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出版物紹介

2023年度

Civil Defense in Japan: Issues and Challenges

書影
著者武田 康裕(東京国際大学国際関係学部教授、防衛大学校名誉教授)[共編著] 、伊藤 潤(愛知大学国際コミュニケーション学部国際教養学科准教授)[共編著]、川島 佑介(茨城大学人文社会科学部法律経済学科准教授)[共編著]
出版社Routledge
出版日2023年12月1日
ISBN9781032489544
日本の国内危機管理体制は、長らく自然災害対策(防災)を中心に発展してきた。その中で2004年に誕生したのが「国民保護」である。「国民保護」とは、有事(武力攻撃事態や大規模テロ)における国民の生命・身体・財産の保護を目的とした制度で、世界的には民間防衛や市民保護と呼ばれるものに相当する。制度誕生以来、長らく注目されることはなかったが、日本を取り巻く安全保障環境が大きく変化する中で、改めてその意義が問われている。本書は、「国民保護」に関して歴史、制度、運用、さらに関連政策など多角的な視点から分析を行うことにより、その実像と課題を明らかにしようとしたものである。

食料危機の未来年表ーそして日本人が飢える日ー

書影
著者高橋 五郎 名誉教授
出版社朝日新書
出版日2023年10月13日
ISBN9784022952127
日本の農水省が試算した日本のカロリーベース食料自給率は38%、というが科学的根拠が薄く、実態はそれよりも20%も低いことをFAOSTATを用いて試算した。また初めて、世界182カ国のカロリーベース食料自給率とタンパク質自給率を試算、一覧表で掲載した。これによれば、中国も巷間流布されていた90%とか95%とかいう自給率ではなく、75%程度に過ぎないこと、世界全体の自給率は85%程度、世界の食料は絶対的な不足下にあること、これらを通じて、世界には自給率100%を超える少数の国とそれ未満の圧倒的多数の国が混在、食料争奪の渦中にあること、経済力が弱く輸入できない国民の飢えが拡大していることなどを述べた。

くらべてわかる 岩石

書影
著者西本昌司 法学部教授 著、中村 英史 写真
出版社山と渓谷社
出版日2023年8月2日
ISBN9784635063586
日本で見られる主な岩石30種ごとに複数の標本写真で解説した図鑑。別の種類との違いよりも、同じ種類でのバリエーションの広さに注目している点がユニーク。街なかで見かける石材49種も掲載し、岩石観察の初心者に役立つ情報がまとまっている。掲載されている岩石標本の多くは著者の研究資料であり、研究活動に基づいた教育活動の成果でもある。

2022年度

インジャンクションと仮処分の研究

書影
著者吉垣実 法学部教授
出版社日本評論社
出版日 2023年3月
ISBN9784535524170
本書は、アメリカ連邦裁判所における予備的差止命令と仮制止命令の発令手続を概観し、わが国の仮の地位を定める仮処分への示唆を検討するものである。アメリカにおけるインジャンクション(第1編)、インジャンクションと仮の地位を定める仮処分(第2編)、商事仮処分(第3編)から成る。

EU金融制度の形成史・序説 構造的パワー分析

書影
著者石田周 地域政策学部准教授
出版社文眞堂
出版日 2023年3月25日
ISBN9784830952227
世界金融危機以前に欧州連合(EU)で展開されてきた金融制度改革は、EUにおける金融の不安定化をもたらした。では、このような制度改革はどのようなメカニズムで生じたのか。本書は、スーザン・ストレンジのアプローチを応用し、金融機関や証券取引所のような民間アクターが行使した構造的パワーという視点から、EU金融制度の形成史を描く。一部の強力な民間アクターの影響によって制度改革が左右されてきたことを描く点で、本書はEUにおける「民主主義の赤字」に関するケーススタディでもある。

ナショジオキッズ 潜入!世界のフィールドワーク 岩石・鉱物

書影
著者スティーブ・トムセック、カーステン・ペーター 著
梅田智世 翻訳
西本昌司 法学部教授 監修
出版社MdN
出版日2023年3月17日
ISBN9784295204756
大きな美しい写真とともに自然科学の様々な分野を幅広く解説する世界的に有名な雑誌『ナショナル ジオグラフィック』の児童書「ナショジオキッズ」シリーズのひとつで、岩石・鉱物の性質から人の関わりまでわかりやすく紹介している。写真家カーステン・ペーターの体験に基づくエピソードやクイズなど通じて楽しみながら地質学を学べる1冊。専門的な内容を含む原文を、日本人にも伝わりやすい表現とすることを監修した。

起源がわかる 宝石大全

書影
著者諏訪恭一 諏訪貿易株式会社会長、門馬綱一 国立科学博物館地学研究部鉱物科学研究グループ研究主幹、西本昌司 法学部教授、宮脇律郎 国立科学博物館地学研究部長
出版社ナツメ社
出版日2022年4月21日
ISBN9784816371431
宝石とその原石について、科学的視点からわかりやすく解説した図鑑。国立科学博物館と名古屋市科学館で2022年に開催の特別展「宝石 ―地球がうみだすキセキ」に出品された標本を中心に、有名宝石からレアストーンまで、原石およびカット石を1000枚以上の美しい写真によって網羅的に紹介している。

2021年度

霞堤の研究―豊川流域に生きている伝統的治水システム

書影
著者藤田 佳久 名誉教授
出版社あるむ
出版日2022年3月22日
ISBN9784863331785
日本の河川の中で、部分的であれ堤防のない河川があるのをご存知だろうか。かつての日本では当り前で、その後の治水政策、とくに明治以降に激減した。しかし、今でも連続堤にできない河川もあり、沖積低地では「霞堤」といい、山麓の扇状地では「鎧堤」という。堤防を築けない河川にはそれなりの理由と知恵がある。豊川下流域もそのような例であり、今なお不連続堤が生きている。近年の大洪水で破堤し災害をもたらしているのは、かつての霞堤を連続堤化した箇所である。本書は筆者が愛大へ赴任して以来、現地を歩き回りながら延10年間に及んでその理由を歴史地理的に研究した集大成本である。地域の方々にも手に取ってもらいたく、自費で半額に抑えて刊行した。

中国が世界を牛耳る100の分野 日本はどう対応すべきか

書影
著者高橋 五郎 名誉教授
出版社光文社新書
出版日2022年3月17日
ISBN9784334045951
2018年頃から際立ち始めた米中対立は、アメリカがあらゆる面で、中国に世界トップの座を奪われかねないという危機感。焦燥感に根を持つが、実際、外交分野、経済分野、科学分野、軍事分野では中国に肉薄され、あるいはすでに追い越された分野が多数生まれている。本書はこれらから100の分野を厳選し、中国がいかに先頭に立っているか、なぜそうすることができたのかを解いた。そのうえで、米中のはざまで、日本は何をどうすべきか、を重要なことに絞って、具体的に提言した。

青藏高原東部的羌族與藏族-2008汶川地震前後的人口流動與文化變遷(論文篇・影像篇)

書影
著者松岡正子 現代中国学部教授
監訳者:黃英哲 現代中国学部教授、名古屋大学大学院 陳奕汎 氏
出版社允晨文化實業股份有限公司
出版日2022年3月15日
ISBN9786269567980
2017年3月に刊行された『青蔵高原東部のチャン族とチベット族-2008汶川地震後の再建と開発』(あるむ/ISBN 9784863331259)の台湾版。
中国四川省のチャン族とチベット族は、チベット高原東端の高山峡谷地帯に居住する山の民で、数千年前に「蔵羌彝走廊区」を北部草原から南下した古代「羌」の末裔とされる。2008年の汶川地震では甚大な被害を受けたが、中国政府によって2年余りで復興をおえた。しかし、その過程で農村から都市への大規模な人口流動が起こり、村落が次々と消えて生活様式や価値観が変わり、母語や伝統文化が消失していった。本書は、著者が1980年代末から現地で続けてきたフィールドワークをもとに、千枚を超える記録写真と論文によって彼らの変化の諸方面を分析した、蔵羌彝走廊研究の集大成である。(紹介文は黃英哲 現代中国学部教授が寄稿)

名古屋で見つける化石・石材ガイド

書影
著者西本昌司 法学部教授
出版社風媒社
出版日2022年3月15日
ISBN9784833142960
名古屋の街は、避けて歩くことができないほど石だらけである。地下街のアンモナイト、赤いガーネットが埋まっている床……世界や日本各地からやってきた石材には、地球や街の歴史が刻まれている。そんな街歩きが楽しくなりそうな話題が盛りだくさんで、石材図鑑としても使えそうだ。石材をテーマにした文理融合型研究の成果を、一般向けにわかりやすく紹介した著作。

好きな場所で生きていく

書影
著者なごや魅力会
出版社プラチナ出版
出版日2022年3月12日
ISBN9784909357779
年代も職業もまったく異なる「なごや魅力会」のメンバー11人が、それぞれの仕事に対する思いや考え方を書いた本。「なごや魅力会」とは、名古屋を含む東海エリアを活動やビジネスの拠点にしている方を対象とした地域コミュニティである。 著者の一人、愛知大学経済学部 杉浦裕晃教授は、大学の外にも学びがあると考え、社会人とのコラボゼミを積極的に進めており、その活動が紹介されています。多種多様な生き方・働き方を知る有益な本である。

古代日本語と万葉集の表象

書影
著者和田明美 文学部教授
出版社汲古書院
出版日2022年3月10日
ISBN9784762936722
『万葉集』の歌の表象に着目した『古代日本語と万葉集の表象』を汲古書院より出版した。古代日本語に関する『古代日本語の助動詞の研究』(風間書房・1994年)『古代的象徴表現の研究』(風間書房・1996年)に続く三冊目の古代日本語に関する研究書(単著)になる。特に本書では、古代日本語の歌表現としての「表象」の観点に立って、『万葉集』の語や語彙、文の構造や意味に関する研究成果を公にした。さらに、三河・尾張・信濃等の「道」「渡り」(愛知県豊川市・豊橋市「しかすがの渡り」)「坂」(長野県下伊那郡「神坂」(神坂峠))にもスポットを当て、この地域の特性でもある東西国境・越境の文字文化に着目した。現在なお定説を得ない古代日本語の文法の課題についても、古代日本語の表現事実と古代的思考に基づいて新たな見解を示した。

Theoretical Analyses of Commodity Tax in an Oligopolistic Market

書影
著者國崎稔 経済学部教授、中村和之 富山大学教授、垣田直樹 富山大学教授
出版社Springer
出版日2022年1月23日
ISBN9789811670022
本書では、財やサービスを取引する市場が寡占である状況下で、消費税などの間接税が、個人や企業にもたらす負担や厚生へ与える影響が分析されている。標準的な公共経済学の教科書では、完全競争市場と呼ばれるある種の理想的な環境を前提に、間接税の効果を議論する。一方で教科書では、間接税の負担は取引を通じて異なる主体へ転嫁されることが説明される。したがってより現実的な、完全競争でない寡占的な市場では、間接税の負担が生じる仕組みや帰結は教科書で説明されるものとは異なると予想される。本書はこの点に切り込み、先行研究の歴史や著者らの最近の研究成果をまとめており、間接税制度について多くの示唆を与えてくれるであろう。(紹介文は新居理有経済学部准教授が寄稿)

エズラ・ヴォーゲル最後の授業ー永遠の隣人

書影
著者エズラ・F・ヴォーゲル ハーバード大学名誉教授、李 春利 国際中国学研究センター(ICCS)所長・経済学部教授
出版社あるむ
出版日2021年8月30日
ISBN9784863331778
『エズラ・ヴォーゲル最後の授業ー永遠の隣人』(エズラ・F・ヴォーゲル 李春利著)は「愛知大学国際中国学研究センター特別記念出版」として刊行された。ハーバード大学名誉教授エズラ・ヴォーゲルは、ベストセラー『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の著者として有名。彼が愛知大学で行った生前最後の講演を収録。愛知大学国際中国学研究センターより書籍購入可能。

2020年度

原価会計の基礎と応用

書影
著者望月恒男 経営学部教授(共同編著者)、 細海 昌一郎 東京都立大学教授(共同編著者)、田子 晃 経営学部教授(分担執筆者)
出版社創成社
出版日2021年3月30日
ISBN9784794415462
原価計算は、産業革命期のイギリスにおいて生成し、製造業を中心に発達・発展してきた計算技法である。しかし現代社会においてその活用領域は製造業のみならず、サービス業やさらには非営利組織(政府・地方公共団体や病院等)へと拡大されている。今日では、とりわけ原価計算ないし原価情報をいかにしてマネジメントに役立てるかという点に大きな関心が集まっている。
本書では、原価計算の基礎概念および基本手続の解説に加えて、応用分野として管理会計の新トピックスについても考察している。

はじまりのアートマネジメント―芸術経営の現場力を学び、未来を構想する

書影
著者太田 幸治 経営学部教授を含む11名による共同執筆
出版社水曜社
出版日2021年3月25日
ISBN9784880655000
芸術の運営に携わるスタッフ向けに書かれた新しいテキスト。太田教授は第2章3節で「ファンづくりのマーケティング」を執筆している。本書で太田教授はマーケティングの中心は製品コンセプトの創造と実現であり、顧客に適応する市場調査でもなければ広告といった販売戦術でもないことを主張した。さらにマーケティングは購買ではなく消費に注目すること、サービスの本質は無形性にはなく売り手と買い手が一緒に作ることにあり、サービスやアートのマーケティングを策定する際には結果の便益、プロセスの便益の双方の視点を持つことが重要であることを指摘した。マーケティングの本質をコンパクトにまとめ、歯切れよくアートのマーケティングを論じた太田教授の解説は関係学会からも高く評価されている。

国研叢書第4期第5冊(通算24冊目) 「ラサール訳『嘉音遵口罵口挑菩薩之語』一研究と影印・翻刻一」

書影
著者永井 崇弘 福井大学准教授、塩山 正純 国際コミュニケーション学部教授
出版社あるむ
出版日2021年3月25日
ISBN9784863331716
アルメニア人のキリスト者ラサール(Johannes Lassar) の手になる漢訳「マタイの福音書」(1807年)は、インドのフォート・ウィリアム大学副学長のブキャナンより英国カンタベリー大主教へ謹呈されたものである。
このたび、英国ランベス・パレス図書館に所載されるそのラサール訳「マタイの福音書」を翻刻・影印し、漢訳聖書研究における貴重な資料を公開することが出来た。また、本書ではラサール訳で使用された音訳語を早期漢訳聖書のそれと比較検討し、ラサールによる漢訳の道程についても述べている。

~編者コメント~
福井大学学術研究院准教授の永井崇弘氏と塩山正純所員(国際コミュニケーション学部教授)はこれまで科研費プロジェクトとして、近代の中国域外における聖書漢訳のルーツとプロセスを探っています。中国域外でも、インドにおけるプロテスタントによる漢訳聖書として、マーシュマン(Joshua Marshman)とその協力者であるアルメニア人ラサール(Johannes Lassar)によるものが有名で、実はそのオリジナルの新約聖書は愛知大学図書館にも所蔵されています。協力者ラサールにはこれ以前に草稿としての「マタイの福音書」鈔本が存在することが指摘されていましたが、永井、塩山の二名はイギリス、ロンドンのテムズ川畔にあるランベス・パレス図書館(Lambeth Palace Library)における調査で、これまで未発見であったこの鈔本『嘉音遵𡂼口挑菩薩之語』を目にすることが出来ました。このラサールの手になる漢訳鈔本は、1807年当時のインドのフォート・ウィリアム大学副学長のブキャナンより英国カンタベリー大主教へ謹呈され、大主教のロンドンにおけるランベス・パレスの図書館に収められ現在に至っていると考えられます。中国本土から遠く離れたインドの地でゼロからの翻訳であるこの鈔本に記されている中国語は、聖書原典の本文がどのようにして中国語化されたのか、またその中国語はどの地域の方言あるいは官話音が基礎となっているのか等、中国域外での聖書漢訳のルーツとプロセスを解き明かしていく上で、非常に有用な資料となるものです。このたび、ランベス・パレス図書館の影印許可を得て、さらに愛知大学国研叢書として採用され、漢訳聖書研究における貴重な資料を広く共有できることとなりました。

コンビニの闇

書影
著者木村 義和 法学部准教授
出版社ワニブックス
出版日2020年10月8日
ISBN9784847066481
街にはコンビニが溢れている。あるコンビニから少し歩けば、別のコンビニに行き着く。このように一見すると、コンビニは繁栄しているようにも思える。しかし、繁栄しているのはコンビニ本部だけである。加盟店は、24時間営業の強制、ドミナント出店、商品仕入れの強制など、本部からの理不尽な要求に苦しんでいる。本書は、現在、コンビニ加盟店がどのような状況に置かれているのか、なぜそのような状況になっているのか、そして、どのように解決されるべきなのかについて解説をする。

中国土地私有化論の研究 クライシスを超えて

書影
著者高橋 五郎 名誉教授
出版社日本評論社
出版日2020年10月
ISBN9784535559899
中国の農村土地改革から40年以上が過ぎ、その基盤だった農業経済構造も農村社会も人びとの関心も大きく変容した。請負った農地は流動化が進み、いまや当初の請負土地面積の80%程度が最初の請負農家から別の農家や竜頭企業と呼ばれる農企業・さまざまな組織に移った。従来の農地制度を支える環境が様変わりしたのである。他方、気候危機は中国農村全土を襲いかかり、農業生産の維持・発展に障害となりつつあり、そういった基盤・生産条件の変化の過程で、農地利用の私有化、一部では制度的規制を超えた所有私有化の動きが見えている。

上杉謙信(人物叢書)

書影
著者山田 邦明 文学部教授 著
日本歴史学会 編集
出版社吉川弘文館
出版日2020年9月10日
ISBN9784642053006
戦国武将の人気投票で、織田信長に次いで第2位になった上杉謙信。越後国(新潟県)を本拠とする大名で、はじめは長尾景虎といい、関東上杉家の名跡を継いで、北条氏康や武田信玄と競い合った。毘沙門天の旗印を背に、正義のための戦いを続けたヒーローというイメージがあるが、ほんとうの謙信はどういう人物だったのか。本書は、当時に書かれた古文書などを読み解きながら謙信の行動や領国統治のありさまを跡づけるとともに、謙信自身の書状の文面などを通してその人物像に迫った本格的伝記である。

東亜同文書院卒業生の軌跡を追う

書影
著者藤田 佳久 名誉教授
出版社あるむ
出版日2020年6月8日
ISBN9784863331624
戦前、中国上海にあった本学のルーツ、東亜同文書院(のち大学)はそのグローバル性から世界初のビジネススクールと言われ「、ジャパン アズ ナンバーワン」と称される戦後日本の高度経済成長を書院卒業生たちが支えた。しかし、彼らは帰国の際、スパイ学校出身という不本意なイデオロギー的風評を浴びせられ、以降、口を閉ざした。転機は1989年ベルリン壁崩壊で訪れ、多くのメディアが一斉に注目した。書院の先駆的な教育システムや卒業生の活躍から、その歴史的意味、現代的意義をくみ取ることができる一冊である。

2019年度

自治体組織の多元的分析 機構改革をめぐる公共性と多様性の模索

書影
著者入江 容子 法学部教授
出版社晃洋書房
出版日2020年3月25日
ISBN9784797267945
能力・実績主義、人口減少時代の組織管理、フラット化など、自治体組織の編成や管理、機構改革をめぐる昨今の問題について、その本質を公共性と多様性を軸に多元的に分析する。組織構造そのものの形式的、内在的理解や単体としての組織管理といった論点を超え、主体性を持った個人や組織、制度および社会との相互作用をも動態的に捉える試みを展開している。

漢語の謎 日本語と中国語のあいだ

書影
著者荒川 清秀 名誉教授
出版社筑摩書房
出版日2020年2月10日
ISBN9784480072856
日本語と中国語には共通の漢字語が大量に存在する。その大半は中国から日本へ伝えられたものだが、日清戦争後には日本の近代用語が留学生らによって中国へ伝えられた。また、日本でつくられたと思われていた漢語がヨーロッパ人たちによって先に中国でつくられていたものもある。本書はそうした日中のことばの交流を中心に、日本語の中で異質に見える「電池」「銀行」の「池」「行」等が実は中国語の痕跡であることを指摘し、日本語の「勉強」がむりやりするという中国語と似ているという誤謬を正す。

選挙はまちづくり~わかりやすく・おもしろく

書影
著者松下啓一 元相模女子大学教授、田村太一 株式会社田村組代表取締役、穂積亮次 愛知県新城市長、鈴木 誠 地域政策学部教授
出版社イマジン出版
出版日2020年11月24日
ISBN9784872998610
愛知県新城市が全国から注目されている。2020年6月全国で初めて市長選挙立候補予定者同士が集まり、市民のためにまちの将来や市政に関わる自治体政策の討論会開催を求めた条例を制定したからである。筆者は同条例の検討策定の責任者であり、本書では穂積亮次新城市長と対談形式で本条例の目的と意義を執筆している。

この社会で働くのはなぜ苦しいのか

書影
著者樫村 愛子 文学部教授
出版社作品社
出版日2019年10月21日
ISBN9784861827761
能力・実績主義、人口減少時代の組織管理、フラット化など、自治体組織の編成や管理、機構改革をめぐる昨今の問題について、その本質を公共性と多様性を軸に多元的に分析する。組織構造そのものの形式的、内在的理解や単体としての組織管理といった論点を超え、主体性を持った個人や組織、制度および社会との相互作用をも動態的に捉える試みを展開している。

ドイツの建築規制執行

書影
著者西津 政信 法学部教授
出版社信山社出版
出版日2019年5月30日
ISBN9784797267945
2020年度日本公共政策学会著作賞選定
筆者がドイツの全16州都ほかの建築規制執行に係る法制度及びその運用実態を広範に現地調査して得た成果をまとめたものである。そのねらいは、ドイツの建築規制執行が先進的な行政上の義務履行確保制度と行政執行体制によって、実効的に規制目的を達成していることを明示し、わが国の関係法制度及び行政執行体制の改革のためのモデルを提示することにある。収録情報は、主題の分野に限らず、近時の新型感染症対策などの各種の行政規制にも広く活用できると考える。

2018年度

戦後日本の地域政策と新たな潮流 ―分権と自治が拓く包摂社会―

書影
著者鈴木 誠 地域政策学部教授
出版社自治体研究社
出版日2019年3月30日
ISBN9784880376929
わが国の地域政策の実態と限界を、第二次大戦前から現代にいたる国土計画や国の地域開発政策を実証的に検証し明らかにする。その上で、グローバル競争と少子高齢化が加速する現代に、人々が人間らしい生活を地域社会で実現する上で必要不可欠な社会目標を「包摂社会」と仮定。その社会目標の実現に必要不可欠な地域政策条件を歴史・理論・実証面から初めて明らかにした。

チャイナ・トリックス 経済大国中国の深層

書影
著者高橋 五郎 名誉教授
出版社イースト新書
出版日2018年8月8日
ISBN9784781651040
中国経済の発展モデルには、至るところで、日欧米資本主義国とは異質な特徴を抱えている。主要な特徴を読み解くと、一般の市場経済ルールとの異質さが隠れている。例えば直径18センチ、厚さ2センチもある額面10万元(現在の相場で200万円)の純金の記念硬貨を毎年の干支にデザインし、中央銀行からたった18枚だけ発行する。重量が1枚10キログラムもあるので、持ち運びはできず、これを使った代金支払いなどの経済行為が行われることはない。では、発行枚数がなぜ18枚で、額面が10万元なのか?中国には、たくさんの?があるが、本書ではこれらの?の解明に挑んだ。