文字サイズ

中村区役所新庁舎(令和5年1月移転)

所在地名古屋市中村区松原町1丁目23番地の1

公務員について

公務員とは、国民全体に奉仕する者として国や地方自治体に勤務し、民間にはできない公共サービスを平等かつ公平に提供することで人々の生活の基盤を支えている職業である。公務員の種類として国の司法・立法・行政に従事する国家公務員と地方自治体における各種サービスを担う地方公務員の2つに分かれており、そこからさらに職種が分割されている。国家公務員を例に挙げると、司法府にあたる裁判所事務官・家庭裁判所調査官補、立法府にあたる衆議院/参議院職員、行政府にあたる国税専門官・労働基準監督官などがある。
また、上記の通りより良い生活・企業活動を支えることを目的として業務を行っているが、これらは税金が活動資金となっているため営利を目的としないところが公務員の特徴の1つとなっている。

地方公務員について

地方公務員は、都道府県や市町村などの地方自治体で働く公務員のことだ。地域住民や地域に密着した行政サービスを担っている。地方公務員は、機関ごとに採用される国家公務員とは異なり、自治体ごとに採用されるので、様々な部署に異動する。そのため、仕事内容は多岐にわたり、幅広い職務に携わることができる。さらに、自治体ごとに独自の政策を行っている。自治体によって抱える問題が異なるので、自治体ごとに力を入れて取り組むべき政策も異なる。そのため、それぞれの自治体が地域の特性を活かした政策を行っている。私たちが取材させていただいた中村区では、『「夢」・「笑顔」・「やさしさ」あふれるまち中村区』という基本目標を掲げ、さまざまな政策を行っている。例えば、防災に関する取り組みとして、それぞれの地域の特性や災害リスクによって、その地域にあった避難行動に関する啓発や地域の避難訓練の支援などを行い、基本目標達成に向けた取り組みを行っている。
このように、地方公務員は、暮らしやすい生活環境をつくるために、基本的な行政サービスを行うだけでなく、各自治体の問題点の解決を目指したり、特性を活かしたりしながら、魅力的なまちづくりを行っている。

取材を通して得られたこと

名古屋市中村区役所
区政部 総務課 

〇総務課の業務

今回私たちは、名古屋市中村区役所区政部総務課の職員2名からお話を伺った。お二方が所属する総務課は庶務係と統計選挙係に分かれている。その仕事内容として庶務係は人事や庁舎の管理、防災の業務を行う。統計選挙係は平常時には選挙人名簿、在外投票人名簿の調製や選挙啓発を、選挙時には投票・開票事務などを行う。また選挙事務以外にも統計調査や直接請求に関する事務を行っている。
 庶務係の仕事の1つである防災業務について現在中村区では、区民の防災力・防災意識を高めることに力を入れている。人の命を守ることが究極の目的であり、これを啓発するのが仕事である。様々な工夫をしながら災害に対する備えの啓発を行っているが、大切なのは直接説明することであると伺った。防災啓発についての紙をただ渡すだけでは、見てもらうことは難しい。「見ておいてください」と紙を渡すだけではなく、説明させてもらう時間を取っている。時間はかかるが、聞いている人に理解してもらうために必要なことだそうだ。統計選挙係の仕事のうち、統計調査事務は調査員への説明会や調査票の審査事務など比較的事務作業が多いが、選挙事務、特に投票所運営は他課の職員と連携するとともに、地域の方や施設管理者との調整・交渉が必須となる。

〇臨機応変な対応が大切な総務課

総務課は庶務係と統計選挙係に分かれており各業務を行っているが、日常業務ではない、他の課の業務に当てはまらない仕事も総務課の仕事の1つである。過去の例として不発弾の処理や臨時給付金の事務などがある。このことに関して「仕事が突然降ってくる」と話されており、その言葉の通り普段の業務だけではなく、突発的な仕事にも対応しなければならない。総務課はルーティンの仕事ばかりではなく、防災や選挙に限らずそうした突発的な仕事にも臨機応変な対応が求められている。
また、区役所の仕事は区民の方に一番近く、生活するうえで必要な業務であるため、コロナ禍であってもなくなっては困るような仕事が多くある。例えばコロナ禍の影響で、防災訓練やイベントは中止になっても選挙はコロナ禍だからといってなくなるわけではない。コロナ禍での業務の変化として、選挙での感染対策を行うようになった。アルコール消毒やマスク着用のお願い、人と人との距離を確保することなどの感染対策を行い、コロナ前よりも気に掛けることが増えたが対応して業務をしているそうだ。

〇職員同士のコミュニケーション

突発的な仕事にも臨機応変に対応する必要がある総務課では係の垣根を越えて働いている。職員同士の壁がなく、協力できる体制や信頼関係がそこにはある。
職員同士のコミュニケーションとして教える側は新しく入ってきた職員に対し、仕事の進め方や心構えを教える。名古屋市には、サポーターが新規採用者に職場習慣や仕事への取り組み姿勢を教える「新規採用者サポーター制度」というものもあり、新規採用者に比較的年齢の近い人が教えているケースが多いそうだ。教えてもらう側は先輩とたくさんコミュニケーションをとり分からないことは聞くという姿勢が大切である。仕事は厳しく、辛いこともたくさんあるため、同僚とできるだけコミュニケーションをとって乗り越えている。取材では、向いていると思う仕事でも人間関係が合わないとうまくいかないこともあるが、大変な仕事でも人間関係が良好であると乗り越えることができると話をされていた。そのため何をやるかよりも誰とやるかが大切であると伺うことができた。

〇総務課でのやりがい

選挙のときに計画通りに進められた、失敗なく業務を終えることができたときやりがいを感じる一方、防災の仕事は防災啓発などによる活動の結果が見えにくい。
区民の方に防災意識を持ってもらえているかは自分の目ではっきりと見て分かるものではない。
成果が結果として見えない仕事に、もやもやとした気持ちを抱えることもあるそうだ。
総務課に限らず、公務員は正しいことや当たり前のことを当たり前に行う仕事を積み重ねている。
当たり前のことであるため結果は分かりにくい。
しかしその当たり前のことが失敗なくできたとき、コツコツやってきたことが結果として身になったときにやりがいにつながるそうだ。

発見や学び

コラム

大学4年間は大切に、勉強だけでなくアルバイトやゼミなど様々な経験をしたほうが良いと伺った。大学でのとことん考える経験や、対人の経験、特に幅広い年齢の方と関わる経験は仕事で生きることが多いそうだ。人脈や経験は、今の仕事に関係なくとも将来的にどこかで役立ち生かすことができるものであるとおっしゃっていた。
以前、地域の方とともに仕事をした際に厳しいことをたくさん言われたが、逃げずに受け止め、意図をくみ取って向かい合った結果、その仕事が終わったあともつながりは続いているというお話が特に印象に残った。地域の方から学ぶことも多く、その方から仕事の仕方をたくさん学んだとおっしゃっていた。
私たちも人との出会いを大切にし、様々なことに挑戦し、壁にぶつかっても最後までやり抜き、たくさんの学びを得たいと感じた。


チーム紹介

伊藤 みなみ (経営学部2年)
山梨 早穂  (法学部1年)
北川 理名  (法学部2年)
牧 信二   (文学部2年)

※本記事は2023年3月現在の内容となります。