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現代中国学部 専門演習紹介

高橋ゼミナール

フィールドワークを重視し、現地主義に根ざした研究活動を。

担当教員:現代中国学部 教授 高橋 五郎

中国の農村地帯を歩き、農業経済の「今」を知る。

中国農業・農村研究45年、今や5省を除く農村地帯に足を運び、農業経済の調査・研究を行ってきました。畑の土を触ると、土地がひどく痩せていることがわかります。農業技術の問題もありますが、根源にあるのは中国の農地の所有構造です。農地が国の所有であるために、大切に扱い時間をかけて豊かな土壌に育てるという発想がないのです。こうした構造上の問題が農薬汚染や中国産食品の安全問題にもつながっているのですが、一方で新しい試みの萌芽もあります。近年ではエリート層の若手経営者が農業ビジネスに目を向け、富裕層向けに安全な有機農産物の生産・ネット販売を始めています。IT技術を駆使した新しい農業経営の形には、日本が見習うべき点も多々あるでしょう。現地での調査から見えてくる中国農業経済の「今」を、今後も追い続けていきたいと思います。

ゼミナール・ダイジェスト

教育の面から捉えた中国の格差問題。

高橋ゼミでは中国を中心に東南アジアの経済・社会の研究活動を行い、3年次に東南アジア諸国での短期フィールドワークを実施している。今回のゼミの発表者は格差問題に関心を持っており、今年度に実施したカンボジアのフィールドワークでは農村の格差について調査を行ったという。現在は中国における経済格差を研究しており、その要因として「教育」に着目、今回の報告を行った。中国では1978年以降、計画経済から市場経済への移行とともに高等教育への意識が高まった。しかし都市部では質の高い教師や充実した設備に恵まれる一方、農村部では正規の教師を雇う経済的余裕がなく、近年まで教員資格を持たない民弁教師(代用教員)が農村の教育を担っていた。こうした歴史的背景と現状を踏まえ、農村における教育の質や親の高等教育に対する意識の低さが将来の経済格差を広げる一因となっていると述べた。発表後に「教育よりも、農村出身者の地位が低いことに格差の原因があるのではないか」という意見が出る。「それも一因ですが、農村では子どもを大学に進学させたいという意識が薄く、将来的な格差拡大の要因になっていると思います」と回答し、その後は沿海部と内陸部での経済格差や、農村から都会への出稼ぎ問題に議論が及んだ。高橋先生が「中国の農村部では、通える距離に学校が存在しない地域もあります。また中国の教育制度は複雑ですが、都市部のように十分に機能していないことも問題です。教育を制度的な側面から掘り下げ、都市部と農村部の差について考察を深めてください」と助言し、議論を締めくくった。