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所在地〒448-8661 愛知県刈谷市昭和町1-1
設立1949年12月16日
代表者有馬浩二
従業員数連結171,992名/単独45,304名(2019年12月9日現在)

viewpoint 業界

 株式会社デンソーが属する「製造業」とは、製品を生産する企業のことである。製品づくりのもとになる原材料を生産する「素材メーカー」、素材メーカーで生産された原材料を使って製品をつくる「加工組立メーカー」、原材料の生産から最終製品づくりまでを自社で行う「自社生産加工メーカー」に分類される。メーカーは日本を支える基幹産業の1つであり、日本の物づくり品質は世界をリードしている。

 自動車業界は今、100年に一度の大変革期を迎えている。その動向は、Connected(接続性) Autonomous(自動運転) Shared(共有) Electric(電動化) という4つの言葉に象徴されることから、「CASE」と呼ばれている。この実現には自動車技術はもとより、ICTやAIの先進技術も必要になることから、自動車メーカー同士だけでなく、ベンチャーやIT企業などなどの業種の垣根を超えた提携で、新しいビジネスモデルを確立する取り組みがしばらく続くと予想される。

viewpoint 企業

 世界トップレベルの自動車部品メーカーであるデンソーは、17万人以上の社員が世界35の国・地域で活躍し、先進的な自動車技術・製品を世界中の主要な自動車メーカーに提供している。「地球と生命を守り、次世代に明るい未来を届けたい」を使命と掲げ、もっと「環境」に優しく、人々が「安心・安全」に暮らせる未来社会づくりの実現を目指している。
例えば「環境」の分野においては、低燃費化、排出ガスの低下などに取り組み、「安心・安全」の分野においては、ぶつからない車や自動運転等に関する世界初・世界一の技術開発・ものづくりに取り組んでいる。
今、自動車業界は様々な技術の急速な進化により、100年に一度の大変革期を迎えている。激動の時代の中でデンソーは、未来の社会を見据え、世界中の人々に笑顔を届けるために「電動化」「先進安全・自動運転」「コネクテッド」「FA・農業」の4つの重点分野に取り組んでいる。世界のクルマを通じ人々の暮らしへ貢献する企業として今日もデンソーでは、世界中の社員一人一人が熱い思いを胸に挑戦し続けている。

より良い未来を次世代に届ける

株式会社デンソー
前田 鮎美 氏
生産管理部 物流企画室 
2008年3月 国際コミュニケーション学部 英語学科卒業

「自分化する」こと

 本学OGの前田鮎美さんは現在、株式会社デンソーの生産管理部の物流企画を担当している。生産管理部は海外拠点と生産者の間に立ち仲介をする部門だ。海外と英語でメールのやり取りをすることが日常だそう。そんな仕事の中で、やりがいを感じる場面を教えてくれた。それは、海外から緊急の発注がきた際、迅速かつ適切な対応をしたことで、納期に間に合わせることができ、海外拠点と生産者の双方から感謝された時だそうだ。実務職としての入社が決まっていたこともあり、入社前前田さんは決まった仕事をこなしていく単調な日々を想像していたそうだ。しかし実際は同じ仕事は1つとしてなかった。そんな目まぐるしく変化する日々を送る中で、「自分で考えること」「自分の意見を持つこと」がいかに大切なのかを実感することが多々あるのだと教えてくれた。世の中に起こる出来事をいかに自分のこととして捉えるか、つまり「自分化すること」の大切さを私たちに伝えてくれた。

留学経験が与えてくれたもの

 幼少の頃から英語を学習しており、常に英語に触れる生活を送っていた前田さん。本学でも国際コミュニケーション学部に所属し、特に英語に力を入れて学習に励まれていた。大学生の時には、「留学に行きたい」という思いを形にするため、4つのアルバイトを掛け持ちし、留学費用を貯めた。たくさんの努力を重ね、夏休みに1か月間の留学を実現させた。
一人での留学ということもあり、始めは不安があったそうだ。しかし、全然知らない土地に一人で行ったことで、どんなことにも果敢に挑戦できる「度胸」が身についたとおっしゃっていた。また初対面の人と積極的に会話をする中で、英語力の向上はもちろん、誰とでも気さくに話せる力が身に付き、内気だった自分が社交的に変化していくのを実感したそうだ。留学によって培ったコミュニケーション能力は今、仕事で海外の人とやり取りをする際に生かされているそう。「仕事で仲良くなった人と食事に行くこともあります。」と実体験を交えながら、日々の仕事について楽しそうに話をしてくれた。
目標に対していかにアプローチをするのか。常に自分で考え、行動する姿勢が大学生の頃から備わっていた前田さん。やはりそんな人がデンソーで活躍されているのだと思った。ひたむきに努力し続ける、そんな前田さんの姿勢が今のデンソーでの活躍に繋がっているのだろう。
また就職活動の際には「グローバルな会社」「英語を使った仕事」という軸だけはぶれることがなかったそうだ。実際にデンソーの面接の際にも、「英語を使った仕事がしたいです。」と面接官に伝えたそう。前田さんのように自分なりのぶれない軸をしっかりと持つことが、就職活動はもちろん、これから社会に出て行くうえで大切なことなのだと感じた。

「働きやすい」職場環境

 前田さんは今、2人のお子さんを育てながらデンソーで活躍されている。それにはデンソーの「働きやすさ」が大きく関係しているようだ。デンソーでは子供一人につき合計3年の育児休暇を取得することができる。1年半を2回など分割取得も可能で、各々の事情にあわせて柔軟に休暇を活用できるのだ。また復職後も、「時短勤務」といい、通常8時間勤務のところ6時間勤務に変更し働くことが可能だ。
他にも、デンソーには「在宅勤務制度」も整っている。総務省の調査によれば、日本の企業における在宅勤務制度の導入率は13.9%に過ぎないそうだ。その13.9%の中にデンソーも含まれている。このことからもいかにデンソーが進んだ会社なのかがおわかりいただけるだろう。この制度の導入により企業の効率化はもちろん、育児休暇後の子育てや家事の負担を軽減することができるのだ。加えて、デンソーでは「モバイルワーク」と呼ばれるノートパソコンやスマートフォンなどのモバイル機器を使い仕事をする制度も導入している。つまり在宅勤務に留まらず、新幹線の移動中やカフェなどでも業務を行うことができるのだ。
会社のサポートが重要視される現代においてデンソーではこのように様々な工夫が施されている。デンソーがいかに家事・育児と仕事の両立をすることができる環境が整っているのかは言うまでもないだろう。

「時代の先をいく会社」

column 発見

 「働き方改革」という言葉を知っているだろうか。働き方改革とは働く人の置かれた各各の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く人一人一人がより良い将来の展望を持てるようにすることを目的とした政府の取り組みのことである。デンソーも働き方改革を行っており、前田さんの属する生産管理部でも提案したことがあったそうだ。上にも述べたようにデンソーでは在宅勤務制度が整っている。しかし社内では紙を使ってやり取りをすることが多く、実際は在宅勤務がままならない現状にあった。会社にある書類を自宅に持ち帰ることは不可能なため、在宅勤務がかなわないということだ。
前田さんたちはそんな現状に一石を投じ、書類をすべて電子化し、家でも会社と同じように働ける環境の整備を訴えた。前田さんたちが提案したこの案は今、実際にデンソーで進められているそうだ。このことからも誰もが意見が言いやすい環境であることと、大企業でありながらも、一人一人を大切にしてくれる会社だということがわかるだろう。常に改善の姿勢を忘れず、時代の先を行く会社。そんな会社こそが株式会社デンソーなのだ。

チーム紹介

近藤 陽一郎(経済学部 1年)
柳瀬 麻与(経済学部 2年)
河合 耕佑(経済学部 1年)
今井 紀里(経営学部 1年)

※本記事は2019年12月現在の内容となります。