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所在地三重県津市岩田21番27号
創立1878年11月19日
代表者取締役頭取 伊藤 歳恭
従業員数2,470名(2018年3月31日 現在)

viewpoint 業界


  『経済の血液』と言われるお金を扱う金融業界に属する企業は多岐にわたり、例えば、銀行・証券・保険などが挙げられる。その中でも銀行は、人や企業などにお金という血液を送る心臓の役割を果たしているといえるだろう。そんな銀行の代表的な業務として、預金・融資・為替業務がある。これらの業務は銀行の根幹を担っている。
近年、『FinTech』と呼ばれるITなどの先端技術を活用した金融サービスが、金融の高度化を進めている。例えば、ロボアドバイザーと呼ばれる、自動的に分散投資を行うAIに任せることで、投資に知識のない人でも簡単に資産運用ができるサービスが導入されている。他にも多くの銀行では、お客様の利便性向上のためFinTechを活用した新たな決済方法の導入など、様々な取り組みが行われている。こういったことから、金融業界は時代の最先端を歩む業界といえるだろう。

viewpoint 企業

  百五銀行は1878年(明治11年)に誕生した、三重県津市に本店を構える地方銀行である。2018年には創立140周年を迎えた、歴史ある銀行だ。百五銀行では140年で培われた伝統を大切にしながらも、地域とともに成長し、進化することをめざし、『FRONTIER BANKING』をテーマに新しい分野、新しい業務に積極的に取り組んでいる。例として、先ほど挙げた『FinTech』がある。これを活用し、『バーコードPay』と呼ばれる、コンビニ払込票等のバーコードをアプリで読み取ることで預金口座から代金を即時に支払うことができる、百五銀行オリジナルのスマートフォン決済サービスがある。これは、中小企業の取扱いできる全国の銀行で初めてのサービスとして提供されている。他にも、2017年には東海三県の地方銀行では初となる、傷害保険の窓口販売を開始している。
このように、百五銀行はお客様の利便性を向上させようと、お客様を第一に考え、挑戦し続ける銀行であるといえるだろう。

未来の自分に、投資せよ

株式会社百五銀行
平田智也 氏

八田支店
2010年度 経済学部 卒業

できないと言わない

  本学OBの平田智也さん(以下「平田さん」)は現在、法人渉外の仕事をしている。
法人渉外とは、一言で表すなら、お客様である企業の要望に応える仕事だ。例えば、企業に必要なお金を貸し出す融資の提案や、集めたお金で株や債券などに投資をする資産運用の提案などがある。これは一例でしかなく、企業にかかわることはすべて行うのだ。
これを聞くだけでも大変な仕事だろうと想像がつくのだが、そんな法人渉外の仕事を行う上で平田さんが心がけていることがある。それは“できないと言わない”ということだ。銀行というのは、基本的な業務内容に変わりはなく、違いを出しにくい業界である。その中で百五銀行を、そして自分を選んでくれたお客様の要望に出来るだけ応えたいと、平田さんは語ってくれた。
もちろん言わなければならないことは丁寧にはっきりと伝えるが、どんな無理難題でもその場ではできないと言わずに必ず一度持ち帰り、限界まで考え抜く。断ったらもう自分に仕事が入らないかもしれないプレッシャーと、自分を頼ってくれたお客様への感謝の気持ちが、平田さんを動かしているのだと感じた。
この仕事に対する“できないと言わない”姿勢が平田さんの信頼に繋がり、お客様の「また平田さんにお願いしよう」と思う安心に繋がるのだろう。

求められる「人と接する仕事」

  銀行員の仕事として、デスクワークを思い浮かべる人は少なくはないだろう。しかしそれは近年、変化している。なぜならIT技術の発達により、今まで人が行ってきた事務作業をAIやロボットが代わりに行なっているためである。
そんな中で銀行員に求められる仕事とは何か。それは「人と接する仕事」である。このように、人事担当の松本和也さん(以下「松本さん」)は仰っていた。
例えば、銀行に置かれていることが当たり前となっているATM。簡単に必要なお金を引き出せるため、なくてはならない便利なサービスである。しかし、高齢者の方にとっては、必ずしも便利なものとは言えない。そのようなお客様に銀行の行員ができることは、使い方がわからず困っているのに気づき、声をかけ教えることである。ロボットでの業務の効率化が当たり前に行われる銀行業界の中で、お客様に寄り添い接するというようなソフトな面での仕事がこれからの銀行にはより求められている。
そのような中、平田さんもお客様のお話をよく聞き、お客様に寄り添ったサービスを行うことを大切にしている。この、あたたかく寄り添う姿勢が、厚い信頼に繋がっているそうだ。「人と接することが好きな人に百五銀行にきてほしい、これからどんどんそのような方向性は強くなってゆくでしょう。」と、人事担当の松本さんは語っていた。

知識より経験

  銀行員というと、たくさんの知識を持っているイメージがある。では知識がないと採用されないのだろうか。実はそうではなく、学生に対しては知識量をあまり重要視していない。なぜなら知識というのは会社に入った後、銀行員になった後でもつけることができるからだ。では、学生に求められるものは何か。それは経験である。
平田さんの場合、学生時代に行っていたゲームセンターなど様々な業界でのアルバイト経験が、今の自分に活かされている。銀行員は製造業や飲食業などあらゆる業界のお客様と話す機会がある。時には、社長と直接商談することもある。そこで、アルバイトで経験したその業界ならではの話をすることで、お客様との距離感を縮め、コミュニケーションを円滑に取ることができるのだ。
また、今まで従事してきたアルバイトの中でも、ガソリンスタンドでのクレジットカード販売の仕事は特別だったそうだ。お客様の給油が終わるまでの3分という短い時間の中で、カードの魅力を伝えるのは簡単な仕事ではなかった。しかしその経験が現在、金融商品提案の仕事はもちろん、法人渉外の仕事でお客様に対し的確に物事を伝えるという力に繋がっているそうだ。
つまり、学生時代の経験は将来の自分に繋がる大切なものなのである。自由な時間がたくさんある学生時代にしかできない経験、たくさんあるのではないだろうか。
松本さんは今の学生に対し、大学生活の中で「自分の価値がどこにあるのか」を探して欲しいと仰っていた。
実際、平田さんは学生生活の中でのアルバイト経験により自分の価値を見つけ出すことができている。アルバイトで身についた力が、百五銀行で働く平田さんの現在へと繋がり、法人渉外を行う上での大きな価値となっているのだ。
今回の取材を通して、平田さんの働く姿から“自分の価値を上げることの大切さ”というものを学んだ。法人渉外のお仕事は、金融のプロフェッショナルとしてお客様のどんな要望にも、全力で応えなければならない。頼りにできるのは、これまで働く中で積み重ねてきた沢山の経験である。「自身の最善の提案に対し、お客様が満足しご契約をして頂いた際はガッツポーズで喜びます。」と平田さんはやりがいを語っていた。経験により自分の価値を上げる、その姿勢は確実に将来の平田さんの成長へと繋がるのだろう。

充分に実力を発揮できる職場

column 発見

『カエル・プロジェクト』
百五銀行では、働き方改革を実現するため、『カエル・プロジェクト』という取り組みを行っている。このプロジェクトは、「意識をカエル」「業務手順をカエル」「早くカエル」「制度をカエル」という観点から、柔軟で選択肢の多い職場づくりを進めている。その1つに、在宅勤務があげられる。タブレット端末を活用し、自宅や移動中、待ち時間にも仕事を行うことができるのだ。これにより、残業時間の削減や会議の減少などの成果もでている。他にも在宅勤務は、仕事と家庭の両立、そして限られた時間で効率よく働く、生産性の向上にもつながるのである。また、働き方の選択肢を増やすことで、育児や介護などで時間制約のある従業員にも、充分に実力を発揮できる職場環境を目指している。
そして、地方銀行として、地域の働き方改革活性化に向けても積極的に関わっている。積極的な活動が評価され、「みえの働き方改革推進企業」三重県知事表彰にて最高位を受賞するなど、地域活性化につながる役割も果たしている。

チーム紹介

内村 友香(経済学部 2年)
梶浦 藍(現代中国学部 1年)
中村 真子(法学部 2年)
福原 鈴(現代中国学部 1年)

※本記事は2018年1月現在の内容となります。