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【開催報告】弁護士業務改革シンポジウムおよび本学法学部模擬接見を開催しました

教育・研究
9月3日(土)に、日本弁護士連合会主催の、第22回弁護士業務改革シンポジウムが、本学名古屋キャンパスにて開催されました。このシンポジウムは、日本弁護士連合会が開催する定例的な行事としては最大規模とのことです。第20回大会の東京大学開催から法科大学院の学生や大学生も参加できるように大学施設で開催するようになり、第21回大会は同志社大学で開催されています。
第22回シンポジウムの開会に先立ち、小林元治日本弁護士連合会会長の開会挨拶が行われ開会しました。本学からは、広瀬裕樹法学部長が来賓挨拶を行い、大村秀章愛知県知事、河村たかし名古屋市長からもビデオメッセージが寄せられました。

本学でのシンポジウム開催に合わせ、日本弁護士連合会、愛知県弁護士会のご厚意により、本学法学部の小島透ゼミ(刑事法)向けの学生プログラムとして、『模擬接見』を実現していただきました。
接見とは、弁護士もしくは弁護士以外の人が被疑者・被告人が逮捕・勾留によって収容されている留置施設、拘置所に出向き、被疑者・被告人と面会することをいいます。今回のプログラムでは、学生が弁護士役となり、刑事事件の弁護活動をしている愛知県弁護士会の弁護士の方が起訴される前の被疑者役をしていただき、実践さながらの模擬接見を経験する機会を設けていただきました。本学では、毎年「模擬裁判」を開催していますが、今回の「模擬接見」は、その前段階の重要な位置づけであるとともに、弁護活動の出発点となります。

当日のプログラムは、以下の順番で実施しました。
①刑事弁護人の役割や接見に関する講義
②模擬接見
③模擬接見から得た情報の整理、弁護方針の決定

愛知県弁護士会の安田庄一郎弁護士から、刑事弁護の経験に基づいた臨場感溢れる講義を行っていただくとともに、総勢10名の弁護士の方々に、アドバイザーや被疑者役として模擬接見に参加していただきました。司法修習生レベルの題材を基にした模擬接見であったこともあり、1グループあたり3名の学生が弁護士役となり、被疑者の接見をしました。模擬裁判を経験したこともある4年生、同じゼミの3年生が協力し、接見を進めていましたが、初めての経験かつ被疑者の迫真の演技も加わり、四苦八苦する場面も見受けられました。ただ、アドバイザーの弁護士の方が、学生を上手く誘導してくださり、無事に模擬接見を終えました。接見から得られた情報の整理、接見から得られた事件の内容、今後の弁護方針などを六法全書で調べながら、これまで学んできた知識を学生同士が相談しながらまとめあげ、報告会場で発表を行い、弁護士の方々からの講評、助言を頂戴しました。
模擬接見に参加した学生は、「接見で何を聞くかも苦労した」「弁護士の方の実践に基づいた聞き方のアドバイスが大変勉強になった」「貴重な経験ができた」「法曹界の方の知識量に驚いた」「今後の法律を学ぶにあたってモチベーションが高くなった」といった声が上がりました。今回参加した奥村惠佑さん(3年生)は、「緊張して話せなかった。弁護士は大変そうだが、弁護士の仕事に興味を持てた」とのコメントをいただきました。
一方、弁護士の方からは、「実際の接見で自分自身がされたら困る質問をしていたが、学生の受け答えを聞くことができ、ありがたかった」「学生が被疑者の力になりたいというのがよく伝わってきた」「今回の模擬接見の題材は学部生には難しく、しっかりと接見できないと思っていた、しっかりとした模擬接見が出来て、驚いた」「概ね接見に必要な事項は聞いていた」「弁護士でも見解が分かれるところもうまく乗り切っていた」「学生の受け答えが勉強になった」「接見に必要な基本的な事項を頭に叩き込んでおく必要がある」等々の声が上がりました。
また、今回参加した小島透ゼミOBで現在弁護士として活躍している城田健次さん(2013年度学部卒業生)、司法試験に合格し現在司法修習中の広浦眞澄さん(2016年度学部卒業生、2019年度法務研究科修了生)も後輩の雄姿を見るために模擬接見会場を訪問してくれました。OB弁護士からは、「弁護士でも悩む質問に対し、学部生とは思えないように受け答えをしていた」「本日の模擬接見の題材と同じ題材を司法修習で経験した際に、ズタボロで大変だった。学生は、しっかり受け答えが出来ていたし、ものすごい経験をしている。すごく良かった」「厳しい世界ではあるが、退路を断って、絶対に受かるという覚悟をもって挑戦していた。後輩にも法曹に是非挑戦してほしい」とのエールをいただきました。

法律を学ぶ学生も、第一線で活躍する弁護士の方々が具体的に扱った事例も交えながらの説明に食い入るように耳を傾けるとともに、熱心にメモを取る姿が見られました。
今回のプログラムは、司法試験に合格した司法修習生が経験するような題材であり、全国の大学を見渡しても、学部生で経験することができないような内容となっているのではないかとのことで、貴重な機会となりました。