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株式会社ニデック
世界中に「見える喜び」を届ける
所在地愛知県蒲郡市拾石町前浜34番地14
設立1971年7月7日(創業日同年8月8日)
代表者小澤 素生
従業員数1,628名 役員・顧問除く(2021年3月31日現在)

viewpoint 業界

 ニデックは目の検査や診断、手術を行うための機器を製造している眼科医療業界に属する企業である。これらの製造機器は約50種類で、これは世界第4位のトップシェアを誇っている。
 ニデックでは主に3つの事業を展開している。まず1つ目が医療分野。これは緑内障を診断する機器や眼圧を測定する機器といった我々がよく病院で目にする機器を製造している。また視力検査の際目にしたことがある方も多いかもしれない平原と気球の画像は、ニデックのオリジナルのデザインである。
 2つ目は眼鏡機器分野。こちらは眼鏡のレンズを加工する機械やランドルト環などの視力検査をする機器を製造している。眼鏡の名の通り、眼鏡屋に設置されている機器が多い。
 3つ目はコーティング分野。こちらは携帯電話やカーナビに施されている反射防止膜や液晶テレビの保護パネルやアイウェアなどへのコーティング加工および販売をしている。

viewpoint 企業

 ニデックは1971年から製造を開始し、今年で創業50周年を迎える。スローガンは”THE ART OF EYE CARE”(眼の保護をする技術)であり、これにはニデックの製品、サービスを通じて喜びと感動を与えたいという思いが込められている。また1996年には”Eye &Health Care”(目と身体)を理念に事業領域を目だけではなく身体まで拡大。こちらは”Eye &Health Care”のリーディングカンパニーを目指すニデックが健康維持に携わることで平均寿命を延ばし、健康で快適な生活を提供したいという思いが込められている。
 また、ニデックは海外シェアが約6割を占めるグローバルな企業でもあり、取引国は100ヶ国あまりである。またニデックは非上場戦略をとっている。これはニデックの豊富な資金力と技術力の故である。例えば商品1つを販売するにも、市場調査から要素や技術開発、製造、審査や特許取得といった多くの段階を踏むニデック独自のサイクルが確立している。このために、ニデックはお客様により質の高い製品の提供が可能になっている。
 また昨今のコロナ禍においてニデックでは、先述のコーティング技術を応用してフェイスガードやアクリル板といった感染対策予防の商品の製造を開始した。

「one on one」の導入

株式会社ニデック
人事部人事課 課長代理
 鈴木 洋隆 氏
人事部人材育成課
 越智 竜弘 氏

充実を感じる瞬間

 ニデックのようなB to B企業では、例えば接客業のようにお客様の顔を直接見て接することは少ないという印象がある。仕事でやりがいを感じる場面を伺ったところ、まず営業の仕事では、顧客のニーズに合ったときだとおっしゃっていた。営業の場合数字のノルマは付き物だが、ノルマ達成よりもいかに顧客に寄り添えるかに重点を置き、それが仕事をしていると実感する瞬間でもあるという。次に人事の仕事では、人に嬉しく思ってもらえたと実感するときだそうだ。人事の場合も数字ノルマはあるが、例えば、新入社員からの「越智さんがいたから」「人事の方の対応が良かった」といった言葉が励みになるとおっしゃっていた。
 ニデックではお客様のニーズに応えるとともにより良い商品を届けるため、各部署同士、また顧客とのつながりを大切にしているという。突然だが、学生と社会人の違いを感じる新入社員は50%以上いるそうだ。良いモノを作るためにはまず、社員同士のカベをなくし雰囲気をよくすることが重要であるとして、運動会や忘年会といった行事を毎年行い、社内の縦横のつながりを構築している。このような取り組みが顧客との密接な関係を築き、より良いモノ作りを行う秘訣であると感じた。

働きやすさの追求

 ニデックは2020年、2021年と健康経営優良法人に認定されている。健康経営優良法人とは「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」のことである。いわゆるホワイト企業だ。認定されるために企業として意識している点を伺ったところ、法律を守ることは確実に、ストレスチェックの実施に加え会社としての取り組みを行っているとおっしゃっていた。会社としての取り組みについて、わかりやすい例として人材教育と健康診断のふたつを紹介していただいた。人材教育は 新入社員に伝えていく力 にもあるように、仕事を始める前の段階を念入りに行い、環境に慣れることと相談できる仲間づくりに力を入れていることだという。次に健康診断について、健康診断自体はどの企業でも行っていることだが、ニデックの特徴はその後にある。具体的には、診断結果を世間の水準と比較し改善すべき項目を抽出、外部の専門家と相談しつつ数値を見える化したうえで社員教育を行い、それを継続することだという。「会社としてどれだけ社員に寄り添えるか」という想いが、健康経営を行ううえでのキーポイントだとおっしゃっていた。

会社の魅力を新入社員に伝えていく

 ニデックでは新入社員に対しての人材教育に力を入れている。
 まず、新入社員研修の中で電話の取り方や名刺の渡し方などのビジネスマナーなど社会人としての基礎を教える。次に目やニデックの製品、医療会社についての勉強をする時間を作ることで自分の会社について詳しく知る機会を与えている。勉強というと堅苦しく感じる方もいると思うが、大学の授業のように皆で和気藹々と勉強することが出来るため、知識を身につけるだけでなく、一緒に働く仲間を作ることや会社に慣れることが期待される。また、グループワークを通じて何か一つのものに対して皆で協力する研修も行うことで働くということを実際に肌で感じてもらうことを大切にしているのだ。
 メンタル面に対しても「one on one」の導入をすることで上司とのヒアリングも行っている。
 このようにニデックは新入社員の不安や焦りを取り除くために新入社員研修を通じて手厚いサポートが行われている。働く環境に慣れることや会社が嫌にならないように会社を知ることや仲間を作ること、働くことの楽しさを丁寧に伝えているのだ。
 人との繋がりを大切にしているニデックであるからこそ人材育成においても社員に寄り添うことを軸にあるとお話を聞いて伝わってきた。

地域貢献からニデックが伝えたい想い

 地域貢献や社会貢献もニデックは積極的に行っている。
 具体的な活動としては目の見えない方へ向けた点字図書館への寄付や子供達に正しい目の知識をつけてもらうために小中学校の出前授業を行っている。また、ニデックの製品であるフェイスガードの寄付や最新の診断機器も地元の蒲郡市に寄付をするなど目の健康を保ってもらうために使ってもらいたいということから自主的に行っている。
 ニデックはこうした目に関する地域貢献をすることによって見る喜びを共感してもらうことや目の健康を意識してもらいたいという思いを伝え続けている。さらに、目の健康をニデックの技術で支えたいという強い気持ちからこのような活動に繋げているのだ。現在では出前授業などは関東や関西の方からも声をかけられているが、主に地元での社会貢献を行いたいと考えている。それは、ニデックの本社である蒲郡から世界に発信していきたいということを大切にしていきたいからである。

日本の「ホワイト企業」から世界の「ホワイト企業」へ

column 発見

 世界シェア4位という地位を確立しているニデックでは、「eyeに関する三つのAI」という基本姿勢を大切にしている。チャレンジ精神や情熱を意味する“気概”、人がやらないことやできないことを実現する“違い”、国内だけではなく海外にも製品を届ける“世界”の三つである。さらに“愛”され続ける製品を製造するためには、消費者という存在が必要不可欠である。ニデックでは消費者が求めているモノは何なのか?と情報収集を行い、このニーズに添える製品の製造、つまりは製造側目線ではなく消費者目線でモノづくりを進めているという。
 さらにニデックでは部署を超えた縦と横の繋がりを大切にしている。上司と部下、同期との関係性が構築されることで自らの意見が言いやすく、社内の風通しも良いことこそニデックが「ホワイト企業」と呼ばれる大きな要因ではないかと感じられた。
 ニデックはこれからもホワイト企業でありながら消費者の”目“を守り続けていくだろう。


チーム紹介

脇田 恵莉香(経営学部2年)
溝口 雪月 (地域政策学部2年)
森島 佳奈 (地域政策学部2年)
竹内 魁伸 (現代中国語学部2年)

※本記事は2021年10月現在の内容となります。