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中村区役所新庁舎(令和5年1月移転)

所在地名古屋市中村区松原町1丁目23番地の1

Viewpoint 公務員

公務員は国や地方公共団体で働き、社会の土台作りを仕事とする職業である。民間企業が営利を目的とするのに対して、公務員は全体の奉仕者として公共の利益を目的としている。また、国民から納付される税金を財源としている点も公務員の特徴の1つである。
公務員は大きく国家公務員と地方公務員の2種類に分けられる。
国家公務員は中央官庁や海外の大使館、領事館などの国の機関で働き、公務員全体の2割程度である。国家公務員はさらに一般職や特別職、公安職などに分けられる。
地方公務員は都道府県・市区町村などの地方公共団体で働き、公務員全体の約8割を占める。地方公務員もまた、行政職や技術職、心理職や公安職など様々な種類がある。
国家公務員と地方公務員が異なる点は国家公務員が国家の運営に関する業務を行うのに対して、地方公務員は地域に密着した業務を行う点である。
公務員の仕事は多岐に渡り、あらゆる分野で日本社会を支えている。

Viewpoint  中村区役所

中村区は名古屋市を構成する16行政区の1つである。ターミナル駅である名古屋駅があり、その地方の経済活動の中心的機能を果たしている。一方、中村公園周辺は豊臣秀吉、加藤清正生誕の地としても知られており、歴史あふれる町という一面を持つ。中村区は『「夢」・「笑顔」・「やさしさ」あふれるまち中村区』を基本目標として掲げ、都市として高度な機能とロマンあふれる歴史、相互の調和のとれた活力と魅力あるまちづくりをめざしている。
基礎自治体である区役所は、区民にとって身近な自治体である。区役所には様々な部署があり、その業務は多種多様である。公務員は3年程度で異動があるため、様々な業務を経験できることも魅力の1つといえるだろう。健康福祉に関することや住民生活に関すること、環境・町づくりに関することなど幅広い行政サービスを提供し、地域での生活を支え、発展に貢献している。

身近な窓口 福祉課

名古屋市中村区役所
福祉課
高齢福祉係 係長 A 氏
障害福祉係 係長 B 氏

より良い「窓口」にするために

福祉課では、『区民に親しまれるとともに分かりやすい窓口対応』『組織内にとどまらない横断的な連携強化』という、大きくこの2つのことを全体の目標にしている。
『区民に親しまれるとともに分かりやすい窓口対応』のために意識していることとして、主に3つ挙げられる。1つ目が「市民からの要望に素早く応える“迅速さ”」。2つ目が「丁寧かつ正確な対応をする“確実性”」。3つ目が「できないことはできないと伝えて、そのことを踏まえたうえで他の策を練る“誠実さ”」である。
『組織内にとどまらない横断的な連携強化』のために、福祉課は、課の中に留まらず他部署や他の機関と連携をとりながら業務を行っている。協力する部署や機関の例としては、保健センター、社会福祉協議会、いきいき支援センター(地域包括支援センター)、民生子ども課、障害者福祉の事業者等で構成する自立支援連絡協議会、などがある。例えば、自立支援連絡協議会は、福祉課と協働で中村区区民まつりに参加し、お菓子や果物などの食品や障害者施設の自主製品の販売、ちらしや風船の配布をした。

福祉課で必要なスキル

福祉課の業務の1つに窓口対応がある。他の課でも窓口対応をすることはあるが、福祉課に来られる方は高齢者や障害者の方であることが多いため、高齢者や障害者の方に合わせた対応をする必要がある。対応するにあたって求められる力はとしては、「話す力」と「聞く力」が挙げられる。
まず「話す力」は、高齢者や障害者の方へいかに分かりやすく伝えるかが大切であるため必要なスキルとなっている。耳が遠かったり、難しいことを理解するのが難しい方の対応をする際には、大きな声でゆっくりと話したり、簡単な表現を用いて説明したりするといった状況に応じた話し方をする必要がある。分かりやすく伝えるという点で、話す力は福祉課で働く上でとても必要なスキルである。
次に「聞く力」は、高齢者や障害者の方々との話の中から、正確に用件を聞き出すために必要な力である。高齢者や障害者の方の中には、言いたいことを上手に言い表せない人や、何の目的で来たのか分からない人などがいる。それに対して、相手が言いたいことは何か推測して話を聞いたり、質問をして用件を聞き出したりする必要が出てくる。そのような方の対応をすることが多い福祉課では、「聞く力」というものはやはり必要なスキルとなってくる。
窓口対応以外に、高齢者や障害者の方を訪問する業務もある。訪問する際も話す力、聞く力というのは大切になってくる。小さな環境の変化から感じた違和感をそのままにせず、自分が納得できるまで聞くことで、その人の人生や生活を守ることにつながるのである。
福祉課では、相手が理解するまで丁寧に説明し、自分が納得するまでちゃんと聞くということをとても大切にしていた。


公務員を選ぶということ

地方自治体の市役所などに入職する者が企業に就職する者と大きく異なる点がある。それは自身の業務内容が直前まで分からないという点である。お二人も例に漏れず、入職前は公務員の業務へのイメージはほとんどなく曖昧なものであった。しかし公務員として働くうちにその曖昧さに魅力を感じるようになったそうだ。一口に公務員の業務と言っても様々な施設やジャンルがあり幅広い。そう思うと急な異動も楽しむことができると語っていた。未知に触れるのはいつだって胸が躍るということだろう。

経験を活かす

お二人には過去の経験についても伺った。Aさんは大変だったこととして「虐待対応」を挙げた。この業務は個々にケースが異なるためルーチンが存在しない。そのため一から迅速に情報を集め避難や様子見などの判断・調整を行う必要があった。これを組織で行ううえに責任が重大であるため慎重な対応を迫られ、その精神的なプレッシャーはかなりのものだったらしい。
これに対してBさんはやりがいについて語ってくださった。医療系の事務として患者の対応をしていたが、一番に助けになれることに誇りを感じていたそうだ。
これらの経験を踏まえてお二人が共通して話されていたことがある。それは別の課での経験は自身の糧になるということだ。「現場ではルールを守って業務を行うが本庁ではそのルールを作る。入職して最初のうちは分からずがむしゃらに業務をこなしていくが、そこには段階があり、経験を重ねることで仕組みが分かり様々な視点が見えてくる。そうして自身の中に引き出しができると様々な対応ができるようになり、やりがいや実感が湧いて面白い」と話しながら微笑んでいた。

コミュニケーションと経験の大切さ

Column 発見

福祉課は、他部署や他の機関と協力・連携しながら、高齢者や障害者の方が安心して暮らせるように日々の業務を行っていた。また、福祉課の方々の区民に寄り添った対応や、高齢者の些細な異変を見逃さない姿勢が多くの中村区民の生活を守っていた。このような対応の中に、コミュニケーションを大切にしていることを強く感じたが、「コミュニケーション」は福祉課の仕事のみならず、私たちが日々生活していくうえでも大切なことである。コミュニケーションを怠らないことを私たちも大切にしていきたいと思う。
また、お二人は、これまで様々な部署を巡りながら経験を積み、それを自身の成長へとつなげていた。成長を感じることは仕事の楽しさにもつながる。さらに仕事の中に学びや面白さを見いだすことはモチベーションの向上にもつながり、公務員に限らず働く上で共通して必要なことだと考える。今後大きな壁にぶつかることになるだろう私たちも、将来の自分のために、1つの人生の経験として困難を乗り越えていきたいものである。


チーム紹介

村瀨 颯都 (法学部2年)
池田 晴香 (経営学部1年)
堀 陽向  (法学部1年)
古田 夕姫 (文学部2年)

※本記事は2023年3月現在の内容となります。