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平成30年度私立大学研究ブランディング事業

文部科学省の2018(平成30)年度「私立大学研究ブランディング事業」に愛知大学の取り組み「『越境地域マネジメント研究』を通じて縮減する社会に持続性を生み出す大学」が採択されました。

私立大学研究ブランディング事業

文部科学省が展開する「私立大学研究ブランディング事業」は、学長のリーダーシップの下、大学の特色ある研究を基軸として、全学的な独自色を大きく打ち出す取組を行う私立大学の機能強化の促進をめざすものです。
地域の経済・社会、雇用、文化の発展や特定の分野の発展・深化に寄与する取組(タイプA 社会展開型)と、先端的・学際的な研究拠点の整備により、全国的あるいは国際的な経済・社会の発展、科学技術の進展に寄与する取組(タイプB 世界展開型)の2種にて募集されました。
今年度は157校から申請があり、学識経験者等で構成する「私立大学研究ブランディング事業委員会」において、実施体制及び事業内容・計画を総合的に審査され、計20校(タイプA:11件、タイプB:9件)が選定されました。

◆平成30年度「私立大学研究ブランディング事業」支援対象校の選定結果について(文部科学省)

愛知大学の採択事業

「『越境地域マネジメント研究』を通じて縮減する社会に持続性を生み出す大学」
参画組織=三遠南信地域連携研究センター、中部地方産業研究所、綜合郷土研究所、経営総合科学研究所、地域政策学センター、地域政策学部、大学院法務研究科法務専攻(法科大学院)
事業タイプ=「社会展開型」(タイプA) ※事業期間=3年

事業の概要

我が国の地方部は急速な人口減少により、縮減する社会に直面しています。民力が卓越した大都市部と異なって、地方部では行政境界が地域経営の障害となり、縮減する社会を支える地域連携が取り難いといえます。特に県境地域はその傾向が著しいです。本事業では、愛知・静岡・長野の県境地域を対象とした「越境地域マネジメント研究」を本学に拠点化し、その実用によって縮減する社会に持続性を生み出すとともに、全国県境地域への波及効果を目指します。

研究の意義

本学は、1901年中国上海に創設された東亜同文書院大学の関係者を中心に1946年に中部地域唯一の法文系大学として、愛知県豊橋市に設立されました。設立趣意書には、東亜同文書院を背景とした《国際的教養と視野をもった人材の育成》とともに、6大都市以外の地方都市に初めて立地した旧制大学として《地域社会への貢献》を挙げています。
本学発祥の地である豊橋校舎では、《地域社会への貢献》を地域研究に展開する視点から、1951年には「綜合郷土研究所」、1953年には「中部地方産業研究所」を設置しました。その後、豊橋校舎が立地する豊橋市の広域連携が進み、豊橋市を中心とする愛知県東三河地域、浜松市を中心とする静岡県遠州地域、飯田市を中心とする長野県南信地域からなる「三遠南信地域」に後背地域が拡大してきました。こうした動向に対応して、本学は地域研究の対象を三遠南信地域に定めた「三遠南信地域連携研究センター」を2004年に設立し、「文部科学省私立大学学術研究高度化推進事業・社会連携研究推進事業(2005-2009年)」、「文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業・地域に根差した研究(2010-2012年)」を実施してきました。更に2013年からは「文部科学省共同利用・共同研究拠点」の「越境地域政策研究拠点(2013-2018年)」に認定され、三遠南信地域のように県境などの行政境界に隔てられた地域が行政境界を越えて地域経営を展開する「越境地域政策」の確立を目指した全国的な研究を進めています。また、2011年には、三遠南信地域を研究・教育のフィールドとする「地域政策学部」を設立し、地域政策を担う人材の育成に展開してきました。
こうした取り組みの背景として、我が国では全国市町村の4割が県境に接しており、越境地域政策は必要性の高い政策ですが、これまで体系的な取り組みはなされてこなかったこと、県境に接する市町村の半数が過疎地指定を受けているように、縮減する社会への対応が県境地域の大きな課題であるという認識があります。
また本学は、2012年に名古屋校舎を名古屋駅に隣接した大都市拠点「名古屋市ささしま地区」に移転開校しました。ささしま地区は、2027年の中央リニア新幹線開通によって三大都市圏が一体化されるスーパー・メガリージョンの一角であり、広域的な拠点性を有しています。こうした拠点性を活かすには、笹島地区と広域的な後背地域を結ぶ越境地域連携が不可欠です。特に、三遠南信地域とささしま地区の間に多様な越境地域連携を形作ることによって、三遠南信地域が直面する縮減する社会に、大都市拠点と連携したダイナミズムを生み出すことは、三遠南信地域とささしま地区に2つの校舎(豊橋校舎、名古屋校舎)を持つ本学の新たな《地域社会への貢献》です。こうした観点から、三遠南信地域とささしま地区の越境地域連携戦略となる「スーパー・メガリージョン形成に向けた実証的研究」を、本学特別重点研究として本年度から開始しています。

期待される成果

「越境地域政策研究拠点」として取り組んできた既往の「越境地域政策研究」は、「越境地域計画コア」で行政境界を跨いだ地域計画手法を、「越境地域情報プラットフォームコア」では行政境界で分断される情報の一体化手法を、「越境地域モデルコア」で越境する経済・空間モデルを、基盤研究として開発してきました。基盤研究の更なる強化を図るとともに、「越境地域マネジメント研究」として縮減する社会に実用するためには、分散する地域機能の拠点地区化とネットワーク、モデル的に応用できる越境連携事業、越境連携事業を支え得る人材が必要です。そこで、実用研究として、三遠南信地域の諸機関との越境連携事業協働(以下、事業協働)、越境地域マネジメントの担い手人材育成(以下、担い手育成)を行ないます。これらによって縮減する三遠南信地域に持続性を生み出すとともに、全国の県境地域や海外の越境地域への波及効果を期待します。

年次目標

2018年度
現在推進している「越境地域政策研究拠点」事業や本学特別重点研究事業に、学内研究機関の専門性を組み合わせることで、「マネジメント研究機構」の組織整備を目標とします。
【研究活動】
基盤研究部門で蓄積された研究の情報発信、実用研究(事業協働部門、担い手育成部門)においては、各ステークホルダーとの協調によって研究体制を強化します。特に、山間部の拠点「うるぎ分室」を充実します。
【ブランディング戦略】
本学が「『越境地域マネジメント研究』を通じて縮減する社会に持続性を生み出す大学」という方針を打ち出していることの社会浸透を図ります。その際に、事業整備段階として、自治体、商工会・商工会議所、在学生、卒業生を重点的な対象とします。

2019年度
個別事業実施と個別事業へのステークホルダーからの参加を目標とします。
【研究活動】
盤研究部門での研究テーマの拡大、実用研究(事業協働部門、担い手育成部門)では、ステークホルダー参加によって各事業を実施します。
【ブランディング戦略】
本学がステークホルダーと実施する事業協働によって「縮減する社会に持続性を生み出す」挑戦を行っている具体的活動イメージの社会浸透を図ります。その際に、事業実施段階として、企業、地域住民、高校生を重点的な対象とします。

2020年度
事業まとめとブランド戦略の練り直しによって、2027年からの国土構造変化であるスーパー・メガリージョンを見据えた次期事業方針を決定します。これによって「マネジメント研究機構」への多様な学部からの参加拡大を目標とします。
【研究活動】
基盤研究部門では、本事業のまとめとして啓蒙書発刊を行います。縮減する社会と大都市拠点を連携する実用研究(事業協働部門、担い手育成部門)の実施と、次期事業に向けた研究体制の拡大を行います。
【ブランディング戦略】
本学が縮減する社会と大都市拠点を連携している事業イメージの社会浸透を図ります。その際に、全国県境地域への重点的なイメージ浸透を図ります。


※2019年5月現在の情報です