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【開催報告】「カナダに抱かれ、カナダが与えたアイデンティティ」 カナダ人作家キム・チュイさんが名古屋キャンパスで講演

グローバル

2018年度ニュー・アカデミー文学賞最終候補者 キム・チュイさん
「カナダに抱かれ、カナダが与えたアイデンティティ」

6月24日(月)名古屋キャンパス本館(研究棟)20階会議室において、ベトナム出身カナダ人作家キム・チュイさんによる公開講演会『国境を越える ~文化と文化、言語と言語の間で~』(主催:愛知大学国際問題研究所、協力:アリアンス・フランセーズ愛知フランス協会、後援:ケベック州政府在日事務所、日本ケベック学会)が開催されました。
会場にはフランス語を履修する多数の学生と、キム・チュイさんを慕うファンの皆さまら101名が集まり、講演はフランス語(通訳:経営学部 関未玲准教授)により行われました。
キムさんは、1975年4月のベトナム戦争終結の後、ボートピープルとしてマレーシアの難民キャンプに逃れ夢を失うなか、両手を広げてキムさんらを迎え入れたカナダのケベック州へと亡命しました。第二の故郷となったカナダの広大で豊かで自由な大地に溶け込むために、難民として生きるキムさんが直面し味わった数々の試練を語ってくれました。さらに「時間を遡ることができたとしても、私たちは、やはり同じ道をたどったことでしょう」と話され、命のリスクを冒しても国境を超えようとする難民の声を伝えることが自身の使命だとする、作家の強い思いに聴衆は魅了されました。
キムさんの『小川』を読んで感動をおぼえたという国際コミュニケーション学部国際教養学科2年小池正峻さんは、「キムさん自身が感銘を受けた作家はいらっしゃいますか」とフランス語で質問し、壮絶な人生を送りながらも、常に前向きで、1つ1つの質問にも丁寧に答えてくださる作家の人柄にも大きな刺激を受けたとコメントを寄せました。

キム・チュイさんと通訳を担った関未玲准教授

キム・チュイさんにフランス語で質問した国際コミュニケーション学部国際教養学科2年小池正峻さん


【略歴】キム・チュイ氏
1968年ベトナム現ホーチミン市生まれ。10歳のときにボートピープルとしてカナダへ亡命。通訳、弁護士、レストラン経営等を経て、現在は作家として活躍。デビュー作『小川』はカナダ総督文学賞などを受賞。2018年ニュー・アカデミー文学賞最終候補者。他に『マン』『ベトナム女性の秘密』等がある。
(注)「ニュー・アカデミー文学賞」  2018年スウェーデン・アカデミーのスキャンダルによって見送られたノーベル文学賞の代替賞。最終候補者にはキムさんの他、村上春樹がノミネート。

本件は2019年6月25日毎日新聞「デジタル毎日」にて全国に発信されました。
https://mainichi.jp/articles/20190625/ddl/k23/040/131000c