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学長室だより

学長のことば

2019年度入学式・告辞

告辞

2019年度入学式

本学に入学された皆さんに謹んでお祝いを申し上げるとともに、大学の新たな構成員となる皆さんを大いに歓迎いたします。

 さて、皆さんが入学された愛知大学とはどんな大学なのか、ここで少し愛知大学の使命についてお話したいと思います。愛知大学の名前は「知を愛する」という意味から来ています。

1946年に創立された大学の設立趣意書は、第二次世界大戦への深い反省にたって世界文化と平和に寄与するために日本の人文系の学問を盛んにし、才能ある人材を育成することを使命とすることを述べています。
そして特殊な使命として以下の点が記されています。
ひとつは大都市への偏重集積をなくし、地方分散を望むとして地方社会における学問・文化の振興と貢献が謳われています。
二つ目は国際的教養と視野をもった人材の育成です。
愛知大学は当時「国際文化大学」をめざすことを述べています。

 まず、大都市への偏重集積をなくし地方分散を志向し、地方・地域における学問・文化の振興を図るという使命は、当時中部地方において法文系の大学がひとつもなかったことを背景としています。
そして今日、地方分権、地方創生が大きな政策課題とされているなかで各地域がまちづくり、人づくり、産業発展と仕事の創出をはかり、大学が地域の知的拠点として地域の発展を担う役割を果たすことが求められています。
その意味では、地方の文化・社会への貢献という設立趣意書の使命はきわめて今日的な課題でもあるといえるのです。

 他方、国際的教養と視野をもつ人材の育成という使命は、東亜同文書院の伝統を継承するものでありますが、これは今日グローバル化が進む世界においてますます重要な課題となっています。
今日の世界は国家の枠を超えて、ヒト、モノの国際的移動が急速に増大し、情報通信技術の著しい進歩は国際社会のコミュニケーションのありかたを大きく変えています。
このなかでグローバル化に対応できる国際的人材の育成がますます求められています。
皆さんがこのような歴史と使命をもつ愛知大学に入学され、愛知大学の一員になったことを自覚し、誇りを持ってほしいと思います。

 さて、皆さんはさまざまな目標や期待を抱いて本学に入学されたことと思います。
大学は高等教育機関として教育・研究の場であり、有為な人材を育成する場です。
皆さんは本学で精一杯学んで、学力を身につけ、視野を広げ、自分をレベルアップさせてしてほしいと希望します。
ここで、大学での学びについて皆さんへの私の要望・期待を述べてみます。

1 できるかぎり幅広く学ぶこと。
専門科目だけでなくその他の共通教育科目も学び、語学科目を学ぶ。
大学のカリキュラムはこれらがバランスよく学べるように構成されています。
また正課科目だけでなく(卒業に必要な単位だけでなく)、サークル、ボランティア、資格取得講座などのさまざまな課外活動で学び、さらには海外留学で学ぶ。
こうして視野を広げ、知識・教養、人間の幅を広げてほしいと思います。

2 どのように学ぶか、学ぶ方法を学ぶこと。
近年、アクティブラーニングといって能動的な学習が推奨されていますが、これは自らの頭でものごとを深く考え、理解し、解決策を見出していく学習方法であり、学問研究の基本的な作法といってもよいでしょう。
個別の知識をたくさん学ぶことも大切ですが、この学びの方法を学ぶことも重要だといえます。
なぜなら、それは持続的で幅広く応用できる能力ともいえるからです。

3 読書の奨め。
近年、デジタル媒体の広がりが急速に進んでいます。
皆さんは毎日、スマートフォンを見て、そこから情報を得ることが多いと思います。
他方で、新聞や本から情報を得る機会は少なくなっています。
2017年秋に実施されたある調査によると、日本の大学生の一日のスマートフォンの平均利用時間は3時間であるのに対して読書時間は24分にすぎません。
本を全く読んでいない学生は全体の53%を占めていて、その比率は2012年の35%から大幅に増えているといいます。
これは大変憂慮すべき状態です。
皆さんには、デジタル媒体だけでなく、もっと本を読むこと、そして言葉やものごとの意味を理解できる読解力をつけるよう期待しています。
将来、人工知能が多くの仕事に進出し、人間にとって代わるとの予測が出ていますが、人工知能はコンピューターだけあって計算がきわめて得意ですが、意味を理解することが苦手だといわれます。
そうだとすると、意味を理解する力、読解力を身に着けることは人工知能に代替されない皆さん自身の強みとすることができます。

 最後になりますが、皆さんの本学での学びが充実し満足のいくものになることを大いに期待し、また本学の教職員一同、皆さんの学びへの支援、人財の育成に努めることを誓いまして、告辞と致します。

2019年4月2日、4日
愛知大学学長 川井伸一