中国研究科

日本で唯一の、広く中国に関わる人文科学・社会科学を総合的に研究する研究科

研究科の沿革・概要

中国研究科は、中国について人文科学・社会科学の分野から総合的に調査・研究する日本で唯一の実績ある研究科です。

歴史は1991年4月に全国で初めての中国研究を専門とする修士課程を開設したことから始まり、1994年4月にはやはり全国で唯一の博士後期課程を開設しました。
2004年4月には博士後期課程に、本研究科と中国の南開大学又は中国人民大学それぞれの大学院とのあいだに学籍をおき、双方から博士学位を授与される「デュアルディグリー・プログラム」(博士二重学位制度)を日本で初めて開設しました。
またこれは2007年4月に日中双方の努力により、修士課程にも適用されるようになり、さらに2014年からは台湾の東呉大学とも同様のプログラムを開始しました。

なお、修士課程・博士後期課程において、優れた成績を修め、定められた要件を満たした場合、標準修了年限(修士課程:2年、博士後期課程:3年)よりも早く修了することもできる早期修了にも対応しています。

研究科長挨拶

中国研究科長 松岡正子教授
本研究科は日本で唯一の、中国と中華圏を研究対象とした教育研究機関です。日本でも有数の中国関連資料や中国の第一線研究者による連続講座、充実したデュアルディグリー制度があります。
急速に巨大化した中国は、活力と矛盾、光と闇に満ち、その力は世界に拡散して、欧米を中心に一体化されてきたこれまでの世界と対峙しています。私たちは、学問の自由と独立のもと、中国という「異質」な視点から世界の諸相を分析し、真実を追求します。

研究科の特色

幅広く質の高い中国研究・教育にたけた専任教授陣

幅広く質の高い中国研究・教育を担う教授陣は、中国政治学、中国経済学・中国史学・中国社会学、中国文学、中国哲学、中国民俗学、中国民族学、中国文化、中国語学、日中比較言語学、中国と国連など多彩、研究業績や教育実績、院生の研究指導などに定評のある専任スタッフが揃っています。

中国で生まれた東亜同文書院大学を引き継ぐ伝統輝く中国研究のメッカ

戦前、中国上海にあった東亜同文書院大学を前身とする中国研究・教育のメッカともいわれる愛知大学ならではの特長が、院生の研究・進路決定に優位性を発揮しています。これをベースとして構築された中国などの著名諸大学との研究・教育交流の歴史が院生の留学、本研究科の特色である中国フィールドワーク(補助制度あり)、進路決定などの面で大きな役割を発揮しています。

豊富な中国関係研究図書・資料

本学図書館には学問領域に対応した書籍を中心に合計138万冊を所蔵しています。この蔵書数は、全国私立大学(約30万冊)、国立大学(約111万冊)の平均をはるかに超えるものです。
書籍以外にも、過去の新聞・雑誌などの膨大なマイクロフィルム、電子データなどを所蔵。24時間利用可能な蔵書検索システムや自習ブースなど、利用しやすい環境も整えています。
中国関係では貴重な資料として「簡斎文庫」(元住友本社総理事・蔵相小倉正恒氏旧蔵)、「霞山文庫」(旧霞山会蔵)、「東亜同文書院中国調査旅行報告書」、旧満州国時代の新聞、現地発行調査資料などがあります。この他にコレクションとして「竹村文庫」、「浅川文庫」、「中国学術交流文庫」、「中日大辞典文庫」等があります。

中国・台湾の著名大学との夢をかなえるデュアルディグリー・プログラム

サンプル画像
2002年度に中国研究拠点として全国で唯一「21世紀COEプログラム」に採択された国際中国学研究センター(ICCS)とともに、本研究科は愛知大学の中国研究および若手研究者育成の活動を担っています。
「デュアルディグリー・プログラム」は若手研究者育成プログラムです。
2007年4月に日中双方の努力により修士課程にも適用されるようになり、さらに2014年からは台湾の東呉大学(ただし、中国籍学生を除く)とも同様のプログラムを開始しました。
「デュアルディグリー・プログラム」による博士学位取得者は2020年度までで50数名に上り、日本や中国の高度研究・教育機関や政府機関の指導的役割を担う人材として登用されています。
また二重学位制度の日本における開拓者であり、最も優れた模範的な制度としても評価されています。本研究科博士後期課程入学者は相手校へ1年間の留学で博士学位を得ることができます。
デュアルディグリー・プログラム

南開大学(中国・天津市)
中国人民大学(北京市)
中国人民大学の愛知大学分拠点、日本からの遠隔授業(「デュアルディグリー・プログラム」授業風景)
東呉大学(台北市)

優れた日常の研究環境

修士課程生、博士後期課程生全員に、供用の研究用デスクを配備しています。静かで、他の干渉を受けない環境で、講義やゼミの前後、自分の研究に集中することができます。
デスク以外に、自由にディベートや研究発表ができるセミナールームを完備しています。

中国研究の広いすそ野を支える研究・展示機関

中国研究を専門とする常設の研究機関や展示機関などが、院生の研究を支援しています。これらの研究機関などが開催する研究会、シンポジウムなどには基本的に自由に参加し、場合によっては自己の研究成果を報告する機会もあります。
国際問題研究所(中国を含む国際問題研究機関)、国際中国学研究センター・ICCS(中国研究専門機関)、東亜同文書院大学記念センター、中日大辞典編纂所、国際ビジネスセンターなど多彩です。

学内の豊富な研究論文投稿誌

院生や研究者にとって、研究成果を発表することは不可欠なことです。本研究科と関連の深い研究誌には以下のものがあります。なかには、査読付きのものもあります。

「愛知論叢」(愛知大学大学院院生協議会)(投稿資格:本学大学院生)
「愛知大学国際問題研究所紀要」(国際問題研究所):査読付き(投稿資格:所員、客員研究員など)
「現代中国学ジャーナル」(愛知大学国際中国学研究センター、電子版):査読付き(投稿資格:投稿自由)
「中国21」(愛知大学現代中国学会)(投稿資格:学会員)

世界一流の中国研究学者の招聘(訪問教授)

本研究科は毎年、中国研究科院生向けに海外の2名の著名な教授を招聘し、専門の講義を開講しています。目的は、院生の視野を広げ国際的な学術研究の一端に触れてもらい、研究の刺激を受けることにあります。

専攻紹介

中国研究専攻
日本初の、中国に関する総合的な研究・教育を進めるユニークな研究科です。深い専門性をもつ教授陣による個性的な講義や演習、英語や中国語によって学生と討論しながら進める講座や、留学生とともにやはり英語や中国語で行われる講義、フィールドワークの重視など、中華人民共和国にとどまらない中華圏を社会・文化両面からの個別的かつ総合的な研究をベースに、グローバルな視点からの中国研究を進めます。
中国研究専攻[デュアルディグリー・プログラム]
日本の愛知大学中国研究科と中国の南開大学(天津)、中国人民大学(北京)、東呉大学(台湾)のいずれかに同時に在籍し、修士課程においては1年6ヶ月間、博士後期課程においては1年間の中国もしくは台湾に留学(必修)し、さらにRMCS(遠隔多方向コミュニケーションシステム)による国際遠隔講義などを通じて、両大学の学位取得をめざします。このデュアルディグリー・プログラムは、今後さらに提携先を拡大する予定です。

構成員紹介

※項目の詳細は愛知大学公式ウェブサイトへリンクしています

開講科目一覧

開講科目紹介

中国研究方法論a 加治宏基准教授
中国とはなにか?その捉え方・対象は、人文社会科学や自然科学といった研究領域により、また文化人類学や政治学、経済学といった研究ディシプリンによって、それぞれ異なります。すなわち、中華文化圏なのか、主権国家「中国」であるか、それとも人民元を基軸通貨とする商圏か、というように。
この授業では、こうした中国研究の方法論について履修生同士のディスカッションを中心に展開し、研究者としてのスタンスや視座を検討します。

中国文化人類学研究Ⅰa,b 高明潔教授
中国文化人類学研究Ⅰでは担当者が文化人類学(Cultural Anthropology)/社会人類学(Social Anthropology)の方法論を解説し、日中における文化/社会人類学という分野の中国研究の研究史や代表的な実績を紹介した上で、全員で自他研究とする文化・社会人類学的な研究の意義や方法論について、また、それを通して、ある特定の地域や民族や個別の事例に関する日中両国の先行研究を比較し議論します。
中国文化人類学研究Ibでは、aに引き続き日中における文化/社会人類学という分野の中国研究の研究史や代表的な実績に基づいて議論を進めたのち、各自で一定の対象に関する研究成果(専門書や論文)を選定し、その内容を議論します。

中国語学研究Ⅴa,b 臼田真佐子教授
中国語学研究Ⅴaのテーマは漢字です。この講義では、最初に清末から現在にわたって中国の簡体字が制定された過程を理解し、簡体字も含めて漢字の構造について学びます。次に漢代まで遡り、漢字研究の聖典ともいうべき『説文解字』について、部首を中心にして読み、さらに清代の段玉裁『説文解字注』(段注)を取り上げます。中国語学研究Ⅴbのテーマは中国音韻学です。内容については中古音を重点的に取り上げますが、『広韻』や『韻鏡』について学んだことがないことも想定し、基本的な説明も行います。入声については現代中国語の方言の音声を聞いて参考とします。後半は受講生の専攻分野や興味関心等を考慮し、担当者が選んだ論文を講読します。

在学生の声

中国研究科修士課程 中国研究専攻2年 K.Tさん
現在私は中国の愛知大学の学位と同時に中国の分拠点大学の学位を取得できるデュアルディグリー・プログラムに参加しており、中国人民大学の講義をオンラインで受講しています。中国人民大学では漢語国際教育を専攻しており、第二言語としての中国語教授法について勉強をしています。世界各国からの留学生とともに受ける中国語での授業にとても刺激を受けています。
また、愛知大学での研究テーマは流行語の日中比較についてであり、一年次は中国語学に関する授業を中心に受講していました。学部時代とは違う少人数での授業は濃密であり、学生からの発言もよく求められるので非常にためになるのではないかと思います。将来は大学院で学んだことを活かし、日本語または中国語の教育に携われるような仕事をしたいと考えております。

本研究科入学-修了-就職の最近の実例(単位取得満期退学者を含む)

修士課程生

Aさんの例:日本人
日本の他大学卒業⇒中国研究科修士課程入学⇒同修了⇒某県庁幹部職採用

Bさんの例:中国人
中国の大学卒業⇒日本へ留学・中国研究科修士課程入学⇒同修了⇒中国の大学専任講師就職

Cさんの例:中国人
愛知大学卒業⇒中国研究科修士課程入学⇒同修了⇒中国の公的研究機関研究員就職

後期博士課程生

Dさんの例:日本人
愛知大学卒業⇒中国研究科修士課程入学⇒同修了⇒同博士後期課程入学⇒同満期退学⇒日本の某大学講師就職

Eさんの例:日本人:中国研究科入学後、デュアルディグリー・プログラム選択)
某県立大学修士課程修了⇒愛知大学中国研究科博士後期課程入学⇒中国人民大学博士課程入学⇒愛知大学中国研究科後期博士課程修了(博士(中国研究))⇒中国人民大学博士課程満期退学⇒日本の大学助教就職

Fさんの例:中国人:中国研究科入学後、デュアルディグリー・プログラム選択
中国の大学院修士課程修了⇒日本へ留学・中国研究科後期博士課程入学⇒中国人民大学博士課程入学⇒愛知大学中国研究科後期博士課程修了(博士(中国研究))⇒中国人民大学博士課程修了(博士(経済学))⇒中国農業部研究センター副研究員採用

Gさんの例:中国人:中国研究科入学後、デュアルディグリー・プログラム選択
中国の高校卒業⇒日本へ留学・愛知大学卒業⇒中国研究科修士課程入学⇒同修了⇒同博士後期課程入学⇒中国人民大学博士課程入学⇒愛知大学中国研究科後期博士課程修了(博士(中国研究))⇒中国人民大学博士課程修了(博士(経済学))⇒中国山西師範大学講師採用

Hさんの例:中国人:南開大学大学院入学後、デュアルディグリー・プログラム選択
中国南開大学大学院博士課程入学⇒愛知大学中国研究科博士後期課程入学⇒南開大学大学院博士課程修了(博士(経済学))⇒愛知大学中国研究科博士後期課程修了(博士(学術))⇒中国国務院国有資産監督管理委員会研究局副研究員採用

主な修了生の進路(最近の専任採用の例)

修士課程
三重県庁行政職員、名古屋市役所、岐阜県教員、日本の大学准教授、中国食糧問題研究所、中国共青団委員会、中国河南省新郷学院副教授ほか(肩書きは、採用時のもの)

博士課程
愛知大学准教授、同助教、宮崎公立大学准教授、中国首都経済貿易大学教授、中国農業部農村発展研究センター副研究員、山西師範大学副教授、南開大学副教授、中国人民大学副教授、青島大学副教授、中国社会科学院工業経済研究所副研究員、黒竜江大学副教授ほか(肩書きは、採用時のもの)

就職実績

国内外研究機関、自治体職員、民間企業