と捉えている。
また東邦ガスは、新規卒業者を45人程度(大学院卒、学部卒の合計)しか採用しないのである。この事は1人の意見が会社全体を動かし、仕事にやりがいを感じる事に繋がる。また、人材育成にも力を入れている為、入社後もやる気次第でどこまでも成長できる環境が備わっている。言い換えれば、東邦ガスは、社員全員が精鋭として前線で働く事ができ、少人数の戦いの中で日々成長する事ができる職場なのだ。