お知らせ

第33回 ビジネスセミナー「2024年選挙イヤー:米中対立と台湾有事は何処へ~日本企業は中国とどう向き合うか?~」を開催

開催報告
国際ビジネスセンター主催 第33回 ビジネスセミナー
『2024年選挙イヤー:米中対立と台湾有事は何処へ~日本企業は中国とどう向き合うか?~』を開催

 当センターでは、2024年11月7日(木) 14:00~16:00、名古屋キャンパスにて第33回ビジネスセミナーを開催しました。
 講師に加藤嘉一氏をお招きし、米大統領決定後、世界経済にどのような影響をおよぼすかなど、お話しいただきました。

<講師>
 加藤嘉一氏:国際コラムニスト

<概要>
 講演では、①米大統領選直後の考察と分析、②日本にとっての「最大マクロ」:米中対立×台湾有事×中国経済、③米大統領選挙後、「米中対立」はどこに向かうか、④米大統領選挙後、「台湾有事」はどこに向かうか、⑤改めて、日本企業は中国とどう付き合うのかの5つの構成で行われました。現状変更のトランプか現状維持のハリスかという対立の中で、接戦であったものの米国民は現状変更の路線を選んだという結論であったという前提で話が進められました。特に新政権は共和党がスリーレッド(大統領・上院・下院)の状態となるため、トランプ大統領の有言実行が事実上可能になるという特徴があると指摘されました。そうした背景のため、対中国貿易などの関税60%、中国側につくのか、それとも台湾側につくのか、その他様々な局面の予測が不能状態にあるという考えを持つことが重要だとも指摘されました。
 中国の現状を見てみると、GDPの30%を占めるのが不動産産業で、今のところそれに代替する産業はなく、いかにポスト不動産業界を形成させるかが重要な課題となっている。経済が優先事項であるとはいえ、台湾有事を考える上では、半導体などの要因が意思決定に影響することはないと考えられる。実際に解放軍・海警局が包囲演習をその期間を告知せず、また初めて夜間に実施したという点でかなり実戦的な演習を行ったことも注目すべきである。台湾統一の失敗は中国の政治体制の崩壊につながる事項であるため、慎重をもって実行に移すであろう。その面で外交的な軋轢が生じることになるが、いわゆる「大国外交」の定義も過去と現在では異なっている。過去的には「大国との外交」を指し、現在的には「大国としての外交」という意味付けになっているなどの諸々の視点が提起されました。
 Q&Aセッションでは「日本は中国に対し、どのような外交カードを持っているのか?」という問いに対し、中国側が日本に対して持つ外交カードには靖国問題、処理水問題、ビザ発給などがあり、実質的にそれらは日本に求めるものではなく、アメリカ関連に同調する日本に対する要求であると考えていい。一方、日本が中国に持つ外交カードとしては台湾問題や関税ぐらいしかなく、そのなかで中国と交渉するのはなかなかタフな状況にあるのは事実であるとの回答でした。


             
                  
               本学 広瀬学長  

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