名鉄観光サービス株式会社
加藤 あや香 氏
総務部 主任
フライトだけじゃないセントレア
名鉄観光から見たセントレアの魅力の一つとして、立地の良さがある。セントレアができる2005年までは県営名古屋空港が主に使われていた。だが町中に立地しているため、騒音の問題や空港を拡張するのが困難であり、フライトの時間帯や本数に制限があった。そのため旅行会社としても商品の幅がせまかった。しかしセントレアは海上に位置しているため、これらの障壁がなくなった。よって、今までよりも幅広い商品を展開できるようになった。
またセントレアも一つの観光スポットとなっている。多くの飲食店や飛行機を眺めながら入浴できる風(フー)の湯、2018年にオープンしたボーイング787初号機が展示されているフライトオブドリームズなど、空港としてだけでなくテーマパークとしての側面も持っている。実際に飛行機に乗るためではなくレジャー施設として訪れるお客様も多く見かける。
さらにセントレア内だけでなく、周辺地域も魅力の一つである。セントレアの隣に位置する常滑市には、焼き物やレトロな街並みが楽しめるやきもの散歩道など観光スポットも数多くある。空港ではどうしてもフライトまでの待ち時間ができてしまう。そうした時間も楽しめるセントレアは名鉄観光にも、空港を利用されるお客様にも魅力的といえるだろう。
世界の中部を目指して
日本を訪れる外国人旅行者、つまりインバウンドへの需要がここ数年高まっている。ラグビーワールドカップや2020年にある東京オリンピックなどの国際的なイベントの開催や格安での運航を可能にしたLCCの参入、政府のインバウンド呼び込み施策など数多くの要因によって現在、インバウンド需要は盛り上がりを見せている。もちろんその影響は旅行業界にも広がっている。その需要に応えるため名鉄観光にはインバウンド部がある。私達はインバウンド部のウニルさんに取材を行った。インバウンド部では、主に団体向けの訪日旅行の手配と個人向けの営業活動をおこなっている。団体に対しては、各国の旅行会社と連絡を取り社員旅行や修学旅行の要望に応えながら旅行の企画をする。一方個人に対しては、名鉄グループの観光施設を組み合わせた旅行プランの紹介をしている。これらの業務が、日本を訪れる海外のお客様の旅行を支えているのだ。
また、中部地方の魅力を感じてもらうため、名鉄グループでは昇龍道プロジェクトと呼ばれるものを推奨している。昇龍道プロジェクトとは中部地方の美しい自然や歴史を感じられる名所などを巡る観光ルート、昇龍道を推奨する取り組みのことである。この中には愛知県の名古屋城、三重県の伊勢神宮、石川県の兼六園などの数多くの名所がある。また景観や名所だけでなく、伝統工芸の体験や豊かな自然を利用したアクティビティ、そして海や山の幸を味わえる食事など、魅力あふれる中部地方を思う存分堪能することができる。名鉄観光としては、バスのフリーチケットを外国人観光客向けに販売している。これは利益を見込んだものではなく、あくまで“中部地方をもっと多くのお客様に知ってもらいたい“という考えのもと行われている。この昇龍道はセントレアをはじめとする中部地方の空港や駅からルートが始まる。あらかじめモデルコースはあるが、お客様自身が訪れたい場所を選択し、自らの手でコースを作っていくこともできる。これも昇龍道プロジェクトの魅力の一つとなっている。