viewpoint 業界
私たちが普段の生活で利用しているものは、私たちのすぐ近くで作られているわけではない。世界中のいたるところで作られたものが、私たち消費者のもとへ届くのだ。そしてその過程ではなくてはならない存在が「商社」である。商社とは、製造業者が小売業者に商品を渡す流れの中で原材料の調達や企業の仲介、さらには事業投資といった広範なサービスを行う企業のことである。
商社には大きく分けて二つの種類がある。消しゴム・鉛筆などの身近なものから、ミサイル・飛行機部品といった幅広い分野で商品を取り扱う「総合商社」と、医療特化、鉄鋼特化といった、特定の分野で商品を取り扱う「専門商社」の二種類がある。
また昨今のグローバル化に伴い、世界規模で市場が拡大する中で、商社に必要とされる役割も増えている。特に「ものつくり」というカテゴリでは、総合・専門にかかわらず発展を遂げている。今回取材させていただいた「岡谷鋼機株式会社」もその例に漏れず、著しい変化がみられた。
viewpoint 企業
岡谷鋼機株式会社は創業から350年の歴史をもつ、独立系商社である。1669年、名古屋に「笹屋」という金物屋を開業し、今日に至るまで事業を拡大している。今では、鉄鋼製品や特殊鋼といった鉄鋼事業を中心に、電子部品、電子機器を扱う情報・電機分野、機械や化成品を扱う産業資材分野、建設関係の資材や食品を扱う生活産業分野の三つを加えた、合計四つの事業分野で商社の活動をしている。
また、国内の取引先との根強い信頼関係を地盤に、海外にも活動拠点を増やしており、内需だけではなく外需の拡大にも力を入れている。企業理念である、国境を越えて企業と企業、人と人とをつなぐ「グローバル最適調達パートナー」にふさわしい経営方針といえる。
長い歴史をもつその背景には、岡谷鋼機株式会社の「今」を大事にする考えがある。江戸、明治、大正、昭和、平成、令和と、それぞれの時代に合わせたやり方で、日々進化していく岡谷鋼機のこれからに目が離せない。