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学長室だより

学長のことば

2020年度学位記授与式・学長告示

告辞
(2020年度卒業式)

この度、卒業を迎えられた学部、短期大学部の皆さん、修了を迎えられた大学院研究科、専門職大学院の皆さんには大学を代表して心からお祝いを申し上げます。皆さんはそれぞれの学生生活のなかで、多くのことを学び多くの人々と交流したことと思います。如何でしたか。この学びと交流の経験はきっとこれからの皆さんの人生において貴重な財産になるに違いありません。
皆さんの在学期間のなかで昨年来の出来事は特別の経験であったと思います。すなわち、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延とその甚大な影響です。世界の人々はこれまで当たり前としていた自由に移動し、集まり語り合うということができなくなりました。本学でも同様です。昨年春以来のキャンパスへの入構制限、授業のオンライン化、課外活動の制限、リモートワークの導入など、行動制限措置を取りました。本来、学生と教職員がキャンパスに集まり、対面で授業を行い、対面のコミュニケーションとグループ活動を当然のこととしていた大学生活のありようを根底から変えてしまうものでした。また社会の経済活動への影響も極めて大きく、仕事が減ったり失ったりする人もたくさん出ました。就職活動も大きく様変わりし、オンラインによる就活と就職難の状況となりました。学生の多くの皆さんは、こうした中で、いろいろ悩み、ご苦労されたことと思います。皆さんのご努力に対して敬意を表します。
他方で、コロナ禍のなかで私たちはいろいろ経験し、今後の大学のあり方について考えることができたことも確かです。第一に、コロナ感染対策として採用したオンラインにはさまざまな利点、空間や時間の壁を容易に超えることができる点があり、それを活かした教育が可能であることです。第二に学生たちが対面で語り合い、議論を深め、友情を育み、人間関係を豊かにすることは大学の本質的な要素であることです。第三に、したがって、授業形態としては対面とオンラインを状況に応じて適切に組み合わせた形の授業が求められることでしょう。
今後、社会の変化はますますスピードをあげて進むでしょう。人工知能、IoT、ビッグデータ、ロボットなどのデジタル情報技術の急速な発展、グローバル化、地方創生、地方分散化の進展などが予想されています。今回の世界的なコロナ禍はその流れを加速させることになりました。少子高齢化が進み、生産労働人口が減少するなかで、増大する高齢者人口を支えこれまでの生活水準を維持するためには一人当たりの労働生産性、価値生産性を高めることが求められています。また地球温暖化にともなう気候変動、大規模自然災害や新たな感染症の発生などの要素も考慮せざるを得ません。他方で、われわれがまだ知らないこと、正解がわかっていないものがたくさんあります。これからの将来をこれまでの経験の単なる延長線上にあるものと想定することはできません。こうしたたなかで、私たちに基本的に求められるのは、変化に柔軟に対応できるような自律的な学びだと考えられます。それはつまり自らが学んだ各分野の学問の方法を参考にしつつ、自ら問題を見出し、自らの頭で問題の発生理由や関係のありようについて証拠をもとづき論理的に説明し、一定の解答を導き出し行動することです。解答が問題の解決とならなければ、改めて問題を見直し、考え、説明し新たな解答を求める。皆さんは今後の人生行路においてさまざまな新しい問題に直面するはずです。皆さんは自律的な学習をとおして、自らの能力を高めて人生を切り開いていってほしい。その意味では、今回の卒業式や修了式は、学びの終わりでは決してなく、自律的な学びの旅路の新たな始まりなのです。「人生100年時代」の到来が予想される中、生涯学び続ける自覚をもってほしいと思います。
皆さんは本学で経験し学んだことを財産として、本学の学生であったことに誇りをもって活躍されることを心から願っています。本学の卒業生・修了生はすでに15万人余りに達して、これまで国内外、様々な分野で活躍されおり、卒業生のネットワーク組織である同窓会において相互の交流と親睦を図っています。皆さんは、その卒業生の一員として自らの道を力強く歩んでいただくことと期待しています。
最後に、改めて皆さんのご卒業・修了を心からお祝い申し上げて私の告辞といたします。


2021年3月23日、24日
愛知大学学長  川井伸一