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所在地名古屋市中区錦2-13-19
設立1940年12月1日
代表者代表取締役社長 瀧 昌之
従業員数単独595名
(2017年1月現在)

viewpoint 業界

 まず商社とは売りたい相手と買いたい相手を結びつける役割を果たす。その商社のなかでも食品から資材、ロケットまであらゆる商材を取り扱うだけでなく新規投資ビジネスまでも手掛ける総合商社と、医薬品、鉄鋼、自動車部品など特定の分野を手掛けている専門商社の二つがある。つまり繊維専門商社とは繊維に特化している専門商社を指す。

 その繊維専門商社の詳しい仕事内容は衣服の完成品を生産するアパレルメーカーや衣服を販売する小売店に対し糸や生地、完成した衣服提供はもちろん新商品の企画提案や最新のトレンド情報を提供することである。この仕事を行う中でアパレルメーカーや消費者からニーズを調査し、求められるものを提供し世の中に出すことでお取引先の企業価値を高めるサポートも可能となる。

 また繊維業界は国内の生産規模が縮小している傾向がある。この状況下で勝ち残るためには日本の繊維関連企業は国内の地盤を改めて固めることだけでなく海外展開を積極的に行うことが求められる。

viewpoint 企業

 瀧定名古屋株式会社は、テキスタイル分野に強みを持つ繊維専門商社である。アパレルメーカーや一般消費者をはじめとするお客様により良い製品を提供するため、最新のトレンドをリサーチし、常に新しい「もの作り」にチャレンジしている。また、国内市場が縮小していく中、課別独立採算制やアパレルメーカーに適量な生地を必要なタイミングで供給する“リスク戦略”を取り入れ、お客様の要望に応えることで瀧定名古屋は成長してきた。そんな瀧定名古屋は単に商品を販売するだけではなく売れる商品を提案し、生地選びまでさかのぼって「一から」物作りを行い、供給している。

企業家精神を胸に一からビジネスを創る。

瀧定名古屋株式会社
水野 翔也 氏

紳士服地部 紳士服地5課
2014年度 経営学部 卒業

「なりたい自分になるために」

 本学OBの水野翔也さん(以下「水野さん」)は、瀧定名古屋株式会社の紳士服地部、紳士服地5課に勤務する入社3年目のホープである。大学時代には軟式野球部に所属し、副主将として活躍してきた。その頃に培ったチームワークを生かし、現在の瀧定名古屋でご活躍されている。そんな水野さんは就職活動をしているとき、とくにこの業界に入りたいと惹かれるような企業はなかったそうだ。しかしそんな状況の下、妥協せず、なりたい自分になれるような企業を探し求めた。そして瀧定名古屋に出会い、この会社ならば自分自身が輝けるのではないかと考え、入社を決めた。その後、専門的な知識や営業の基本を学び今に至る。

 さて、水野さんが配属された紳士服地部とは、主に男性向け衣料品の生地を扱う部署のことである。その中でも水野さんが所属する第5課では、衣料品店で販売されるスーツ地の生産を行っている課である。そんな、いわば会社の中核ともなる部門で活躍されている水野さんは日々多忙を極めている様。取引先は日本各地に存在するため出張が多く、週の半分は名古屋を飛び出し、出張に出ている。そこでお取引先様であるアパレルメーカーに対し生地の提案を行い、取引の交渉も行う。また、オフィス内の仕事でも、紳士服地部として、新しい商品の考案や、課のメンバーとの情報交換や現状報告をする社内会議などのオフィスワークも多数ある。しかしながら水野さんは、そんな多忙なスケジュールをものともせず、自分の仕事に「やりがい」を見出している。

 瀧定名古屋は課別独立採算制という、各課にひとつの企業のような機能を持たせた制度を採用している。この制度を取り入れることにより、売り上げ・利益目標・企画・生産・販売までのことを、各課独自で決定することができることができるのだ。そのため水野さんは、1人の営業マンとして商品の価格決定や納品数量など取引に関する全ての決定権を持ち、ご自身で大きな額のお金を動かしている。また、上司から「これだけ売ってきなさい」という指示があるわけではなく、ご自身で売りたいブランドや取引先を発見し、自らリサーチを行って最適な提案を行うため、仕事に対するやりがい、結果が出た時の達成感は他の企業に比べて非常に大きいと語ってくれた。そのため、瀧定名古屋は自分の考えたことをチャレンジさせてくれるという面で自由度の高い会社であると言える。しかし、そのような魅力的な部分がある反面、個人の責任の重さは大きい。瀧定名古屋は商品や生地の海外生産も行っているため、為替の変動の影響を受けやすい。また関税や輸送費を考慮しなくてはならないため、値段の決定を行うのが難しい。そのため、常にこれらの価格変動に目を向け、適切な対応をしなければならない。実際に水野さんご自身もこの問題に直面し、値段の確認を怠ってはならないことを経験し、改めて責任の重さを実感なさったそうだ。またその失敗から、今後の自分には、不測の事態にも冷静に対応することができるような「想像力」が必要だと感じた。とおっしゃっていた。

 最後に水野さんは「自分自身の売り上げや利益などの“結果”にこだわりながら、これまでのよう、“なりたい自分になる”ことを大切に瀧定名古屋でのステップアップを目指していく」と胸を張って語ってくれた。

「自分にしかできない仕事がやりがいに繋がる」

 瀧定名古屋はとても自由度が高いとおっしゃっていた。自由度が高いなかで自分で考えて自分で方向性を持ち自分の世界を作るために実行することのできる力が求められる。

 そんな瀧定名古屋で営業をしている水野さんに仕事をするなかでのやりがいについて教えていただいた。

 水野さんにとってやりがいとは自分で考え自ら行動する自分にしかできない仕事をこなすことだと語ってくれた。自分にしかできない仕事とはたとえば、自分の課では全く売上がなかった取引先と新たにビジネスを始める新規取引先の開拓などである。先輩から引き継がれてきた既存の取引先ももちろんある。その取引先ではある程度の実績があり、その実績を伸ばし守る必要もある。しかし、受け継がれてそのままあるという形と自分の手で新規開拓し、売上を作るということは意味合いが全く違うという。新規開拓なので自らの目で新しいブランドを見つけ自分で企画営業を行うことが求められる。その前例のないブランドでどのような商品が求められているかなど自分で考えなくてはならない。そのために実際に自分の足で店舗に行きどのような生地が使われているか、ブランドそのものの雰囲気などをリサーチしに行き、それを踏まえて自分のなかでこの店にこんなものがあったらと考え売り込みに行く。このようにして新しい取引先を自らの手で開拓していき課の売上を上げていく。このような仕事は一貫して自らの考えにより実行する仕事でもあり自分にしかできない仕事である。このような仕事をこなし実績を上げることができたとき大きなやりがいを感じたと水野さんは語ってくれた。

 このように、瀧定名古屋で求められる“色々な人“の中でもすべての人に求められるのは企業家精神のある人。その企業家精神を持ちながら仕事をこなすことができる人が常に新しい何かを発見し自ら行動し自分にしかできない仕事をやりがえに変え全力で取り組むことにより、より瀧定名古屋を躍進させる原動力となっているだろう。

「未来への戦略」

 今の市場は物が売れにくい現状にある。その現状の中、今後他の企業といかに競い売れにくいものを打っていく努力をしていると聞いた。

 その中で瀧定名古屋はリスク戦略という他と違った戦略を行なっている。まずリスク戦略のリスクとはどんな服が売れるのか悩んでいるアパレルメーカーに売れそうなものを提案する。しかし提案したものが売れる保証はなくアパレルメーカーは生産を躊躇する。そこで生産開始の決断ができるようにアパレルメーカーの代わりに生地の在庫をストックすることを提案する。その現物がトレンドとなった場合、アパレルメーカーにもっと生地が欲しいと注文されたらすぐに用意できるように準備する。このように瀧定名古屋がアパレルメーカーに代わって現物をリスクを負うことによってお客様は瀧定名古屋に行けば必要なものが手に入れることができるという信頼につながる。

 また、グローバル化が進むにつれ日本での衣服生産は空洞化してしまい生地や糸の生産のキャパシティも小さくなってしまった。しかし、代わりに海外でものを作ろうとしたとしてもまた時間がかかってしまう。ここでまた瀧定名古屋のリスク戦略が活かされてくる。海外生産を行うと納期がかかってしまう分、瀧定名古屋がアパレルメーカーに代わって現物を持つことによりお客様の生産から納品までの期間を短縮することができる。このことによりなにを売るかの決断を遅らせることができる。このようにグローバル化が進行していくなかでも勝ち残るができるリスク戦略は瀧定名古屋にとって大きな強みであるといえよう。

 瀧定名古屋はメーカーではなく商社であるため、国内だけでなく世界中の様々な市場を開拓していくことができ、このリスク戦略が要に他の企業に受け入れられていけば瀧定名古屋のシェアを増やすことができ、これが売上の伸びに繋がると林さんは語ってくださった。


「瀧定人の作り方」

column 発見

 瀧定名古屋はファッション業界に属する企業であることもあり女性の社員が多いことから女性の活躍できる会社づくりにも力を入れている。女性のライフイベントである、結婚や出産などに対する制度も完備されている。女性が長く、そして働きやすい環境つくりに力をいれている。

 また、商品企画から納品、集金までの全ての作業に一貫して携わり、取引先を社員の異動により引き継ぐこともあり、チームワークがとても必要になってくるという。入社後4年目までは総合職は独身寮にて生活する。そこでタテとヨコの強い繋がりを構築することにより個々人が起業家精神を持つことを求められるなかでもお互いに助け刺激し合う関係を作ることができる。そういったことから瀧定名古屋は社風的にとても家族的な社風である。

 このような働きやすい環境があるからこそ社員は精一杯力を発揮することができる。

チーム紹介

加治 玲実(経営学部 2年)
永井 椋子(経営学部 2年)
古市 京花(経営学部 1年)
安田 健志(国際コミュニケーション学部 1年)

※本記事は2017年9月現在の内容となります。