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(学生の皆さんへ)生成AIへの愛知大学の対応について・第2報

大学全般
学生の皆さんへ
2023年11月10日


生成AIへの愛知大学の対応について・第2報


愛知大学・愛知大学短期大学部 学長


 5月22日付でお知らせした生成AI(ChatGPT、BingAI、Bard等の対話型人工知能)への対応について、その後の本学での検討状況を踏まえて、学生の皆さんに第2報をお伝えします。

・著作権違反に注意しよう
 生成AIは大規模言語モデルと呼ばれる膨大な言語データの処理に基づいて利用者からの質問に対する回答を自動的に生成しています。その膨大な言語データの中には著作権処理がされていないデータが大量に含まれており、生成AIの出力の中に紛れ込んでいることがあります。盗作や剽窃をするつもりはなかったのに、著作権違反を犯してしまう可能性がありうるので、十分に注意してください。

・誤情報にだまされないようにしよう
 生成AIに限りませんが、情報を鵜呑みにすることは決して学問的な態度ではありません。たとえば大学の授業では外国の高名な学者がこう言った、と聞いたら、最低でも翻訳で、できれば原著で確かめることも学びます。生成AIは自信たっぷりに誤った情報を出力することがあります。生成AIは万能ではありません。なるほどと感心する回答を出力するかもしれませんが、鵜呑みにするのではなく必ず自分でもう一度確認して再検討するようにしてください。

・個人情報と機密情報は大切にしよう
 生成AIは使い方によっては質問する際に用いた情報をデータとして再利用します。したがって、生成AIを用いる際に個人情報や機密情報を含めて質問してしまったら、別の質問への回答の中にその情報が紛れ込んでしまう可能性があります。生成AIに限らず、Web検索やSNSの利用においても、みだりに個人情報や機密情報を書き込むべきではありません。自分自身と自分にとって大切な人を守るために、個人情報や機密情報の取り扱いには十分に注意してください。

・多様な調べ方を身につけよう
 生成AIの出力をそのままレポート課題等に用いてはいけません。このような利用の仕方は自分で考えないで生成AIに代わりに考えてもらっているようなものです。学生の皆さんは自らの思考力を伸ばすことを心がけてくだい。
生成AIを学修や研究に使う場合は授業担当者とよく相談してください。場合によっては生成AIに頼らないで、図書館で紙の書物を調べましょう、といった指導があるかもしれませんが、それも皆さんにとっては重要な学びの一つです。図書館の活用は生成AIでお手軽に回答を得るよりも何倍も貴重な体験を皆さんにもたらしてくれることがあることもぜひ学んでください。

・問いを立てる能力を磨こう
 近年、正解のない問いに立ち向かうことが社会から求められています。大学での学びは高等学校までのように一つの正解へたどり着くことだけではありません。多くの問題は複数の可能解があり、現在の状況や今後の見通しも含めて、さしあたっての解を決めます。生成AIを用いるときも同じことが言えて、問いが明確であれば回答も比較的明確です。あやふやな質問に対しては信憑性の低い回答しか返ってきません。愛知大学では学生の思考力を伸ばす教育に力を入れていますが、思考力の半分は問いを立てる能力だと言っても過言ではありません。生成AIを用いる場合にも優れた問いを発するように心がけてください。

・人工知能と協働できるようになろう
 生成AIも含めた人工知能は使い方によって有益な道具にもなれば、有害な道具にもなります。今後の社会において人工知能との共存は避けられません。民間企業も自治体も政府も実用レベルに達した生成AIをどのように活用するかという問題に真剣に取り組んでいます。しかし、生成AIに頼りすぎてはいけません。逆に恐れすぎることも正しくありません。生成AIが得意な分野もあれば、人間のほうが優れている分野もあります。学生の皆さんは大学での学びの中で生成AIと協働しながら正解のない問いへ立ち向かう能力を磨いてほしいと願っています。


 たいへん変化の激しい分野なので、大学からのメッセージが追いつかないこともありえます。明日には予想もしなかったサービスやツールが出現するかもしれません。
 5月22日の最初のメッセージ後の社会的な動きとしては、文部科学省から「大学・ 高専における 生成 AI の教学面の取扱いについて」という事務連絡が各大学等に届きました。本学も加盟している一般社団法人日本私立大学連盟からは「大学教育における生成 AI の活用に向けたチェックリスト」が本学にも届いています。その他、生成AIに関するニュースを見聞きしない日はないくらいで、生成AIの活用は世界的な課題となっています。
 愛知大学は今後も継続して生成AIの活用に関して適切なメッセージを皆さんに発していきますが、学生の皆さん自身も「生成AIをどのように用いれば自分の思考力を伸ばすことができるだろうか」と考えながら大学での学びに取り組んでください。


以上