2025年度 愛知大学大学院法務研究科主催岡谷鋼機株式会社法律基礎講座 第1回・第2回開催報告

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1.企画の趣旨
 2022年度から、愛知大学法科大学院加算プログラムの取組の一つとして展開してきた岡谷鋼機株式会社外国法基礎講座を、2024年度からは、新たな加算プログラムが開始したのを機に、法律基礎講座という形で、必ずしも外国法に特化することなく、重要な法テーマを取り上げ、本学関係者が同社社員に対して講演しています。
 2025年度は、第1回を2025年10月15日(火)10:00~11:30、第2回を同10月22日(水)10:00~11:30の日程で、いずれも鈴木智洋本学大学院法務研究科教授、弁護士により「パワハラのグレーゾーンpart②~昨年の知識をブラッシュアップ!~」(第1回)、「セクハラ、ダメ、絶対!~何がダメ!絶対!!なのか~」(第2回)について講演しました。

2.講座の概要
 日程、講師およびテーマ詳細は以下のとおりです。
【第1回】
●日程:2025年10月15日(水)10:00~11:30
●講師:鈴木智洋本学大学院法務研究科教授、弁護士
●テーマ:「パワハラのグレーゾーンpart②~昨年の知識をブラッシュアップ!~」
●概要
 鈴木教授の軽妙かつユーモラスな語り口により、昨年度の講義の第2弾と位置づけられるパワハラを取り上げ、昨年の復習+αとして、①パワハラの概念整理、パワハラの予防の必要性、対応の在り方等を、次に、そのブラッシュアップとして、②パワハラのグレーゾーンをふんだんな事例に基づき詳説する内容であった。併せて、部下への注意指導の際に留意すべきチェックポイントが示されました。パワハラは許されないが、パワハラを恐れすぎるあまり企業の人材育成、ひいてはその円滑な運営や成長を阻害することのないよう業務指示や注意指導を行い、パワハラが発覚した際には懲戒や人事異動等の適切な対応をとるべきことが述べられ、締めくくられました。

【第2回】
●日程:2025年10月22日(水)10:00~11:30
●講師:鈴木智洋本学大学院法務研究科教授、弁護士
●テーマ:「セクハラ、ダメ、絶対!~何がダメ!絶対!!なのか~」
●概要
 この日も鈴木教授の軽妙かつユーモラスな語り口で、セクハラについて、①意義・概念、②典型例とグレーゾーン、③LGBTQなど性の多様化に即した問題が取り上げられました。
 まず、序論的説明として、対価型・環境型の分類、男女雇用機会均等法上の定義、パワハラとの違い等について触れられたのち、誤解されがちなその判断基準、セクハラ訴訟にみる判断基準、グレーゾーンとなりうる行為等についての解説があり、最後に、LGBTQ、社内恋愛崩れ、ネット上の発言等の現代型のセクハラについて、具体例を交えて講じられました。セクハラは許されない行為ではあるものの、強度のセクハラ禁止意識が職場の円滑なコミュニケーションを阻害しないようバランスをとることの重要性が強調されました。

各回とも、企業の現場目線での解説内容であったため、参加者の関心も高く、活発な質疑応答がなされました。

(法務研究科長:上田 純子)