文字サイズ

【訃報】東亜同文書院大学で学ばれた大城立裕さんがご逝去されました

大学全般


沖縄講演会「東亜同文書院から愛知大学へ」(2013年2月、主催:愛知大学東亜同文書院大学記念センター)で、上海での生活と勉学の日々を振り返る大城さん

愛知大学の前身で戦前の上海にあった東亜同文書院大学(1901~1945)第44期予科生大城立裕(おおしろたつひろ)さんが、10月27日、95歳でご逝去されました。
大城さんは1925年、沖縄県中城村生まれ。
終戦による東亜同文書院大学閉校で帰国の後、米軍統治下の琉球政府下の県庁に就職し、その勤務の傍ら、小説の執筆活動にも力を注がれました。1967年に発表した「カクテル・パーティー」は、戦後の沖縄の人々の揺れる心を描き、沖縄県在住者初の芥川賞を受賞し、一躍沖縄文化人の第一人者となりました。また、東亜同文書院大学在学時の体験をベースに1983年、『朝、上海に立ちつくす』(講談社、のち中公文庫)も発表され、上海での思いを書院生の主人公として綴られました。1968年に刊行された『小説琉球処分』は、今日の米軍普天間飛行場移転事業を契機に再び注目されています。
なお、愛知大学東亜同文書院大学記念センターは、2013年2月16日に沖縄県那覇市で講演、展示会を開催し、大城さんには「私と東亜同文書院」のテーマで講演をしていただき、上海での強烈な印象、中国語に励んだ日々、軍の命令による農村での食糧調達の経験、戦後の通訳としての仕事、そして書院から愛知大学への歩みなどをお話されました。久々の大城さんの講演とあって多くの市民、県民の方々が会場へ参集していただきました。この講演をきっかけに再び沖縄の伝統芸能保存と啓蒙活動に力を注がれました。
先生の沖縄からの多大な文化発信による貢献に敬意を表し、ここにご冥福をお祈りいたします。


沖縄講演会「東亜同文書院から愛知大学へ」での大城さん(右)と藤田佳久名誉教授(左)(2013年2月、沖縄産業支援センターにて)